四方を海に囲まれた我が国は、古来より「海」から多くの恩恵を受け、豊かな発展を遂げてきました。
海上保安庁においても、昭和23年の創立以来、脈々と受け継がれている「正義仁愛」の精神のもと、この「平和で美しく豊かな海〜Peaceful, Beautiful, and Bountiful Seas〜」を守ってきました。
他方で、「海」は万人の共有物であるがゆえ、一つの国が管轄権を行使できる海域には制約があり、そのため、国境犯罪や海洋汚染といった「海」に関する問題を解決するためには、海でつながる諸外国と連携・協力していくことが極めて重要となります。
そのため、「海上保安レポート2025」では、国際業務にフォーカスした特集としました。国際業務の変遷や現在実施している諸外国との連携・協力を紹介するとともに、実際に世界で活躍する海上保安官の声も掲載しています。
近年、我が国を取り巻く安全保障環境の様々な変化によって、周辺海域を巡る情勢は一層厳しさを増しています。海上保安庁では、引き続き国民の安全・安心を確保するため、全職員が一丸となって、任務を全うしていきます。
最後に、本書をお読みになり、海上保安庁に対するご理解が少しでも深まり、また、海上保安官を志す方が増えれば幸いです。
令和7年5月