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2 治安の確保
CHAPTER VII. 海賊対策
全世界の海賊及び船舶に対する海上武装強盗(以下「海賊等事案」)は、世界各国の政府機関や海事関係者の懸命な取組により近年減少傾向にあるものの、依然として海賊等事案の脅威は存続しています。
主要な貿易のほとんどを海上輸送に依存する我が国にとって、航行船舶の安全を確保することは、社会経済や国民生活の安定にとって必要不可欠であり、極めて重要な課題です。
海上保安庁では、東南アジア周辺海域等へ巡視船・航空機を派遣し、海賊対策のための公海上でのしょう戒や沿岸国海上保安機関との合同連携訓練や法執行能力向上支援等を行うとともに、海賊対処のため、ソマリア沖・アデン湾に派遣されている海上自衛隊の護衛艦へ海上保安官を同乗させるなど、海賊対策を実施しています。
令和6年の現況
東南アジア周辺海域の海賊等事案について
令和6年の東南アジア周辺海域における海賊等事案発生件数は70件でした。内訳としては、船舶予備品等の窃盗が多数を占めています。
これらの海賊対策のため、海上保安庁では、平成12年から東南アジア周辺海域等に巡視船・航空機を派遣し、寄港国海上保安機関等との訓練を行うなど連携・協力関係の推進に取り組んでおり、令和6年6月、令和7年1月及び2月には、巡視船・航空機をフィリピン周辺海域やインドネシア等に派遣しました。
 令和6年6月フィリピン周辺海域への巡視船派遣
ソマリア沖・アデン湾の海賊等事案について
ソマリア沖・アデン湾における海賊等事案発生件数は、令和6年は8件に増加しました。
ソマリア国内の不安定な治安や貧困といった海賊等を生み出す根本的な要因が解決していないことから、海賊等の脅威は未だ存続しています。海上保安庁では、海賊対処のために派遣された海上自衛隊の護衛艦に、海上保安官を同乗させ、海賊の逮捕、取調べ、証拠収集等の司法警察活動に備えつつ、自衛官とともに海賊行為の監視、情報収集等を行っており、平成21年に第1次隊を派遣して以降、令和7年3月末までに合計50隊403名を派遣しています。
また令和7年2月には、ジブチ共和国沿岸警備隊と海賊護送訓練を実施するなど、連携強化に取り組みました。
今後の取組
海上保安庁では、今後も引き続き、関係国、関係機関と連携しながら、東南アジア周辺海域等及びソマリア沖・アデン湾における海賊対策を的確に実施していきます。
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