海上保安レポート 2016

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 法治平安の海を護る


海上保安官の仕事


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る


語句説明・索引


図表索引


資料編

1 治安の確保 > Column vol.05 海上保安試験研究センター化学分析課専門官が人事院総裁賞(個人部門)を受賞!
1 治安の確保
Column Vol.05
海上保安試験研究センター化学分析課専門官が人事院総裁賞(個人部門)を受賞!
海上保安試験研究センター

海上保安試験研究センター(東京都立川市)は、科学的知見を駆使した油類、工場排水、船舶塗膜、航海計器のデータ解析等、海上犯罪に関する多分野にわたる証拠資料の分析鑑定業務や、海上保安業務に使用する機器及び装備機材の研究開発等を行っている海上保安庁独自の試験研究部門です。

小泉敏章化学分析課専門官は、海上保安庁における分析・鑑定業務の第一人者として、高度な専門的知識と能力を駆使し、27年もの長きにわたり、海上保安試験研究センターにおいて、多種多様な海上犯罪の証拠品等の分析・鑑定業務に地道に従事してきたもので、多年にわたる不断の努力と国民生活の向上への顕著な功績が認められ、平成27年12月10日、人事院総裁賞(個人部門)を受賞しました。

小泉専門官が従事してきた主な業務は、工場や船舶から排出基準を超えて違法に海上に排出された油類や排水の成分を詳細に分析し、違法排出を行った被疑者の特定、検挙に結びつけるという「油・水の分析業務」のほか、船舶による当て逃げ事件が発生した際、海上という目撃情報が期待できない特殊な状況の中、現場に残された微細な塗膜片の層構成や成分を詳細に分析し、逃走した加害容疑船の船体塗料との同一性を判定することによって、衝突の事実を証明するという「船舶塗膜の鑑定業務」です。

これらの分析・鑑定の結果は、違法排出や当て逃げを否認する被疑者に容疑を認めさせる決定的な証拠として非常に重要な位置づけとなっており、近年、裁判における証拠の重要性が叫ばれ、犯罪捜査においては科学的知見に基づく分析・鑑定の結果が必要不可欠となっている中で、これまで以上に、その重要性が増しています。