近年、我が国周辺海域では、外国海洋調査船による我が国の事前の同意を得ない調査活動や同意内容と異なる調査活動が多数確認されています。海上保安庁では、こうした活動を早期に発見し、対応できるよう、巡視船艇・航空機による警戒監視等を行い、我が国の海洋権益の保全に努めています。
我が国のEEZ等において、外国船舶が調査活動を行う場合は、国連海洋法条約に基づき、我が国の事前の同意を得る手続きなどをとる必要がありますが、平成27年は、我が国のEEZにおける外国海洋調査船による特異行動が28件確認されており、特に東シナ海における中国海洋調査船による特異行動が増加しています。
*特異行動:事前の同意を得ない調査活動または同意内容と異なる調査活動
海上保安庁が確認した外国海洋調査船による我が国の同意を得ない海洋調査活動等の状況(平成24年〜平成28年3月) |
海上保安庁では、外国海洋調査船の特異行動に関する情報を入手した場合には、巡視船・航空機を現場海域に派遣し、当該調査船の活動状況や行動目的の確認を行い、得られた情報を関係省庁に提供するとともに、巡視船・航空機により中止要求を実施するなど、関係省庁と連携しつつ、その時々の状況に応じた適切な対応を行っています。
調査活動の確認
平成27年6月21日午前11時35分頃、しょう戒中の海上保安庁巡視船が尖閣諸島大正島の北約55海里(約102km)の我が国のEEZにおいて、観測機器のようなものを投入している中国海洋調査船「科学3号」を確認しました。
中止要求等の実施
同調査船は、我が国のEEZにおいて、海洋の科学的調査を実施するとの事前通報があったものですが、事前通報の海域とは異なる海域で観測機器のようなものを投入していたことから、巡視船から無線により行動の内容を確認したところ、「海洋調査をしている」との応答がありました。このため、同調査船に対して現場の巡視船により調査を中止するよう要求するとともに、外務省を通じ外交ルートで調査の中止を申し入れたところ、同調査船は、我が国のEEZを出域しました。 |