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特集 海をかけるひと
特集2 〜海を舞台に駆け回る〜
海上保安官の職場は?
海、空、陸、さまざまなフィールドで活躍できます。
海上保安官という言葉どおり、働く拠点の多くは海から近い場所にありますが、船の上で働く人は海上保安官の約半数。残りの半数は陸や空で働いています。このほか、特殊救難隊、特殊警備隊、機動防除隊、潜水士、国際捜査官、鑑識官、情報処理官、大洋調査官など各分野のスペシャリストとしてのキャリアパスも個人の能力や適性に応じて開かれています。
海 |
船 艇 |
●航海科職員
●機関科職員
●通信科職員
●主計科職員
●運用司令科職員
●航空科職員
●観測科職員 |
操船、見張り、航海計画の立案、船体の手入れなどを担当
エンジンの運転や整備、燃料油の管理などを担当
巡視船艇や一般船舶との通信、通信機器の整備を担当
庶務や経理、物品などの管理、調理、看護などを担当
情報の収集・分析、対処方針の立案・調整を担当
へリコプター搭載型巡視船に乗り、ヘリコプターの操縦や整備、航空通信を担当
測量船に乗り、日本周辺海域の観測・調査を担当 |
空 |
航空機 |
●飛行科職員
●整備科職員
●通信科職員 |
航空機の操縦を担当
航空機の機体整備などを担当
通信機器の操作などを担当 |
陸 |
デスクワーク |
●総務業務
●経理補給業務
●装備技術業務
●情報通信業務
●警備救難業務
●海洋情報業務
●海上交通業務 |
政策の企画・立案や総合調整、広報、職員の人事や福利厚生などを担当
予算の執行、施設や物品などの管理を担当
船舶の建造および維持に関する業務のほか、技術的事頂の調査を担当
情報通信システムの整備、管理などを担当
領海警備や海上犯罪の捜査、海難救助、巡視船艇・航空機の運用調整を担当
海洋情報の収集・提供、海図の作製などを担当
海上交通ルールの設定や航路標識の管理、海難の調査などを担当 |
■船 長
船舶運航の全般を統括し、指揮監督する最高責任者です。
■業務管理官
業務計画などを企画立案し、船長を補佐する業務監督責任者です。
■航海科職員(航海長、首席航海士、主任航海士、航海士、航海士補)
操船、見張り、航海計画の立案、船体の手入れなどを担当します。
操舵室
■通信科職員(通信長、首席通信士、主任通信士、通信士、通信士補)
一般船舶や他の巡視船艇との通信、通信機器の整備などを担当します。
通信室
■航空科職員(航空長、首席飛行士、主任飛行士、飛行士、飛行士補、首席整備士、主任整備士、整備士、整備士補、首席航空通信士、主任航空通信士、航空通信士、航空通信士補)
ヘリコプターの操縦、整備、航空通信を担当します。
飛行甲板
■運用司令科職員(運用司令長、首席運用司令士、主任運用司令士、運用司令士、運用司令士補)
情報の収集・分析、対処方針の立案・調整を担当します。
OIC区画
■機関科職員(機関長、首席機関士、主任機関士、機関士、機関士補)
エンジンの運転や整備、燃料油の管理などを担当します。
機関室
■主計科職員(主計長、首席主計士、主任主計士、主計士、主計士補)
庶務や経理、物品などの管理、調理、看護などを担当します。
調理室
海上保安庁のスペシャリスト集団
■警備系 ■救難系・防災系 ■国際系 ■捜査系 ■航行安全系 ■整備系 ■海洋調査系 ■システム系 ■教 育 ■音 楽 ■他機関への出向
海保の有名なスペシャリスト
そのほかの様々なスペシャリスト
海上保安官の1日〜私が海上保安官になったら〜
巡視船艇乗組員の1日
巡視艇や小型の巡視船は、湾内や沿岸等、身近な海域を活動範囲とし、日帰りや数日間の洋上しょう戒(海域のパトロール)のほか、海上犯罪捜査や海難救助などの突発事案にその機動力を活かし迅速に対応します。
*大型の巡視船は、出港後24時間体制でしょう戒等を行うため、乗組員は交代で航海当直にあたります。基本的には0〜4時と12〜16時勤務、4〜8時と16〜20時勤務、8〜12時と20〜24時勤務の三交代制です。
※場合によっては超過勤務として働くことがあります。
パイロットの1日
航空機は、全国の海上保安航空基地・航空基地等に配備され、その優れた機動力と監視能力によって、海洋秩序の維持、海難救助、海上災害の防止、海洋汚染の監視取締り、海上交通の安全確保等に従事するほか、火山監視や沿岸域の測量等に活躍しています。
特殊救難隊の1日
特殊救難隊は、海上保安庁職員14,681人のうち38人で構成されていて、高度な知識・技術を必要とする特殊海難に対応する能力を有した海難救助のスペシャリストです。
本庁職員(係長)の1日
海上保安庁の本庁は、霞が関に庁舎があります。本庁には、各部(総務部・装備技術部・警備救難部・海洋情報部・交通部)があり、基本的な政策の策定・他省庁との調整・国会対応等を行い、海上保安行政の「舵取り」を担っています。
今回、紹介する総務部政務課企画係は、海上保安庁の施策の総合調整(他省庁との調整も含む)がメインの業務で、海上保安庁の窓口です。毎日、多くの案件を扱い、部内調整や対外調整を行っているほか、国会対応等も行っています。実は、業務の隙間を見つけ、本紙の作成も当係で行っています!
職員の声
Boys be Ambitious!!
福岡海上保安部 巡視船あそ 主任航海士 木村 隆雅
「自分の手で多くの人を助けたい。」そんな思いから、私は海上保安官を目指しました。一般大学を卒業してからでも、幹部海上保安官としてのキャリアを積めることに魅力を感じ、初任科を選びました。現在は、赴任1年目ですが、指揮官として操船や甲板指揮、現場班長などの仕事をしています。
昨今の世界情勢から、法執行機関としての海上保安庁の国際的重要度が増し、業務も多様化しています。巡視船艇では、領海警備や犯罪取締りなど、現場の最前線で様々な業務を行い、国民の負託に応えられるよう、日々活動しています。そして、海でしか見ることができない世界、考え方が、現場にはあります。今まで経験したことのない緊張感やダイナミズムを感じながら仕事ができること。それが海上保安官のやりがいです。
海洋調査で海を守る!
海上保安庁 海洋情報部 沿岸調査課 沿岸調査官付 藤田 栞菜
未知の海を調査してみたいという思いから、海上保安学校海洋科学課程へ入学しました。卒業後は、管区本部の海洋情報部で測量・海象(海の流れや潮汐など)・自律型海洋観測装置(AOV)の海洋調査業務を経験しました。海洋調査業務は、陸上で解析等をすることもあれば、船上で作業することもあります。現在は、本庁にて管区AOV調査のとりまとめを担当しています。
AOVは、燃料を使わず波の上下動を利用して自律航走する遠隔操作可能な海洋観測装置です。時代の流れに合った最新機器を用いて海洋権益に関わるデータ等を取得しており、海洋立国の重要な役割の一端を担っていると実感しています。
ありがとうの言葉を励みに!
第五管区海上保安本部 経理補給部 補給課 補給調達官 河合 寛子
学生時代に船でアジアの国々を周遊した経験から、海を舞台に働く職業に憧れ、海上保安官になりました。巡視船で勤務していた時は、主計科職員として船での調理や事務を行う傍ら海難救助や領海警備業務等にあたり、陸上職員となった現在は、経理補給部で現場を裏で支える業務を行っています。
補給課は、予算執行のための最初の窓口であり、各担当者から現場で必要な物品や修理、時には急を要する調達の相談や依頼が飛び込んでくるため、適時に調達できるよう担当者と打合せ、連携して契約事務を行っています。各担当者がかけてくれる「ありがとう」の言葉が励みになっています。
繋げレスキュー魂!
第三管区海上保安本部 羽田特殊救難基地 特殊救難隊 隊長 川田 匡剛
私が海上保安学校を卒業した平成16年に、富山港で海王丸座礁事故が発生し、その際に荒天下で救助活動に当たる特殊救難隊の姿に強い衝撃を受け、特殊救難隊員になることを決意しました。
その後、小樽海上保安部の巡視船勤務中に潜水士となり、機動救難士を経て特殊救難隊員となりました。現在は隊長として部下を指揮する立場となり、後輩隊員を指導する役割を担っています。
「できないことをできるように、自分の限界を突破しよう!」という思いと特殊救難隊のオレンジ服に込められた使命を胸に、助けを待つ1人でも多くの方に寄り添えるように日々精進し、更に成長していきたいと思います。
海上保安庁の船艇の“アレ”を一手に担う!
第六管区海上保安本部 船舶技術部 技術課 船舶工務官付 田 真彦
船舶工務官は、各現場で颯爽と大海原駆ける当庁船艇の、建造や修理に関するマネージメントおよび当庁船艇の性能維持に関する乗組員への技術指導などを行っています。多種多様な業務をこなす毎日ですが、船舶工務官による技術指導で故障が復旧して乗組員からの感謝の声を受け取ったときや、自身が関わった新造船が現場で活躍する姿を見る度に、船艇の建造・性能維持への熱い血潮がたぎります。脈々と受け継がれる船舶工務官の知見を底力に、今後も海上保安業務遂行の礎となる当庁船艇の建造・性能維持業務を闘志溌溂に邁進していきたいと思います。
海上保安庁の政策判断を担う!
海上保安庁 総務部 政務課 企画係 橋口 湧斗
海に関わる仕事がしたいと海上保安学校に入学。現場(船・陸上)を経て、重要なポストを経験してみたいと特修科へ。
現職は、海上保安庁の重要政策の調整などを行う重要なポストであるため、激務が続くこともありますが、自分が頑張った案件が政府の文書に記載された際などの達成感はひとしおです。海上保安官は、2〜3年で異動があり、その時はきつくても、2〜3年後には、全く違う環境で勤務することになり、多様性のある職種です。ここでの経験が次の業務で活きることもあり、様々な経験を積めるこの仕事にやりがいを感じます。
待 遇
海上保安大学校・海上保安学校
[身分]
採用とともに、国家公務員としての身分が付与されます。
国家公務員となりますので、副業は行うことができません。
[社会保障]
国土交通省共済組合員としての保険が適用され、各種社会保障も充実しています。
[厚生]
寮内の医務室に看護師が勤務し、保健指導と診察を受けることができます。寮内に売店、理髪店もあり利用することができます。
[給与]
毎月約16万円の給与が支給されます。
※初任科は毎月約19万円。
[授業料など]
入学金、寄付金、授業料は一切不要となります。
制服や生活に必要な寝具類はすべて貸与されます。
[休日]
週休2日制で、原則土日・祝日は休日となります。
金・土曜日の夜など、休日の前日は外泊も可能です(許可制)。
長期休暇もあり、この間は寮を閉鎖し、全学生が実家などに帰省することとなります。
※海上保安大学校:夏季4週間、冬季2週間、春季3週間。
海上保安学校:夏季2週間、冬季1週間
現場配属後(海上保安官)
[勤務時間・休暇]
- ●週休2日制
- ●巡視船艇勤務の場合は、不定休。
陸上勤務の場合は、基本的に土日・祝日が休日。
ただし、勤務先によって変わることもあります。
- ●緊急対応などのために休日出勤もあります。
ただし、この場合は、代休または手当てが支給されます。
- ●年次休暇(年20日、20日を限度として翌年に繰越可)
- ●特別休暇(結婚、出産、忌引、夏季休暇、ボランティア休暇など)
- ●病気休暇(負傷、疾病による場合)
- ●介護休暇
- ●育児休暇
[給与]
海上保安庁の給与(諸手当を含む)は、一般職の国家公務員の給与に関する法律等の法令の定めに従い支給されています。以下に海上保安官の月収の例を紹介します。
例1 : 保安学校卒、大型巡視船の士補、25歳、独身(4/1入学時18歳) 約27万円
例2 : 保安大学校卒、大型巡視船の主任、25歳、独身(4/1入学時18歳) 約29万円
例3 : 保安学校卒、40歳、既婚、子供2人(4/1入学時18歳)
陸上勤務(海上保安部の係長) 約36万円
巡視艇船長 約39万円
例4 : 保安大学校卒、40歳、既婚、子供2人(4/1入学時18歳)
陸上勤務(海上保安部の課長) 約46万円
※上記金額は月々の基本給与額であり、この他、期末・勤勉手当(ボーナス(4.5月/年))や、業務に応じた特殊勤務手当、勤務地によっては地域手当(0〜20%)など様々な諸手当が支給されます。
[公務員宿舎の貸与]
- ●全国各地に設置されている国家公務員宿舎が、公務上必要な職員には貸与されます。
[健康管理]
- ●全国の主要都市やその周辺には国家公務員共済組合連合会直営の病院が整備されています。管区海上保安本部などに診断所もあり利用できます。
- ●年1回以上の定期健康診断(または人間ドック)が実施され、病気の早期発見、早期治療に努め、職員の健康管理が行われています。万一、公務上の災害、または通勤による災害を受けた時には、国家公務員災害補償法に基づく補償を受けられます。
[貸与制度]
- ●急に必要となった臨時の支出(結婚、進学、医療、災害など)や住宅を新築、増改築する際の資金を借りられます。
[給付制度]
- ●病気・負傷の場合には医療費などの一部支給が、出産の場合には、出産費の給付があります。また、国家公務員共済組合法に基づく、老齢厚生年金や障害厚生年金などの給付もあります。
[宿泊保養施設]
- ●主な保養地や有名都市には、国家公務員共済組合連合会などが経営する宿泊保養施設があり利用できます。
魅力ある職場・現場力向上を目指して 海上保安庁 カイゼン 開始!
昨今、若年人口の減少、社会的価値観の変化といった社会情勢等の影響もあり、人材確保が困難になっているなど、海上保安庁は様々な課題に直面しています。
今後も、国民の皆様の期待に応え、職員一人ひとりが生き生きと働き続けることが出来る組織であり続けるためには、巡視船などの装備の強化だけではなく、テレワークやオンライン会議などを積極的に推進し、家庭と仕事が両立出来る働き方をさらに推進するなど、職員の勤務環境や処遇をより一層改善し、人的基盤の強化を進めなければなりません。
海上保安庁では、このような状況を踏まえ、業務・働き方を“改善”していくことを目標として、昨年、「海上保安庁の強靭かつ持続可能な業務体制の構築に向けた検討委員会」(通称:カイゼン委員会)を立ち上げました。
本委員会では、「ヒトを大事にする組織」、「現場対応能力の高い組織」、「時代に応じて変化する組織」という目指すべき組織像を目標として掲げ、海上保安庁で行っている全ての業務の見直しや、重点化すべき部分と省力化すべき部分の見極め、また、IT技術等を活用した業務の効率化等を図り、現場力を向上させていくことを目的に検討を行っています。
技術革新や働き方の変化に合せ、カイゼンし、更に魅力的となる海上保安庁にご期待ください!
海保の働き方
ライフワークバランス
家庭と仕事の両立支援制度の利用促進
誰もが能力を発揮し活力ある職場を作るためには、男女を問わず育児・介護を行いながら安心して働き続けられる仕組みが必要です。
海上保安庁では、「Work」の前に「Life」があるという考えのもと、職員一人ひとりの「ライフワークバランス」に取り組んでおり、育児休業や介護休暇をはじめとする各種両立支援制度の活用を推進しています。
また、職員の負担軽減のための時差出勤やフレックスタイム制の活用促進、テレワークを活用した柔軟な働き方の実現への取組などを続けています。加えて人事課からは各種両立支援制度の取得好事例や取得体験記の庁内への発信を積極的に行い、組織全体の理解促進や風土醸成に努めています。
育児休業
新潟航空基地 機動救難士 木下 光
私は、機動救難士として、2023年4月から新潟航空基地にて新人研修を受け、11月に機動救難服を貸与されて以降、実働隊員として、救難業務に携わっています。機動救難士は、海で遭難した人や船の上で病気や事故で負傷した人を、主にヘリコプターを使って救助する業務を行っています。
妻の妊娠が分かったのが、2022年12月頃で、当時私は潜水士として巡視船で勤務していました。妻の希望もあり、子供が生まれると分かった時から育児休業を取得したいと考えていました。しかし、新潟航空基地への異動が決まった段階で、これから待ち受ける新人研修のスケジュールやその他の研修の状況が不透明であったため、休暇を取得することを希望していたものの、実際に取得したいと声をあげて良いものか、思い悩んでいました。
また、取得後の職場復帰および実働経験を積めない不安、他の隊員の業務負担増加の懸念もありましたが、過去に育児休業を取得した経験のある先輩隊員から、「絶対に取得したほうがいい」、「お互い様だから」と強く言っていただけたことや、隊長からも育児休業の制度や復帰後の技量回復について詳しく説明を受けたことで、休暇取得への不安がなくなり、妻と相談した結果、12月からの約1か月間育児休業を取得することにしました。
育児休業中の生活については、晴れた日は近くの公園へ散歩に行ったり、私たち夫婦の実家がある滋賀へ帰省し、友人や親族に娘を会わせたりすることができ、充実した時間を過ごすことができました。また、常に娘と一緒に過ごせたことで、娘のしぐさなど小さな変化に敏感になり、日々成長を感じられたことが何より幸せで、育児休業を取得しなければ経験できなかったであろうことがたくさんありました。
復帰後1週間が経過し、すでにパパ見知りが始まり寂しい気持ちですが、これもまた成長による変化だと思い、オンとオフの切り替えをしっかりして引き続き仕事と育児を両立し、頑張りたいと思います。
また、育児休業取得にかかる調整や期間中の業務を担い配慮してくださった職員の皆様には感謝しています。一日でも早く戦力になれるよう技量回復に努めたいと思います。
今後、取得希望の職員がいれば、「お互い様だから」と声をかけ、積極的に促し、取得しやすい環境を作りたいと思います。
夫が機動救難士になることが決まった時、正直育児休業の取得は難しいだろうと思っていました。しかし、職場の方々が温かく取得を後押ししてくださり、娘が生後3か月の頃に取得できることとなりました。夫婦ともに実家が遠方のため、妊娠中は産後の生活に少し不安がありましたが、休暇を取得できると聞き安心して出産に臨むことができました。育児休業中は夫も私も時間と心に余裕ができ、娘の小さな変化や成長を見逃すことなく、夫婦で共有できたことがとても嬉しかったです。
また、普段から料理などの家事を積極的に行ってくれる夫ですが、育児休業中はそれに加えて、娘を毎日お風呂に入れ、寝かしつけをしてくれて大変助かりました。
今回、夫の育児休業によりご協力いただきました職場の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。
上司の声
新潟航空基地 上席機動救難士 須澤 佑策
木下官から育児休業取得について相談を受けたのは、4か月ほど前の事でした。育児休業を取得することについては、機動救難士総員でフォローすれば問題ないと判断し、快諾しました。しかし、木下官は今年度機動救難士に配属された新任機動救難士であり、お子さんが出生された後には、出動隊員の指名および長期の研修を控えている状況であったため、取得するタイミングおよび期間について調整が必要でした。
これから出動隊員に指名される予定であったため、指名後は機動救難士としての能力を高めつつ、様々な事案に出動したいという気持ちもあったと思いますが、家族あっての木下官がいること、奥様も育児休業取得をご希望されていることから、約1か月の育児休業を取得してもらうことになりました。また、育児休業とその後の研修により長期間現場を離れることによる技量低下への不安については、研修を終えた後、再度技量回復するための訓練を実施することを説明し、育児休業に専念してもらいました。
育児休業を終えた後、出勤した木下官は、育児休業前と変わらない、いや、それ以上の熱い姿勢で業務に取り組んでおり、また、休憩時間に他の隊員と成長した我が子の話を楽しそうにしている姿を見ると、育児休業を取得してご家族との大切な時間を過ごすことができただけでなく、その経験が仕事への活力にも繋がっていると感じました。
今後も育児休業の取得を希望する職員がいる場合は、その職員の背景にあった期間やタイミングで取得できるよう、積極的に相談にのり、後押しできたらと思います。
フレックスタイム勤務×テレワーク 柔軟な働き方の実現
海上保安庁総務部人事課 定員係長 中島 慧
海保レポートを手に取ってくれた皆さん、こんにちは! 私は、本庁人事課で定員担当の係長をしています。海の安全・安心を守るためにどのような仕事をする海上保安官がそれぞれ何人必要なのか、1万5千人ほどの定員を増やしたり減らしたりしてバランスを調整するのが仕事です。霞が関ならではのダイナミックな仕事にチームのみんなで汗をかきながら取り組んでいます。家庭では、小学校と保育園に通う3人の子どもの育児に翻弄されながらも充実した日々を送っています。
私の1週間の生活は例えばこんな感じです。
テレワークの日には、一人で集中できる環境を活かして資料の作成やロジックの組立などを行い、出勤の日に打合せをして方向性を確認しています。また、「これは私がやりますよ。ここまで作成しています。」といったように作業の進捗を共有することを心掛けています。
家でも妻と交替で家事をしているので、「今日は夕飯をみんな完食したよ」「来週の参観日はお願いね。」といった些細なことを確認しています。なんだかドイツ流「タンデム方式」の働き方を家庭で実践しているような気持ちです。
霞が関の職場環境はブラックだと揶揄されることもありますが、昨今、公務員の様々な制度改革が進められており、海上保安庁においても人にやさしい組織づくりが進んでいると感じます。特に、制度面のみならず、子供の急な発熱などに対しても上司をはじめ職場の皆さんが「家庭第一だよ」などと声をかけてくれますので、いつも温かい雰囲気に支えられています。職員一人ひとりの事情は異なると思いますが、多様な働き方が認められることが海保の強みになるものと信じています。
(・。・; おっと、もうこんな時間!! そろそろ娘が帰ってきますね。
Teamsで報告をして、、「テレワーク終了します。お先に失礼します。」頭を家事モードに切り替えです!
最後まで、読んでいただきありがとうございました。
部下の声
海上保安庁 総務部 人事課 定員係 小林 将大
女性の社会参画と、男性の家庭参画が両面から推進されるなかで、中島係長の働き方は、まさにそれを実践する、時代に即した働き方だと感じています。
業務においては、相談事やちょっとした打合せなど、何かあればTeams等のツールで頻繁にコミュニケーションをとっているのでテレワークでも距離を感じることなく、隣に座っている時と何ら変わりなく、業務ができています。
また『頼れる係長』×『家族想いのパパ』という仕事と家庭のバランスを重視する係長の影響もあり、係内では、よく旅行の話や笑えるような子供の出来事などプライベートな会話も飛び交い、必然的にテレワークや休みが取りやすい環境が醸成されています。
私自身、これまで平日は子供の寝顔しか見れない日も多くありましたが、テレワークを積極的に活用するようになり、妻の職場復帰を後押しすることができましたし、なにより家族との時間が増え、家事・育児の大変さ、日々成長する子供とのかけがえのない時間の大切さを身に染みて感じています。
これからも様々なキャリアパスを辿ることと思いますが、仕事が終わればスーツからエプロンに着替え、パソコン・マウスを包丁・洗濯物に持ち替えるような、仕事と家庭を両立した働き方を続けていきたいと思います。
『おっと、、息子が泣いてる行かなくちゃ!!』
ではっ、私もお先に失礼します。
輝く! 女性海上保安官
女性活躍近況
海上保安庁では、昭和54年から海上保安学校において女子学生の採用を開始し、令和5年4月1日現在、1,316人の女性職員が在籍しており、全職員の9.0%の割合となっています。本庁の課長や室長、海上保安署長、巡視船艇の船長や機関長、パイロット、海上交通センター運用管制官等、様々な業務を遂行しています。
海上保安庁では様々な分野で活躍する女性保安官が増えています!
今回は航空基地に所属する女性整備士にインタビューに答えてもらいました!
第十一管区海上保安本部 那覇航空基地 整備員 佐藤 心那
簡単な経歴
私は中日本航空専門学校整備科二等航空整備士飛行機ピストンコースを卒業後、海上保安庁へ入庁し門司分校で半年研修を行い、現在は那覇航空基地で整備員として勤務しています。
現在の業務
整備員として機体の整備作業や航空機運航支援作業といった業務を行うとともに、航空員として航空機に同乗し警備救難業務にも従事しています。
那覇航空基地はほかの航空基地等に比べ所属する機体が多く、固定翼機ではファルコン2000、ボンバル300、回転翼機ではアグスタ139と様々な機体の整備作業に携わることができます。また、フライト時間も多いため、その分、整備作業も多く整備員としてたくさんの経験を積むことができます。
航空員として固定翼機では捜索や不審船の写真撮影、物件投下等の業務を行い、回転翼機では捜索や見張り等の業務を行うとともに、吊上げ救助時には要救助者を機体に引き込んだりといった海難救助作業にも従事しています。
嬉しかった・やりがいを感じた経験
年末に回転翼機の発動事案が立て続けに発生した際、初めて回転翼機の航空員として合計3名の吊上げ救助に携わった時が一番やりがいを感じました。海面から要救助者を吊上げ、病院へ搬送するまでの間、訓練とは違った緊張感が続きました。回転翼機の待機に入るようになり1か月しか経過していませんでしたが、船舶との合同訓練や病院への引き渡し訓練を経験していたので落ち着いて対応することができました。また、普段から先輩に言われていた「パイロットやホイストマンは要救助者を集中して見ているため、航空要員は周囲の警戒をすること」が自然にでき、いち早く小型船舶の接近に気づき乗員にアサーションするなど、日ごろの訓練の成果が実感できたことが嬉しかったです。
女性保安官を目指す人へのメッセージ
海上保安庁といえば、船艇で勤務するイメージが強いかと思いますが、現在海上保安庁の女性航空整備士は30名います。男性と比べると体力面では劣る部分も多いですが、体の使い方を覚え、資機材を使うことで私一人でもこなせる作業がほとんどで、狭い場所や細かい作業は女性のほうが有利なこともあります。また、整備作業のみならず警備救難業務にも従事するため、男性女性にかかわらず活躍できる場はたくさんあります。
海上保安庁の整備士は整備した機体に自ら乗り込み、人命救助に携わることができる、やりがいの感じることのできる職種だと思います。
今後の抱負
現在、ボンバル300の一等航空整備士資格の取得を目指し、日々業務に取り組んでいます。資格取得に向けた知識だけでなく、実際のトラブルにも対応できるよう技術を磨くとともに、経験を積み、現場第一線で活躍できる整備士として業務に励んでいきたいです。
女性活躍推進への取組
〈研修の実施〉
職員を対象としたライフワークバランス推進、働き方改革やハラスメントの防止に係る研修を実施しています。
〈マタニティ服〉
組織が職員の妊娠を共に喜び、出産・育児休業を取得した後は、職場に戻ってきてほしい! という思いを込めたマタニティ服が妊娠中の女性保安官に愛用されています。
〈女性職員の生活空間〉
女性職員が一層働きやすい職場環境を整備するため、部署のニーズに基づき女性施設の拡張や修繕が進められています。
福岡海上保安部では、元々書庫として使用していたスペースを女性職員が休憩できる女性諸室に改修し、現在は女性職員の憩いの場となっています。
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