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2 治安の確保
CHAPTER IV. 密輸・密航対策
海上からの密輸については、依然として、一度に大量の薬物を密輸する事犯が相次いで発生しているほか、金地金を密輸する事犯も発生しており、その手口は、海上貨物への隠匿や小型船舶を利用した瀬取りによるもので、大口化、巧妙化の傾向が続いています。
また、船舶を利用した密航については、かつて多発した密航船による集団密航ではなく、船員や訪日クルーズ船の乗客が上陸後行方をくらますといった態様が多く、小口化の傾向が続いています。
特に密輸事犯は、暴力団等や外国人の組織的な関与が見受けられることから、国際的な組織犯罪が行われているものと考えられます。
海上保安庁では、関係機関と連携し、我が国の治安及び法秩序を乱す密輸・密航事犯を厳格に取締り、密輸・密航の水際阻止を図っています。
令和6年の現況
密輸事犯について
令和6年の薬物事犯の摘発件数は12件で、押収量は覚醒剤約1044.32kg(末端密売価格約690億円相当)、麻薬(コカイン)約225.19kg(末端価格約56億円)、大麻約8.7kgでした。また、薬物以外の密輸については、金地金約40kg(鑑定価格約5億円相当)を押収しています。
近年、海上からの密輸事犯は、海上貨物への隠匿や小型船舶を利用した瀬取り等の手法により、一度に大量の薬物等を密輸する事犯が発生しており、密輸手口は大口化・巧妙化の傾向が続いています。
また、不正薬物の乱用が依然として顕著であり、若年層への薬物蔓延が懸念される昨今の情勢において、海外からの不正薬物の供給を遮断する観点からも、密輸を水際で阻止することは非常に重要です。
引き続き、監視体制の強化や国内外の関係機関との連携強化を図り、密輸の水際阻止を強力に推進します。
密航事犯について
令和6年における密航事犯の摘発件数は2件であり、不法出国者2名を摘発しました。
近年の船舶を利用した密航は小口化の傾向が続いており、昨年は、留学生や訪日外国人による出国確認を受けずに単独で本邦を出国するといった事案を摘発しています。
海上保安庁では、外国から入港する船舶に対する立入検査のみならず、港湾の監視・警戒、国内外関係機関との連携及び情報収集活動を行うことにより、不法上陸等の防止を図るとともに、犯罪インフラ事犯*の取締りにも重点を置いています。
*犯罪インフラとは、犯罪を助長し、又は容易にする基盤のこと。外国人に係る犯罪インフラ事犯には、不法就労助長、旅券・在留カード等偽造、偽造在留カード所持等が挙げられる。
今後の取組
海上保安庁では、引き続き、国際組織犯罪対策基地を中心に国内外の関係機関との連携を強化しつつ、海事・漁業関係者や地元住民からの情報収集を行うとともに、その分析活動に努め、密輸・密航が行われる可能性が高い海域において、巡視船艇・航空機による重点的な監視・警戒を実施し、密輸・密航の蓋然性が高い地域から来航する船舶に対しても、重点的な立入検査や密輸・密航防止に係る啓発活動を実施し、密輸・密航の水際阻止に努めていきます。
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