フィリピンで活躍する海上保安政策プログラム第1期生3名からのメッセージ
総務部教育訓練管理官
海上保安政策プログラム(MSP)の第1期生(2016年修了)3名が、フィリピンで再会し、それぞれの立場で、固い絆を活かしながら活躍しています。
2015年、私はMSPに第1期生として参加し、法の支配の重要性とアジアの海上保安機関の連携強化の可能性について貴重な知見を得ました。
現在、フィリピンコーストガード(PCG)において、本庁人事課長、海洋安全保障に関する長官アドバイザー及び報道官(南シナ海問題担当)として、高度な意思決定を要するチャレンジングな状況に日々直面していますが、MSPで学んだ「法の支配」の概念は、PCGが法執行機関として効果的に機能するよう、私が政策を提言するうえで、かけがえのないものとなっています。
また、MSPで得た知識と経験を次世代のリーダーとなる職員に共有し、彼らがリーダーシップを発揮して国際協力の課題に取り組む意欲と力を与えられるように熱意を持って取り組んでいるところです。
私のこのキャリアにおける最も大切な財産は、MSPの同期でもある海上保安庁(JCG)の米沢さん、小野寺さんといった尊敬すべき同僚たちからの揺るぎないサポートと協力です。JCGによるPCGの能力向上や日本からの巡視船提供などにおける彼らからの献身的な支援は、両機関間の協力を促進する上で重要な役割を果たしており、海上の安全と秩序を強化するためには強固な友情と連携を育むことが重要であることを示しています。
最後になりますが、MSPでの経験は私のリーダーシップを形作っただけでなく、海上の安全と秩序を確保するための協力、相互尊重、そして法の支配を提唱する道へと私を導いていただきました。このことを光栄に思うと共に、深く感謝しています。今後も、MSP同期との強い友情を育みながら、「法の支配」の原則を守り、そして、アジア各国の海上保安機関との関係を強化することに尽力していきます。
ジェイ・タリエラ氏はPCGにおいて歴代最年少で准将に昇進し、PCGと各国との連携強化の中心的存在として、世界中を飛び回っており、なかなか会うことができないほど、多忙な業務をこなしていますが、MSPの同期生として、家族ぐるみの付き合いが続いており、困ったときに連絡を取り合える関係は互いにとってかけがえのない大切なものと感じています。
MSPは、海上保安官を含む、10か国59名の修了生を輩出しており、その繋がりは同期のみならず、他の期の他国の修了生にも及んでいます。大使館職員として勤務する現在においても、それぞれの機関で幹部となっていく仲間からの情報やアドバイスは大きな支えとなっています。
この絆を大切にし、今後も国際的な海上保安業務の発展に貢献していきたいと心から感じています。
現在、JICAの長期専門家として、PCGの能力向上支援に携わっています。PCGにはMSPの修了生が8名勤務しており普段から連絡を取り合っています。とりわけ私のカウンターパートとなるPCG本庁の教育訓練課長はMSP第6期生ということもあり、緊密に連絡を取り合いながらPCGの能力向上支援に当たることができています。また、ジェイ・タリエラ氏をはじめ多くのMSP修了生が重要ポストで勤務しており、彼らとの本音の意見交換を通して彼らが真に求める支援を知ることができているのではないかと思います。このMSPの繋がりは専門家としての業務に大いに役立っていると感じているところです。
JICAの組織のビジョンは「信頼で世界をつなぐ」ですが、MSPで構築した信頼関係をもとに、引き続き、JCGとPCGをつなぐ架け橋となって、フィリピンの海上保安分野の更なる発展を目指し、邁進していきます。