海上保安レポート 2025

はじめに


TOPICS 海上保安の1年


特集 平和で美しく豊かな海


目指せ!海上保安官


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 生命を救う

2 治安の確保

3 領海・EEZを守る

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

7 海の事故を防ぐ

7 海の事故を防ぐ > CHAPTER IV. 航行の安全のための航路標識と航行安全情報の提供
7 海の事故を防ぐ
CHAPTER IV. 航行の安全のための航路標識と航行安全情報の提供

海上保安庁では、船舶交通の安全と運航能率の向上を図るため、灯台をはじめとする各種航路標識を整備し管理しているほか、様々な手段を用いて、航海の安全に必要な情報を迅速かつ確実に提供し、船舶事故の未然防止に努めています。

令和6年の現況
1 航路標識の運用

船舶が安全かつ効率的に運航するためには、常に自船の位置を確認し、航行上の危険となる障害物を把握し、安全な進路を導く必要があります。海上保安庁では、このための指標となる灯台等の航路標識を全国で5,108基運用しています。

航路標識は、灯台や灯浮標(ブイ)等様々な種類があり、光、形状、彩色等の手段により、我が国の沿岸水域を航行する船舶の指標となる重要な施設であり、国際的な基準に準拠して運用しています。

2 航路標識の活用

地方公共団体等による灯台の観光資源としての活用等を積極的に促すことにより、海上安全思想の普及を図り、これを通じて地域活性化にも一定の貢献を果たしていきます。

加えて、地域のシンボルとなっている灯台を活用した地域連携や、全国に64基現存している明治期に建設された灯台の保全を行っています。

令和6年11月16日には、参観灯台(いわゆる「のぼれる灯台」)が所在する地方公共団体(志摩市、銚子市、御前崎市、出雲市、男鹿市、東通村)で構成される灯台活用推進市町村全国協議会が中心となり、歴史的な灯台を観光振興に活かす方策を議論する「灯台ワールドサミット」が、千葉県銚子市において開催され、同サミットに合わせ今年150周年を迎えた犬吠埼灯台の特別公開を行いました。その他にも、海上保安庁では、灯台の一般公開や灯台の維持管理などを行う航路標識協力団体を支援し、灯台が国民の皆様から親しまれるよう取組を行っています。

犬吠埼灯台特別公開

犬吠埼灯台特別公開

航路標識協力団体による活動の様子

航路標識協力団体による活動の様子

3 水路図誌、水路通報、航行警報
水路図誌

海上保安庁では、水深や浅瀬、航路の状況といった航海の安全に不可欠な情報を、海図等の水路図誌として提供しています。

水路通報・航行警報

海上における人命の安全に関する条約(SOLAS条約)の規定に基づき、船舶交通の安全のために必要な情報を「水路通報」及び「航行警報」により提供しています。

水路通報は、水路図誌を最新維持するための情報、船舶交通の安全に関する情報等をインターネットで提供しています。

航行警報は、海上演習、航路標識の異常等、船舶交通の安全のため緊急に周知すべき情報を海域別に、通信衛星、無線、インターネット等で提供しています。

これらの情報は、利用者が視覚的に容易にその海域を把握できるよう、ビジュアル情報としてもインターネットで提供しています(スマートフォン利用可)。

船舶交通安全情報(水路通報・航行警報)
QRコード
水路通報・航行警報位置図ビジュアルページ
QRコード
水路通報・航行警報位置図ビジュアルページ(スマートフォン向け)
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今後の取組
航路標識の老朽化、防災対策

海上交通の安全を守る重要なインフラである灯台等の老朽化が進行していることからライフサイクルコストを意識した点検診断及び修繕を的確に行い、灯台等の長寿命化を図ります。

また、激甚化、頻発化する自然災害に対し、灯台等の倒壊事故を未然防止するため、基礎部等に海水等が浸入し倒壊の蓋然性が高い灯台等に対し、海水浸入防止対策を推進します。

航路標識に関する新技術の導入

自然災害の激甚化、頻発化に対する耐災害性強化や保守の省力化を図るため、高輝度LEDを活用した新たな光源の開発、検証を行い、大型灯台等への導入を推進します。

また、灯浮標の流出等の異常を早期に発見するため、灯浮標の位置や蓄電池電圧なども監視する新たな監視装置への更新を推進します。