アジアにおける主要な海上保安機関の設立 |
国際犯罪はグローバル化・ボーダーレス化し、事故・災害は大規模化する傾向にある中、管轄権が行使できる海域に制約がある海上保安機関は、各国が連携し、これら犯罪や事故・災害へ対応する必要があります。
このような状況下において、海上保安庁では、合同訓練や共同パトロール等を通じ、これら海上保安機関間の協力関係を実質的な活動に発展させるよう主導しています。
また、こうした国際連携の枠組みの構築にあっては、日本財団等との官民連携のスキームを最大限活用しています。
アジア海上保安機関長官級会合は、世界的にも重要な海上交通路であるマラッカ・シンガポール海峡等を抱えるアジア地域の19か国・1地域の海上保安機関の長官級が一堂に会して、アジアでの海上保安業務に関する地域的な連携強化を図ることを目的とした多国間の枠組みで、日本財団による支援スキームと連携しつつ、平成16年から昨年で11回目となりました。
アジア海上保安機関長官級会合(我が国主導で平成16年開始) |
第16回北太平洋海上保安フォーラムサミット (写真右:中島海上保安監) |
北太平洋海上保安フォーラムは、北太平洋地域の6か国(日本、カナダ、中国、韓国、ロシア、米国)の海上保安機関の代表が一堂に会し、北太平洋の海上の安全・セキュリティの確保、海洋環境の保全等を目的とした各国間の連携・協力について協議する多国間の枠組みで、海上保安庁の提唱により、平成12年から開催されています。
このフォーラムの枠組みのもと参加6か国の海上保安機関は、北太平洋の公海における違法操業の取締りを目的とした漁業監視共同パトロールや、現場レベルでの連携をより実践的なものとするための多国間多目的訓練等の活動を行っています。また、今後の連携・協力の方向性やこれまでの活動の成果について議論するため、毎年、長官級会合(サミット)と、実務者による専門家会合を開催しています。
平成27年9月に韓国・ソウルで開催された長官級会合(サミット)では、同年8月に中国・大連で実施した薬物取締りをテーマとした多国間多目的訓練の成果について報告があり、各機関間の現場レベルでの連携・協力がより実践的なものとなっていることが確認されました。また、密輸・密航や海上での事故災害への対応における各国の好事例について情報交換を行ったほか、大規模な海難や災害発生時における本フォーラム参加国の連携に関するガイドラインを更新しました。
北太平洋海上保安フォーラム長官級会合(我が国主導で平成12年開始) |
日韓合同捜索救助訓練 |
海上保安庁と韓国海洋警備安全本部は、海域を接する両国間での海上の秩序の維持を図り、幅広い分野での相互理解・業務協力を推進するため、平成11年からこれまでに計14回、日韓海上保安当局間長官級会議を開催しています。また、地方機関間では、平成27年10月に第七管区海上保安本部と韓国南海地方海洋警備安全本部が、また、第八管区海上保安本部と韓国東海地方海洋警備安全本部が合同捜索救助訓練等を実施し、捜索救助分野での連携・協力関係の構築を図りました。この他、海上保安庁と韓国国立海洋調査院との間では、海洋調査の分野での連携・協力を進めるため、平成元年から日韓水路技術会議を設置しています。
平成11年に発生した、「アロンドラ・レインボー号」(日本人船長・機関長が乗船)がマラッカ海峡で海賊に襲われた事件で、インド沿岸警備隊が海軍と連携して海賊を確保したことを契機に、海上保安庁とインド沿岸警備隊は、平成12年以降、定期的に、長官級会合や連携訓練を実施しています。
第15回日印海上保安機関長官級会合(デリー) |
日露密輸容疑船捕捉訓練 |
海上保安庁とロシア連邦保安庁国境警備局は、海上での密漁、密輸・密航等の不法活動の取締り等に関する相互協力について協議するため、平成12年から、原則毎年1回、日露海上警備機関長官級会合を開催しています。
我が国は、海外の地域、特に開発途上にある海外の地域において、大規模な災害が発生した場合、被災国政府または国際機関の要請に応じ、救助や災害復旧等の活動を行う国際緊急援助隊を派遣しており、海上保安庁もこれに協力しています。
平成27年4月に発生したネパール地震における被災者救援のため、日本の国際緊急援助チーム、総勢70名の隊員のうち、特殊救難隊を中心とした精鋭14名を現地へ派遣しました。また、平成28年2月に発生した台湾南部地震においては、被災状況の情報収集を行うため関係省庁合同出張に海上保安官1名が参加しました。
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