令和5年2月6日、トルコ南東部で大規模な地震が発生したことで広範囲にわたり家屋が倒壊し、多くの死傷者が発生しました。海上保安庁は、国際緊急援助隊・救助チームとして、特殊救難隊や各管区の機動救難士等から計14名を現地に派遣しました。現地はタンクに貯めた水が凍るほどの極寒であり、また余震の影響により家屋の崩壊が進むなど、非常に過酷な環境でしたが、一人でも多くの行方不明者を救助すべく、夜を徹して任務を遂行しました。
また、同年2月28日、フィリピン中部ミンドロ島沖で、タンカーが沈没し、付近海域及び沿岸域に重油と見られる油が漂流・漂着しました。海上保安庁は国際緊急援助隊・専門家チームとして、機動防除隊等から計5名を現地に派遣し、フィリピン沿岸警備隊と協力しながら油防除活動を実施するなど、高い専門知識や技術を駆使して任務を遂行しました。
海上保安庁は、国際緊急援助隊の一員として年間を通じ様々な訓練等を実施し、いつどこで起こるかわからない災害に備えています。
トルコにおける活動状況 (提供)JICA
フィリピンにおける活動状況 (提供)JICA
令和5年8月、近畿地方を縦断した台風7号により甚大な被害を受けた舞鶴市久田美地区で、海上保安学校学生ら約80名が災害復旧活動を行いました。
8月15日に和歌山県潮岬付近に上陸した台風は勢力を落とすことなく日本海に抜け、海上保安学校のある舞鶴市では暴風が吹き荒れ、猛烈な雨が降り、特に山間部の久田美地区では土砂崩れや家屋の浸水が広範囲に発生するなど、大きな爪痕が残りました。高齢化が進む同地区復旧のため、舞鶴市や舞鶴市福祉協議会は災害ボランティアセンターを開設し、海上保安学校教職員・学生も災害復旧ボランティアに参加しました。
夏期休暇明けの学生約60名と教職員は、汗と泥にまみれ、ぬかるみに足を取られながらシャベルを使って住宅に流れ込んだ土砂の撤去や屋内の泥のかきだし、家具の搬出等を行いました。ボランティア活動を行った4日間は連日猛暑が続いたことから、小まめな水分補給や休憩を取るなど、熱中症に注意をしながら過酷な作業に汗を流しました。
ボランティアの合間には地域住民から「ありがとうございます」、「来てくれて助かります」等の感謝の声を掛けられ、ある学生は額の汗を拭いながら「自然災害の現場を初めて見た。少しでも役に立つことができて嬉しい。」と語り、充実感に満ち溢れた表情をしていました。
後日、舞鶴市長から謝意が伝えられ、日頃から海上保安学校を温かく見守っていただいている舞鶴市に少しでも恩返しができました。
家具の搬出作業を行う学生達
住宅の土砂かきだしを行う学生達