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特集3 〜目指せ! 海上保安官〜
海上保安官になるには?
海上保安大学校、海上保安学校という選択肢があります。
海上保安官には、巡視船艇での勤務などの海上勤務だけでなく、本庁や管区本部などでの陸上における勤務や海外での勤務など、様々な活躍の場があります。このような舞台で活躍する海上保安官には、幅広い知識や技能だけでなく、特殊な業務を行うための専門的な能力も求められるため、海上保安官を養成するための教育機関である海上保安大学校や海上保安学校での学びが必要です。
どちらも、学校という名前がついていますが、入学と同時に国家公務員としての身分が与えられます。そのため、海上保安大学校(本科)と海上保安学校は毎月約16万円、海上保安大学校(初任科)は毎月約19万円の給与が支給されます。両校ともに全寮制で、規律ある団体生活を送ります。学生は、この団体生活を通じて、正義仁愛の精神、リーダーシップ・チームワークの体得や気力・体力の錬成を図ります。
幹部海上保安官になる:海上保安大学校
海上保安庁の幹部職員に必要な知識や技能を教授し、心身の錬成を図るとともに、海洋政策に関する調査研修をすることを目的とした、広島県呉市にある教育機関です。
教育方針
- 1. 人格の陶冶とリーダーシップの涵養
- 2. 高い教養と見識の修得
- 3. 強靭な気力・体力の育成
海上保安大学校ホームベージ
本 科
〈受験資格:高校卒業後02年未満まで〉
教育期間:4年9か月
2学年の後半から、航海、機関、情報通信に分かれます。本科を卒業した学生は専攻科に進み、世界を一周する遠洋航海実習を行い、国際感覚を養います。その後、3か月間の研修科(国際業務課程)において、語学を中心とした国際業務対応能力や実践的な海上保安業務に関する知識を習得します。
カリキュラム
取得する資格・免許
卒業後の進路
卒業後はまず巡視船の初級幹部として配属され、海難救助、海洋環境の保全、海上における治安の確保、海上交通の安全の確保などに従事します。
その後、本庁、管区本部などの陸上勤務となり、海上保安行政の企画・立案、各省庁などとの協議・調整などを担い、海上勤務、陸上勤務を交互に経験しながら、様々なキャリアを積み幹部職員となります。また、希望と適性により、航空機のパイロット、特殊救難隊、潜水士、国際捜査官、大学校教官などの分野に進むほか、大使館・国際機関などの在外機関に出向する機会もあり、海上保安業務の多方面で活躍することができます。
※詳しくは、キャリアアップモデルコースを参照。
初任科
〈受験資格:大学卒業後30歳未満まで〉
教育期間:2年9か月
航海・機関に分かれて学びます。令和6年度以降の初任科入学生については、初任科等修了後、本科卒業生と同様、専攻科に進み、世界一周の遠洋航海実習を行い、国際感覚を養います。その後、研修科(国際業務課程)で語学を中心とした国際業務対応能力や実践的な海上保安業務に関する知識を習得します。
カリキュラム
取得する資格・免許
卒業後の進路
初級幹部職員として、日本全国の巡視船などに配属され、海上における犯罪の取り締まり、領海警備、海難救助、海上交通の安全確保などの業務に従事します。その後、本庁や管区海上保安部、巡視船などに勤務しつつ、幹部職員としての経験を積んでいくことになります。
※詳しくは、キャリアアップモデルコースを参照。
乗船実習
海を舞台として活躍する海上保安官には、機動力の源となる巡視船艇を自在に操る技術、そして海上で発生する現象に精通するプロとしての能力が求められます。海上勤務時に乗船する巡視船艇の運航業務を果たせるよう、航海・機関・情報通信の専攻に応じた配置で現場に則した乗船実習を実施しています。
本科、初任科対象 国内航海実習
練習船「こじま」などに実習生として乗船し、日本全国の沿岸や近海の国内航海を経験します。
各種訓練を通じて、船舶運航に関する航海・機関・情報通信の各専門分野の知識・技能を身につけるとともに、海上保安業務に関する知識を習得します。
■実習場所
本 科 |
1学年 |
九州、四国および近海 |
3学年 |
瀬戸内海、本州、北海道、四国、九州、南西諸島沿岸や近海 |
4学年 |
瀬戸内海、本州南東岸、四国、九州沿岸や近海 |
初任科 特修科 研修科 |
|
瀬戸内海、本州沿岸ほか 瀬戸内海、本州沿岸ほか 九州、四国および近海 |
大時化のインド洋
船からの朝焼け
操船実習
搭載艇揚降訓練
船内防水訓練
航海実習で同期の絆が深まった
海上保安大学校(本科)卒業生 山田 達也
- ●出身地…愛知県
- ●出身校…愛知県立昭和高等学校
- ●休日の過ごし方…ゴルフ、居酒屋巡り
本科の4年間で3回、国内航海実習を経験しましたが、最初は波の影響を受けて動揺する船の中で船酔いし、食事も喉を通りませんでした。しかし、街の明かりが届かない夜の洋上では、綺麗な星空に感動しました。また時にはイルカやクジラなど野生動物と遭遇して感動するなど、航海実習は自然の脅威と美しさを体感できます。
実習中に感じたのは、仲間と助け合うことの重要性。様々な機械の集合体である“船”は、仲間が力を合わせなければ円滑に運用できません。同期一人ひとりが得意な分野で助け合い、課題を乗り越えたことで、仲間の大切さを身を以て感じました。こうした経験を生かして人から信頼される海上保安官になりたいです。
専攻科対象 遠洋航海実習
太平洋、パナマ運河、カリブ海、大西洋、地中海、スエズ運河、インド洋など、世界一周の遠洋航海を経験します。
約3か月の遠洋航海で船舶運航に関する技術の習得、精神力、実践力および統率力を身につけます。寄港地の文化や生活に直接触れることによって見聞が広まり、現地の海上保安機関や市民との国際交流を通じて国際感覚も養います。
■実習概要
対 象 |
専攻科 |
期 間 |
約3か月 |
寄港地 |
サンフランシスコ、ニューヨーク、ピレウス(ギリシャ)、シンガポール、ダナン(ベトナム)など |
- ●航海日数…100日
- ●総航程…約26,000海里
※2019年度の寄港地です。寄港地は年によって変わります。
視野や興味の幅が広がる遠洋航海
海上保安大学校(本科)卒業生 藤本 雄紀
- ●出身地…広島県
- ●出身校…広島市立安佐北高等学校
- ●休日の過ごし方…朝トレーニング、バイクツーリング、登山
遠洋航海では、外国の海上保安機関との合同訓練や施設見学を行ったことで、考え方の違いや各国が直面する課題を知り大きく視野が広がりました。一方で、約3週間の連続航海の中で、米国カリフォルニア沖で大しけに遭い、船酔いしながら試行錯誤して臨んだ訓練は今でも忘れられません。最近は、外国の海上保安機関との連携協力の強化や海上保安機関への能力向上支援など、海上保安業務の国際化が進んでおり、業務も多方面に広がっています。
今後の海上保安官人生においても、これまでに誰も経験したことのない事態に遭うこともあるかもしれません。そのようなときには、臆することなく、慢心することなく、挑戦し続けられる海上保安官でありたいです。
海上保安大学校の1日
日々規律正しい生活を送る中には、座学や実習といった授業以外にも、部活動や寮生活を通じてたくさんの学びがあります。 全国各地から来た同期とのつながりは、厳しい寮生活の支えになります。
■年間行事
海上保安庁の業務は幅広いグローバルに活躍できる海上保安官になりたい
本科第4学年 航海科 野上 亮子
- ●出身地…鹿児島県
- ●出身校…鹿児島県立鹿児島南高等学校
- ●休日の過ごし方…サイクリング、カフェ巡り、語学学習
小学生の頃に参加した遠泳大会に巡視船が来て応援メッセージを送ってくれました。そのときに、海上保安官という職業を知り「海の警察」に憧れを抱き海上保安官を志しました。
2学年後半で航海、機関、情報通信に分かれ、航海科に進むと、どのように操船すれば船を安全に走らせられるか運動方程式などを用いた検討や、船舶の衝突事案をもとに、衝突角度や速力などから原因を探る演習があり、実践的で非常に興味深く学んでいます。4年間の大学校生活を通し、幅広い海上保安庁の業務から、時間をかけて目指すものを見つけられます。
現場に出てからは、海を舞台に「正義仁愛」の精神で業務に携わり、在学中に関わった学生等国際会議や海外研修での経験や人脈を活かし、海外の海上保安機関と連携してグローバルに活躍できる海上保安官になりたいです。
海上保安官になる決意 『人の命を救いたい』
初任科 航海科 江口 貴翔
- ●出身地…東京都
- ●出身校…慶応義塾大学経済学部経済学科
- ●休日の過ごし方…筋トレ、ランニングなど
ぼんやりと幼い頃から思い描いてきた人命救助・潜水士への気持ちが、将来のキャリアについて真剣に考え始めた大学時代から強くなり、海上保安官になるという決意をしました。
大学生活で学んだことを幹部海上保安官として役立てたい、より大きな裁量をもって働きたいと考え、「海上保安官採用試験」を受験しました。
大学校の教官方は潜水士や特別警備隊など海上保安庁の多くの業種を経験しているため、その経験談やアドバイスを聞くことができ、毎日モチベーション高く生活しています。
今後は、海上保安大学校や現場で多くのことを学び、目標としていた潜水士として人命救助の最前線に立ち、経験を活かした制度改革などにも携わりたいです。
現場第一線の海上保安官になる:海上保安学校
〈受験資格:高校卒業後12年未満まで〉
教育期間:1年〜2年
海上保安業務に必要な知識と技能の習得、心身の錬成を行い、現場業務に即応できる海上保安官の育成を目的に設置された海上保安庁の教育機関です。
三方を海に囲まれた京都府舞鶴市にある学校です。
海上保安学校ホームベージ
カリキュラム
取得する資格・免許
卒業後の進路
特殊業務への道
卒業後、一定期間の実務経験を積んだ後、本人の希望と適性によって選抜された者のみ一定期間の研修を経て、下記の職種に進むこともできます。
【一般課程(航空整備コースを除く)】
- ●潜水士、特殊救難隊、機動救難士
- ●国際捜査官(ロシア語、韓国語、中国語などの通訳業務など)
- ●航空機の通信士
幹部登用への道
海上保安学校の卒業生が幹部要員(課長以上)に昇進するには、所定の実務経験を積んだ後(在職3年以上が目安)、選抜試験を受けて海上保安大学校特修科(1年または6か月)に進むことにより、幹部へ登用される道が開かれています。特修科選抜には高卒・大卒による有利不利はありません。
※詳しくは、キャリアアップモデルコースを参照。
乗船実習
学生たちは、それぞれの分野で巡視船艇のプロフェッショナルになることを目指し、練習船「みうら」などに乗船して本州沿岸海域で訓練を行います。いかなる条件においても対応できるようになることが目標です。
乗船式
船橋航海実習
搭載艇揚降訓練
甲板作業実習
調理実習
船橋航海実習
海図測定実習
朝の体操
調理実習
搭載艇操船訓練
絆が深まる端艇訓練
航空課程 畑中 大樹
- ●出身地…福岡県
- ●出身校…ハワイ大学ホノルル校
- ●休日の過ごし方…ウクレレ、ヨット
幼少時からパイロットへの憧れを抱いており、パイロットになるための道を模索していた中で、海上保安学校の航空課程を知り、進学を決断しました。
私が、海上保安学校の訓練で特に魅力を感じるのは、端艇訓練です。端艇訓練では、15人程度の漕ぎ手が協力して操船することが求められるため、訓練を通してクラスメイトとの絆が一層深まりました。
また、海上保安学校では、海上保安官に必要な専門的な知識を学ぶため、けん銃の取扱いや鑑識、逮捕術など、他では経験できない授業や訓練を受けることができます。
授業や実習を通して、単に航空機を操縦するだけでなく、他の科との連携が重要であることを実感しました。現場配属後は、パイロットの役割を超えてチームとして業務へ取り組む海上保安官になりたいです。
国民の期待と信頼に応えられる海上保安官になりたい!
船舶運航システム課程 機関コース 亀島 知起
- ●出身地…徳島県
- ●出身校…阿南工業高等専門学校
- ●休日の過ごし方…プール、読書、同期と食事
進路を選択する時期に、海上保安官や海上保安学校を知りました。小さい頃から、車や鉄道といった乗り物が好きだったこと、自転車の整備などの機械いじりが好きだったことや高専で5年間機械のことを学んだこともあり、自分の得意な分野で働きたいと考え、船舶運航システム課程の機関コースを選びました。
船内工作の授業では、船で使用されている機器を用いた実習ができ、測定やメンテナンス方法を学ぶことができます。これらの授業は現場を意識した実習となっているため、身が引き締まります。また、海上保安学校では、けん銃、救難防災や刑法など幅広い分野も学ぶことができます。
海上保安庁が大事にしている「正義仁愛」の精神のもと、国民の期待と信頼に応えられるようなかっこいい海上保安官になりたいです。
海上保安学校の1日
日々規律正しい生活を送る中には、座学や実習といった授業以外にも、部活動や寮生活を通じてたくさんの学びがあります。 全国各地から来た同期とのつながりは、厳しい寮生活の支えになります。
■年間行事
女性が活躍できるフィールドがあることに魅力を感じた
管制課程 山口 百香
- ●出身地…兵庫県
- ●出身校…神戸女子大学
- ●休日の過ごし方…買い物、バレーボール、カフェ、同期と外食
公務員合同説明会に参加して、海上交通センターに勤務していた女性職員から話を聞く機会があり、海上保安庁という組織に憧れを抱いたことが受験のきっかけです。
それまで海上保安庁は男性社会の印象が強かったのですが、女性の方の声が無線で聞きやすく、女性が活躍できるフィールドがあることに魅力を感じ、管制課程を選びました。
管制課程は英語の授業が多いため、授業や実習を通して英語のボキャブラリーが増えていきます。管制のシミュレーションで英語の通信が成り立ったときはとても楽しいです。ほかに、警備救難業務について学ぶ科目もあります。覚えることが多く大変ですが、指紋採取の方法や鑑識写真の撮影など、普段の生活では経験できないことなので、とても新鮮に感じています。
現場に出たら、管制官として自分の言葉に責任を持ち、事故を未然に防いで安全な海上交通の構築に寄与できるよう、頑張ります!
同じ志をもつ同期が切磋琢磨する環境
船舶運航システム課程 主計コース 山出 真央
- ●出身地…静岡県
- ●出身校…沼津市立沼津高等学校
- ●休日の過ごし方…友人と散歩や外食
多くの種類の料理を作れるようになり、私の作る料理で乗組員の健康を支えたいと思ったことから、船舶運航システム課程の主計コースを選びました。
海上保安学校は、同じ志を持ち、向上心の高い同期が切磋琢磨する環境であるため、何事にも積極的に取り組めます。運動が得意な学生でもこなすことが難しい制圧訓練の筋力トレーニングであっても、隣を見れば苦しい表情でも頑張っている同期がいるので「やめてしまいたいな」という弱気な心を奮い立たせることができます。(制圧訓練の授業後は達成感がとても大きいです!)私は、海上保安学校で行うこと全てが新鮮で楽しいと感じています。
現場に出てからは、広い視野を持ち、素直かつ謙虚に、何事にも積極的に挑戦する海上保安官になりたいです。
採用試験 ※試験の詳細は、当該年度の各試験受験案内をご確認ください。
海上保安大学校
海上保安大学校〈本科〉受験案内
海上保安大学校〈初任科〉受験案内
受験資格
試験種目・試験の方法 ※変更の可能性があります。詳しくは人事院が発表する受験案内をご確認ください。
海上保安学校
海上保安学校〈10月期〉受験案内
海上保安学校〈4月期〉受験案内
受験資格
試験種目・試験の方法 ※変更の可能性があります。詳しくは人事院が発表する受験案内をご確認ください。
試験の詳細は人事院ホームベージ「国家公務員試験採用情報NAVI」でも確認できます。
お問い合わせ先▶ 海上保安庁総務部教育訓練管理官付 試験募集係/TEL.03-3580-0936
キャリアアップモデルコース ※モデルコースは一例であり、個人の能力、適性などによって異なります。
よくある質問 FAQ
大学校・学校編
Q1:海上保安官に向いているのはどんな人ですか?
A:幅広い業種があるので、一概に向き不向きは言えません。強いて言うならば、多くの卒業生が初任地として勤務する巡視船艇は、一度出港すると数日帰れない場合もあり、また仕事を組織で進めていくので、チームワークを重視できる人が向いているでしょう。
Q2:入学金、授業料は必要ですか?
A:海上保安大学校、海上保安学校ともに入学金や授業料は一切必要ありません。また、学内の生活に必要な制服や寝具類は貸与されます。ただし、教科書、食費、身の回り品などは自己負担です。入学時から毎月約16万円*の給与が支給されます。
*初任科は毎月約19万円
Q3:学生は、休日、どのような生活をしていますか?
A:休日は、勉強、運動、趣味、旅行など、各自自由に過ごしています。外出は許可時間が定められていますが、平日・休日共に毎日外出できます。申請をすれば休日の前日から外泊もできます。
Q4:体力に自信がなくても平気ですか?
A:体力に自信がない学生も入学しますが、教官の指導と本人の努力により卒業までに海上保安官として必要な体力が身につきます。また、夏期に実施される遠泳訓練に向けて、能力に応じてプールや海で水泳訓練を行います。泳げないで入学してきた学生も本人の努力次第で泳げるようになります。
採用試験編
Q1:第1次試験のためにどんな勉強や準備をすればいいですか?
A:第1次試験では全試験種目共通して、公務員として必要な基礎的な能力(知識・技能)を問う「基礎能力試験」を行います。その他、課程によって「学科試験」や「作文試験」「課題論文試験」がありますので、受験をする課程の試験種目をよく確認して試験に臨んでください。
Q2:第2次試験ではどんなことをするのですか?
A:第2次試験では、次の試験を行います。
- ●人物試験:人柄、対人能力などについての個別面接
- ●身体検査:主として胸部疾患、血圧、尿、その他一般内科検査
- ●身体測定:身長、体重、視力、色覚、聴力についての測定
- ●体力検査:反復横跳び、上体起こし、鉄棒両手ぶら下がり*
*海上保安学校海洋科学課程は「鉄棒両手ぶら下がり」のみ海上保安学校航空課程は第2次試験で身体検査、身体測定、体力検査を、第3次試験で人物試験、身体検査、適性検査を実施
Q3:海上保安大学校と海上保安学校の採用試験の併願はできますか?
A:試験日が異なりますので、年齢などの受験資格を満たせば、併願可能です。
Q4:受験にあたって有利となる学校、学科や資格はありますか?文系からの受験でも大丈夫ですか?
A:採用試験は、必要な受験資格を有している方であれば、どなたでも受験可能です。受験生の出身校、経歴や取得している資格によって有利不利になることはありません。
また、受験することには文系、理系による区別はなく、実際に文系出身者も採用試験に合格し、入学しています。
現場編
Q1:海外勤務や他機関への出向はありますか?
A:大使館や国際機関などの在外機関に外交官として出向する機会があります。出向先としては、ロシア・中国・韓国などの近隣の国々に加え、東南アジア諸国や欧米などもあります。海上保安庁では、関係機関との人事交流を推進し、広い見識を備えた海上保安官の育成に努めるほか、さらなる関係機関との連携強化を進めています。
Q2:休みに旅行はできますか?
A:海上保安庁では事件・事故に対応するため、24時間即応体制をとっていますが、当番などを決めており、当番にあたらなければ旅行することもできます。
Q3:どれくらいの頻度で転勤がありますか?
A:人によってばらつきがありますが、2〜3年の頻度で転勤があります。また、海上保安大学校本科・初任科、海上保安学校管制課程・海洋科学課程・航空課程・一般課程(航空整備コース)は全国転勤、海上保安学校一般課程(航空整備コースを除く)は管区内転勤となっています。
その他
Q1:海上保安庁が開催する説明会はありますか?
A:オンライン説明会を月に複数回開催しています。現場を経験したことのある現職の海上保安官が説明しますので、ぜひリアルな声を聞いてみてください。また、各地で開催される就職・進学説明会などに参加させていただくこともあります。ご要望があれば最寄りの海上保安庁の事務所にお問い合わせください。
オンライン説明会はコチラから
様々な研修
ほとんどの海上保安官は、大学校・学校を卒業後、巡視船艇に配属されます。その後は、経験を積みながら、自分の適性や希望に応じて様々な研修を受けることで、それぞれが目指す道に向けてキャリアアップを図っていきます。
海上保安大学校特修科
海上保安学校卒業者・門司分校修了生を対象とした将来の幹部候補生を養成する研修です。一定期間現場で仕事をした後、選抜された職員が、初級幹部として必要な素養を身につけます。
特修科
航空整備士研修
航空機の整備を行うエキスパートを養成する研修です。海上保安学校在学中に選抜試験に合格した者等が、航空機の機種毎に必要な知識・技能を身につけます。
航空整備士研修
潜水研修
海難事故が発生した場合に、転覆船等に取り残された方の救出や漂流者の救助等にあたる潜水士を養成する研修です。約2か月にわたる研修・訓練では、潜水業務に必要な知識・技術、転覆船を想定した救助活動等を行います。
潜水研修
語学研修
外国人犯罪の捜査を行うためには外国語が不可欠であり、現場の捜査で必要なプロフェッショナルを養成する研修です。研修終了後、国際捜査官等として犯罪捜査等の業務に従事します。
語学研修
ほかにも!海上保安官への道
海上保安学校門司分校(福岡県北九州市)
試験案内はコチラから
海上保安庁では、船舶、航空機や無線通信の有資格者を対象に門司分校での採用を行っています。
海上保安学校門司分校では、採用された者に対して、約6か月間、海上保安官として必要な知識、技能および体力を錬成するための初任者研修を行っています。また、現場の職員に対して資質と能力の向上を図るための業務研修も行っています。
海上保安学校 門司分校 研修科 船艇職員初任者課程 第90期 松田 昌之
私は、一般大学を卒業後、民間の警備会社に5年ほど勤めておりましたが、以前から抱いていた、司法警察職員として働きたいという思いが断ち切れずにいたところ、有資格者を対象とした海上保安学校門司分校の存在を知り、独学で航空無線通信士の資格を取得し、門司分校へ入校しました。
門司分校では、20代から50代までの幅広い年齢層、官民を問わず様々な経歴を持つ方々が集まり、それぞれ慣れない授業や訓練、寮生活の中、研修生同士で、助け合いながら充実した日々を過ごしています。法学や鑑識など初めて学ぶ学問に苦戦しながらも、自分が目指した海上保安官となるべく同期と共に自己研鑽に励んでいます。
将来的には、警備救難業務に携わる仕事がしたいと思っており、海上の治安の確保・人命救助のため全力で取り組みます。
海上保安学校宮城分校(宮城県岩沼市)
海上保安学校宮城分校は、海上保安庁の航空要員を養成するための教育機関です。
海上保安学校航空課程卒業者は、ヘリコプターの操縦資格を取得するほか、北九州航空研修センター(北九州空港内)において飛行機操縦資格を取得しています。
また、現場で活躍している航空機職員(飛行士、整備士、航空通信士)に、それぞれの業務に必要な資格、特殊技能(吊上げ救助等)や航空機運航に関する安全対策知識を習得させています。
海上保安学校 宮城分校 回転翼基礎課程 第57期 中園 葵
私は小学生の頃からパイロットになることが夢でした。大学在学中、海上保安庁にもパイロットとしての活躍の場があることを初めて知り、その業務内容に魅力を感じたことが入庁の動機です。
海上保安学校宮城分校は、ヘリコプターパイロットを養成する機関として訓練環境が非常に整っています。ヘリコプターを運航するためには、法律や機体構造など多くの知識やその操縦技術を習得する必要がありますが、分かりやすい指導をしてくださる教官方や、お互いに切磋琢磨できる仲間に支えられ、現場の最前線で活躍できるパイロットを目指して日々研修に励んでいます。
海上保安庁のパイロットは、海難救助や洋上パトロール等様々な業務に関わることができます。近年は女性パイロットも少しずつ増加しており、働きやすい環境が整っていると感じます。魅力を感じた方は、性別問わずぜひ挑戦してください。
国家公務員総合職採用(技術系)
試験案内はコチラから
海上保安庁海洋情報部・交通部では、国家公務員総合職技術系職員を採用しています。総合職技術系職員は、政策の企画立案、技術開発・研究等の経験を積み、将来的には幹部職員として海上保安行政に携わります。
海洋情報部
採用当初は、海洋情報部内の技術系の部署に配属され、海洋調査や観測技術、海洋情報の収集・管理・提供等に関する実務や研究に携わります。その後は、海上保安庁内や他省庁において政策の企画・立案等の経験を積んだ後、将来的には海洋情報部の幹部として組織のマネジメントに携わります。他省庁への出向、国際機関や大使館での在外勤務といった幅広い活躍の場があります。
地球物理学に関する国際学会で研究発表する職員
最新の自律型海洋観測装置(AOV)を扱う職員
海上保安庁 海洋情報部 沿岸調査課 課長補佐 齋藤 宏彰
就職を考えたとき、国家公務員として地球物理などの自然科学の知見を生かせる仕事をしたいと思い、海洋情報部を志望しました。入庁後は、日本の地震評価・研究に役立てるための海底地殻変動観測業務、米国留学、国際業務、国土交通省海洋政策課および在マレーシア日本国大使館への出向を経て、現在は船舶の航行に不可欠な海図を作製するための海底地形調査等を行う部署で勤務しています。海洋情報部の業務には、技術的なものだけでなく、技術的観点と政策的観点の両面からの検討が必要となる難しい課題もありますが、その分やりがいがあり、業務を通じて自分自身も成長できる仕事だと感じています。興味があれば、ぜひ当庁の総合職採用ホームページもチェックいただき、将来の進路の選択肢に入れていただければと思います。
交通部
採用当初は、主に交通部内の海上交通に関する技術的な業務に携わります。その後、交通部以外の部署において政策の企画立案等の経験を積み、地方の管区海上保安本部等の管理職や他省庁への出向を経て、将来的には技術分野および安全分野における幹部職員として海上保安行政に携わります。また、JICA専門家としての海外派遣や国際会議への参加など、グローバルな活躍の場があります。
JICA専門家として海上交通管制に関する技術支援を行う職員
第三管区海上保安本部 東京湾海上交通センター 次長 坂下 秀和
交通部は、技術系職員として、その専門性を活かしつつ、行政的な仕事を担うことができるのが魅力の一つです。入庁後は、海の安全情報システムの整備やマリンレジャーの安全対策などに携わりました。印象に残っている仕事は、航路標識法の改正作業です。新たに航路標識を地域振興にも活用できるように協力団体制度を設ける改正で、地域のニーズをいかに法律に落とし込むか悩んで作業にあたりました。現在、協力団体の数や活動の幅が広がっているのを見ると充実感があります。現在は、東京湾の船舶の安全を担う管制官とともに日本の海上物流の安全を守っています。このように、技術的な知識をベースに、海をとりまく課題に挑戦していけることがこの仕事の醍醐味です。
総合職のキャリアパスモデル※一例であり、個人の希望や適性等により異なります。
国家公務員一般職採用
試験案内はコチラから
海上保安庁では、国家公務員一般職員を採用しています。採用試験に合格後は、本庁および管区海上保安本部等において、事務区分の場合は「総務・人事・福利厚生・会計部門」などの総務業務に、「技術区分」の場合は「情報通信、船舶等造修・保守、施設管理、航路標識整備部門」などの適性に応じた業務に携わります。
本庁総務部 人事課 人事情報処理官付 宇佐美 心
私は令和2年度に国土交通事務官として採用され、これまで表彰関係業務を経験し、現在は人事情報処理業務を担当しています。
入庁した当時は右も左もわからない状態でしたが、周りの方々に恵まれたことで業務のわからないことや不安に思っていることはすぐ相談できる環境で働くことができました。また、研修の一環で船艇や航空基地で業務を見学でき、より海上保安庁を知る機会をいただくこともできました。
表彰関係業務を担当していた際は、長年海上保安庁職員として勤務された方に対しての叙勲推薦事務を主に行っていました。他にも、他省庁の表彰式で総理官邸へ行くことや、受章者の方を案内するために皇居へ行くこともあり、とても貴重な経験をさせていただきました。
現在は、人事や給与に関するシステムの窓口となり、各実務担当者の方々のサポートをしています。制度やシステムなど勉強することはたくさんあり、大変だなと感じることもありますが、それ以上に自分の仕事が海上保安庁職員を支えられることにやりがいを感じます。
そんなやりがいのある仕事を一緒にやってみませんか!!
第十一管区海上保安本部 経理補給部補給課 比屋根 柚香
私は第十一管区海上保安本部(以後、本部)に事務官として採用され、会計業務を長らく経験し、その後、庶務や健康安全関係等の事務にも携わってきました。また事務官でも数少ない海上保安部の勤務、事務官初の離島勤務も経験しました。
海上保安部では直接、船艇勤務の方と触れ合う機会も多く、現場第一線の雰囲気を間近で体験できました。当時の保安部勤務では健康安全関係を行っておりましたので、看護師のもと職員の健康管理、また健康診断の調整等を行っており、巡視船艇へ赴いて健康管理の啓発を行うこともありました。
本部勤務では海上保安部等各事務所の上部機関として十一管区全体のとりまとめ発議等を行っており、現在所属している補給課では船艇や航空機の燃料調達をメインに、海上保安部や航空基地の海上保安業務で使用する物品の調達などを行っています。
また私ごとですが、縁あって海上保安官と結婚・出産も経験し、現在夫婦共々育児に奮闘中です。男性が多い職場ですが、出産・育児に理解がある方が多く、ゆとりを持って仕事と育児を両立しています。事務官はまだ少人数ですが、海上保安官の方や事務官同士も仲良く和気あいあいとしています。
仕事は現場第一線で活躍する海上保安官の補佐的存在ですが、縁の下の力持ちその力もあって現場で活躍している海上保安官がいる!! という気持ちで業務に励んでいます。
そんな事務官にも理解ある職場を、ともにサポートをしてくれる皆さんと一緒に働けることを心待ちにしています。^^/
人事院実施の総合職および一般職試験の合格者を対象に官庁訪問等の面談を実施してからの採用となります。また、年によって採用予定人数が異なりますので詳細は人事院ホームページ等でご確認をお願いします。
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