Column Vol.22
来島海峡航路西側海域における経路指定
第六管区海上保安本部 交通部航行安全課
来島海峡航路西側海域における経路指定
第六管区海上保安本部 交通部航行安全課

愛媛県今治市沖に位置する来島海峡は、沖合いに浮かぶ島々の間を通る中水道、西水道、東水道、来島ノ瀬戸という複雑な流向、強い流速が発生する四つの狭い水路から成り、来島海峡航路は、そのうちの中水道、西水道と、そこに接続する海域により構成されています。
船は右側通航が一般的ですが、来島海峡航路では、潮と同じ方向に進む船は中水道を航行する、潮と逆の方向に進む船は西水道を航行するという、潮流の向きによって右側通航と左側通航が入れ替わる世界で唯一の『順中逆西』航法が採用されており、航路の出入口付近において船舶同士の進路の交差が生じることがあります。航路も大きく湾曲し潮流も早いことから、全国でも有数の船舶交通の難所とされています。
来島海峡の西側海域では、令和3年及び令和5年に死者・行方不明者を伴う船舶同士の衝突が相次いで発生したことから、学識経験者、海事関係者、漁業関係者及び関係官公庁等地域の多くの関係者が参加する航行安全対策委員会を開催し、検討した結果、当該海域における航行環境改善策として、来島海峡航路西口を起点に入航船と出航船が分かれて航行するための『経路』を設定し、船舶同士の交差ポイントを航路の出入口付近から離れた広い安全な海域にするとともに、新たな交差ポイントを航行する際に支障となりかねない灯浮標(安芸灘南航路第四号灯浮標)を廃止することが妥当との結論が得られました。
海上保安庁では、同委員会での検討結果をふまえ、安芸灘南航路第四号灯浮標を廃止するとともに、令和6年7月1日から、来島海峡航路西側海域に海上交通安全法第25条第2項に基づく経路を新たに指定しました。
今後も来島海峡航路をはじめ、海上交通の安全確保に努めていきます。



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