近年の密輸・密航事犯については、船員を利用した薬物の密輸入事犯が引き続き発生しており、コンテナ貨物を利用した薬物の大量密輸事犯も発生しているほか、退去強制歴を有する船員が不法上陸した事犯が発生しており、これらの事犯の背後には国際犯罪組織が関与するものも発生しております。
海上保安庁では、こうした我が国の法秩序を乱す密輸・密航事犯を厳格に取締り、薬物や銃器、密航者の水際阻止を図っています。
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1 治安の確保
CHAPTER IV 密輸・密航対策
近年の密輸・密航事犯については、船員を利用した薬物の密輸入事犯が引き続き発生しており、コンテナ貨物を利用した薬物の大量密輸事犯も発生しているほか、退去強制歴を有する船員が不法上陸した事犯が発生しており、これらの事犯の背後には国際犯罪組織が関与するものも発生しております。 海上保安庁では、こうした我が国の法秩序を乱す密輸・密航事犯を厳格に取締り、薬物や銃器、密航者の水際阻止を図っています。 密輸事犯について
平成27年の薬物事犯の摘発件数は、平成26年と同じ7件であり、覚醒剤の押収量は約83kgでした。なお、銃器事犯の摘発はありませんでした。 海上からの薬物の密輸事犯については、近年、船舶コンテナ貨物に隠匿して、一度に大量の薬物を密輸する事犯が相次いで摘発されており、傾向として密輸手口の大口・巧妙化及び密輸ルートの多様化が見受けられ、国際犯罪組織が関与するものも発生しております。また、薬物や銃器以外では、大韓民国から下関港に到着したフェリーに積載された活魚運搬車に、金地金を密輸入しようとした事犯を関係機関と合同で摘発しました。
ナイジェリア人乗組員による覚醒剤密輸入事件(岡山県倉敷市)
釜関フェリーを利用した活魚運搬車両内隠匿金地金密輸入事件(山口県下関市)
平成27年10月、門司海上保安部は、活魚運搬車に金地金約20kgを隠匿し、大韓民国から下関に入港した釜関フェリーで密輸入しようとした日本人運転手を関税法違反(無許可輸入未遂)で摘発しました。 その後の捜査により、同年3月にも金地金約4kgを密輸入していた容疑が明らかとなったことから、新たに関係者2名を摘発しました。 密航事犯について
平成27年の密航事犯の摘発件数は、平成26年と同じ2件であり、摘発者数については、不法入国者3名、不法上陸者1名、不法入国手引者1名でした。 近年、船舶による不法出入国事犯については、密航斡旋ブローカーの関与がうかがわれる数人規模の密航事件及び退去強制歴を有する船員が不法上陸した事件を摘発しており、小口・巧妙化の傾向が続いています。密航事犯の背後には、海外犯罪組織の関与はもとより、日本国内に密航を斡旋する手引者が存在することが多くあり、海上保安庁では、密航者を検挙した後も関係機関と連携して捜査を継続し、事件の全容解明に努めています。
中国人船員不法上陸事件(神奈川県川崎市)
海上保安庁では、引き続き、国際組織犯罪対策基地を中心に国内外の関係機関との協力を強化しつつ、海事・漁業関係者や地元住民からの情報収集を行うとともに、その分析活動に努め、密輸・密航が行われる可能性が高い海域では、巡視船艇・航空機による重点的な監視・警戒を実施し、密輸・密航の蓋然性が高い地域から来航する船舶に対しても、重点的な監視や立入検査を実施することで、密輸・密航事犯の水際阻止を図っています。 |