海上保安庁では、船舶交通の安全と運航能率の向上を図るため、灯台をはじめとする各種航路標識を整備し管理しているほか、様々な手段を用いて、航海の安全に必要な情報を迅速かつ確実に提供し、船舶事故の未然防止に努めています。
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7 海上交通の安全を守る
CHAPTER IV. 航行の安全のための航路標識と航行安全情報の提供
海上保安庁では、船舶交通の安全と運航能率の向上を図るため、灯台をはじめとする各種航路標識を整備し管理しているほか、様々な手段を用いて、航海の安全に必要な情報を迅速かつ確実に提供し、船舶事故の未然防止に努めています。 1 航路標識の運用
船舶が安全かつ効率的に運航するためには、常に自船の位置を確認し、航行上の危険となる障害物を把握し、安全な進路を導く必要があります。海上保安庁では、このための指標となる灯台等の航路標識を全国で5,125基運用しています。 航路標識は、灯台や灯浮標(ブイ)等様々な種類があり、光、形状、彩色等の手段により、我が国の沿岸水域を航行する船舶の指標となる重要な施設であり、国際的な基準に準拠して運用しています。 2 航路標識の活用
地方公共団体等による灯台の観光資源としての活用等を積極的に促すことにより、海上安全思想の普及を図り、これを通じて地域活性化にも一定の貢献を果たしていきます。 加えて、地域のシンボルとなっている灯台を活用した地域連携や、全国に64基現存している明治期に建設された灯台の保全を行っています。 令和5年11月3日には、参観灯台(いわゆる「のぼれる灯台」)が所在する4つの地方公共団体(志摩市、銚子市、御前崎市、出雲市)が発起人となり、歴史的な灯台を観光振興に活かす方策を議論する「灯台ワールドサミット」が、島根県出雲市において開催され、同サミットに合わせ出雲日御碕灯台の特別公開を行いました。その他にも、航路標識協力団体と連携した活動やメディアを利用した活動など海上保安庁では、国民の皆様に灯台に親しんでいただくための取組を行っています。 出雲日御碕灯台特別公開 航路標識協力団体による活動の様子 絶海の孤島における灯台復旧!!
青森海上保安部が管理する久六島灯台(きゅうろくしま)は、昭和34年に設置以来60余年、青森県西方沖合を航行する船舶の進路目標となる重要な航路標識として、厳冬の日本海特有の風浪に耐え、航行する船舶の安全を見守ってきました。令和3年2月における日本海側を中心に発達した低気圧による暴風及び波浪によって、外壁や踊場の一部が崩壊しているのが確認されました。第二管区海上保安本部では、更なる欠損や倒壊の恐れがあるため、速やかに復旧整備に着手しました。 しかし、復旧工事は、厳しい設置環境のため、工事可能な時期は海上が比較的穏やかな春先が主体になることに加え、島内は狭く工事資器材を常時保管できないほか、従来の施工方法(鉄筋コンクリート造による建替え)では復旧まで長期間を要するといった難題に直面しました。 こうした状況を打開するため最適な施工方法を模索した結果、工場で鋼製灯塔を製造して現場で設置する方法を採用しました。 これにより、復旧に伴う難題を解消し、更に従来の施工方法より短い工期で復旧を完了させることができました。(令和5年7月復旧) 海上交通の安全に貢献するため、海上保安庁では航路標識を着実に管理・整備していきます。 損傷状況 工場における灯塔製造 復旧状況 3 水路図誌、水路通報、航行警報
水路図誌
海上保安庁では、水深や浅瀬、航路の状況といった航海の安全に不可欠な情報を、海図等の水路図誌として提供しています。 水路通報
航路標識の変更、地形及び水深の変化等、水路図誌を最新に維持するための情報や、船舶交通の安全のために必要な情報を水路通報としてインターネットで提供しています。 航行警報
航路障害物の存在等、船舶の安全な航海のために緊急に周知が必要な情報を航行警報として通信衛星、無線、インターネット等で提供しています。 また、利用者が視覚的に容易にその海域を把握することができるよう、ビジュアル情報としてもインターネットで提供しています(スマートフォン利用可)。 船舶交通安全情報(水路通報・航行警報)
水路通報・航行警報位置図ビジュアルページ
水路通報・航行警報位置図ビジュアルページ(スマートフォン向け)
航路標識の老朽化、防災対策
海上交通の安全を守る重要なインフラである灯台等の老朽化が進行していることからライフサイクルコストを意識した点検診断及び修繕を的確に行い、灯台等の長寿命化を図ります。 また、激甚化、頻発化する自然災害に対し、灯台等の倒壊事故を未然防止するため、基礎部等に海水等が浸入し倒壊の蓋然性が高い灯台等に対し、海水浸入防止対策を推進します。 航路標識に関する新技術の導入
自然災害の激甚化、頻発化に対する耐災害性強化や保守の省力化を図るため、高輝度LEDを活用した新たな光源の開発、検証を行い、大型灯台等への導入を推進します。 また、灯浮標の流出等の異常を早期に発見するため、灯浮標の位置や蓄電池電圧なども監視する新たな監視装置への更新を推進します。 |