海上保安レポート 2025

はじめに


TOPICS 海上保安の1年


特集 平和で美しく豊かな海


目指せ!海上保安官


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 生命を救う

2 治安の確保

3 領海・EEZを守る

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

7 海の事故を防ぐ

TOPICS 海上保安の1年 > 04 乗組員全員救助 〜荒れる海での果敢な救助活動〜
TOPICS 海上保安の1年
04 乗組員全員救助 〜荒れる海での果敢な救助活動〜
救助活動の動画はこちら(海上保安庁 公式X)

救助活動の動画はこちら
(海上保安庁 公式X)


令和6年10月3日午前零時14分頃、漁船「第八十八興洋丸」から本庁運用司令センターに対し「美保関で乗り揚げた。船内には9人が乗船している。早く助けに来てほしい。」との118番通報があり、直ちに巡視船艇を現場へ急行させるとともに、関係機関へ情報提供を実施しました。

当時、現場海域には海上強風警報が発令されており、天候不良により航空機が進出できず、また、巡視船艇も漁船に接近できないことから、特殊救難隊、機動救難士、巡視船「おき」潜水士及び松江市消防救助隊が陸路から現場へ進出することとしました。

事故船舶は船尾側に大きく傾き船尾部分が浸水し、右舷側から5mを超える大波が打ちつけ、甲板を波が洗い、波の力により船体が岩場に打ちつけられ、その音が周囲に響き渡るなど、一刻を争う危険な状況でした。

各隊員は風速毎秒16m、波高5mを超える悪天候の中、舗装されていない山道を、資機材を背負って進み、漁船付近の岩場まで到達しました。岩場から漁船までは断崖絶壁という極めて厳しい環境の中、岩場から漁船へロープを張り、機動救難士がロープを駆使して漁船に移乗、同日午前7時8分までに要救助者9名全員を無事に陸上へ引き上げ、救助しました。

この救助方法は高度な技術が必要ですが、各隊員が日頃の訓練や連携の成果を存分に発揮したことで、一連の救助活動を迅速かつ的確に実施することができました。

人命救助は、海上保安庁の重要な基幹業務の一つです。海上保安庁では、今後とも、一人でも多く、一分一秒でも早く救助を行えるよう、更なる救助・救急体制の強化に取り組んでいきます。

船尾が沈没している漁船

船尾が沈没している漁船

荒天の中、漁船へ移乗する機動救難士

荒天の中、漁船へ移乗する機動救難士