令和6年3月3日午後8時45分漁船「第八福栄丸」(総トン数379トン、乗組員25名)の船舶所有者から船舶代理店を経由して第三管区海上保安本部下田海上保安部あてに、「午後5時頃、神津島北西沖において第八福栄丸が機関故障し、航行不能となった。」との通報がありました。
第三管区海上保安本部は、直ちに羽田航空基地及び羽田特殊救難基地に出動を指示し現場へ急行させると、「第八福栄丸」は神津島付近の浅瀬に座礁し、船体が大きく傾いていました。危険が差し迫っており、ヘリコプターでの迅速な救助が求められる状況でしたが、要救助者が多数であり、一度に全員を機内に収容することができないため、複数のヘリコプターによる救助を行うこととしました。そして、羽田特殊救難隊を同乗させたヘリコプターと、第五管区海上保安本部関西空港海上保安航空基地所属の機動救難士を同乗させたヘリコプターを現場に向かわせ、互いに連携しながら救助活動を行いました。
残念ながら、特殊救難隊の到着前に行方不明となっていた1名は救助することができませんでしたが、傾く船体で救助を待っていた乗組員24名を救助しました。
「第八福栄丸」は、座礁の影響から船体が大きく傾き、また、打ち寄せる大きな磯波による浸水や、継続的な船体動揺の影響から船体折損の可能性がある非常に危険な状況でしたが、海難救助のプロフェッショナルである特殊救難隊及び機動救難士の高度な技術とヘリコプター乗組員の卓越された操縦により救助を完遂することができました。
海上保安庁では引き続き、荒天等の厳しい状況の中でも、一人でも多くの方を救助することができるよう人命救助を最優先に努めていきます。

ヘリコプターでの吊上げ救助

座礁船上での様子

ヘリコプターからの様子