海上保安レポート 2025

はじめに


TOPICS 海上保安の1年


特集 平和で美しく豊かな海


目指せ!海上保安官


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 生命を救う

2 治安の確保

3 領海・EEZを守る

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

7 海の事故を防ぐ

2 治安の確保 > CHAPTER I. 海上犯罪の現況
2 治安の確保
CHAPTER I. 海上犯罪の現況
海上保安庁における主な海上犯罪への対応

我が国周辺海域では、違法薬物の密輸や外国人の不法上陸、密漁等、様々な犯罪行為が発生しています。

薬物密輸入事犯については、依然として、一度に大量の薬物を密輸する事犯が相次いで発生しており、その手口は、海上貨物への隠匿や瀬取りなど、大口化・巧妙化の傾向が続いています。

密航事犯については、船員等が単独で不法上陸する等小口化の傾向が続いています。

さらに、広告紙不法投棄事件、「毛がに」の密漁事件、外国船籍貨物船内における船員殺人未遂事件、外国漁船による立入検査忌避事件などについて捜査しており、様々な海上犯罪の取締りを実施しています。

海上保安庁における主な海上犯罪への対応

海上保安庁では、悪質・巧妙な犯罪に対し、巡視船艇・航空機等によるしょう戒、海上保安官による旅客船やターミナルの見回り等により犯罪の未然防止を行うとともに、犯罪発生時には、法と証拠に基づき、犯人の検挙に努めています。

令和6年の現況

令和6年の海上犯罪の送致件数は、7,380件であり、前年より190件(2.6%)増加しました。送致件数を法令別に見ると、海事関係法令違反が2,836件と最も多く全体の38.4%を占め、次いで漁業関係法令違反が2,654件(36.0%)、刑法犯が605件(8.2%)、海上環境関係法令違反が596件(8.1%)となっています。

海事関係法令違反では、検査を受けていない船舶を航行させる無検査航行や定員超過等の船舶安全法関係法令違反が1,179件(41.6%)と最も多く、漁業関係法令違反では、漁業権侵害や水産動植物の違法採捕所持販売、無許可操業等のいわゆる国内密漁事犯が2,621件(98.8%)、刑法犯では、衝突や乗揚げ等の船舶の往来の危険を生じさせる等の罪(業務上過失往来危険等)が461件(76.6%)、乗船者を負傷させる等の過失傷害等の罪が78件(12.9%)、海上環境関係法令違反では、船舶からの油や有害液体物質の排出等を禁止する海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律違反が312件(52.3%)とそれぞれ多く発生しています。

このほか、薬物や金地金の不法輸入(いわゆる密輸)や刃物の不法携帯等を規制する薬物・銃器関係法令違反を108件、不法出入国(いわゆる密航)や不法就労等を規制する出入国関係法令違反を42件送致しています。