海上保安庁では、船舶の運航及びマリンレジャー等の沿岸海域における活動に伴う事故の減少を目指しています。
特に、船舶事故の約5割を占めるプレジャーボートの事故や、カヌー、SUP(スタンドアップパドルボード)、遊泳、釣り等のマリンレジャー中の事故に対して積極的な海難防止活動を行っています。
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7 海上交通の安全を守る
CHAPTER III. マリンレジャー等の安全対策
海上保安庁では、船舶の運航及びマリンレジャー等の沿岸海域における活動に伴う事故の減少を目指しています。 特に、船舶事故の約5割を占めるプレジャーボートの事故や、カヌー、SUP(スタンドアップパドルボード)、遊泳、釣り等のマリンレジャー中の事故に対して積極的な海難防止活動を行っています。 1 海難防止活動
海難を防止するためには、船舶操縦者やマリンレジャー愛好者の安全意識の向上を図ることが重要です。 このため、海上保安庁では、国の関係機関や民間の関係団体と連携し、漁港やマリーナ等における訪船指導や海難防止講習会、小中学生を対象とした海上安全教室の開催、リーフレットの配布やSNS等拡散効果の高い媒体を使用した情報提供を行っています。また、マリンレジャーごとの事故防止のための情報をまとめた総合安全情報サイト「ウォーターセーフティガイド」を開設し、モーターボート、ミニボート、水上オートバイ、カヌー、SUP、釣り、遊泳、スノーケリングの8つのアクティビティについて公開しているほか、海洋状況表示システム「海しる」において陸釣りや船釣りで過去に事故を確認した場所を日本地図上に表示した「釣り事故マップ」を公開して、海中転落等の事故情報をわかりやすく発信しています。 更に、近年のマリンレジャーの活発化・多様化に対応するため、民間団体等に所属する各マリンレジャーの専門家の知見を活用して、現場における訪船指導や海難防止講習会を行う海上保安官のマリンレジャーに対する見識を深め、適切で効果的な啓発活動を行うための研修を行い、海上保安官の現場指導能力の向上を図っています。 そのほか、SUPに関連して経験の浅い方に対する安全啓発を関係団体が主体となり推進していくために立ち上げた「SUP安全推進プロジェクト」や舟艇及び水上安全等に関わる官民の団体が集い、議論を行うことで更なる海難防止と安全対策の向上を図ることを目的としている「水辺の安全ネットワーク会議(JBWSS)」といった枠組みに参画、支援し、安全対策の向上に取り組んでいます。 また、マリンレジャー活動が活発となる夏季には、「海の事故ゼロキャンペーン」を実施し、官民の関係者が一体となって海難の未然防止を図るなど、重点期間を定め効果的な啓発活動を行っています。 釣り事故マップ 「海の事故ゼロキャンペーン」ポスター 官民合同パトロールの状況 海上安全教室の状況 訪船指導の状況 2 海上安全指導員
プレジャーボートによる事故を防止するためには、海上保安庁のみならず、マリンレジャー愛好者が自助、共助の考えに基づく対応をとることが重要です。 海上保安庁では、昭和49年から、プレジャーボートの安全運航のため、指導・啓発等の安全活動を積極的に行っている方々を「海上安全指導員」として指定しており、全国で約1,500名(令和5年12月末時点)の海上安全指導員が活動しています。 海上安全指導員との合同パトロール状況 エンジンの点検整備は重要です!
近年、プレジャーボートの事故は、船舶事故全体の約半数を占めており、特に機関(エンジン)故障による事故が最も多く発生しています。海上保安庁では、プレジャーボートの機関故障に関して現状を把握するため、深堀調査を実施したところ、海水ポンプインペラや点火プラグの破損といった発航前検査では防ぐことができない事故が多く発生していることが判明しました。このことから、発航前検査に加えて整備事業者による定期的な点検整備の励行を呼びかけています。 これらの事情を踏まえ、ビギナー船長向けに「分かりやすく即活用できる」をコンセプトとしてウォーターセーフティガイドに「モーターボート編」を新設しました。ぜひご活用ください。 そのマリングッズ大丈夫ですか?
近年、インターネットの普及によりカヌーやSUPなどの関連商品を愛好者が販売店に行かなくても手軽に購入できるようになりました。一方で、愛好者が、販売店を訪れた際に得られていた関連商品の取扱方法やマリンレジャーの注意点といった安全に関する情報を直接教えてもらう機会が少なくなってきています。 海上保安庁では、以前からアマゾンジャパン合同会社と連携して関連商品購入者に対してウォーターセーフティガイドを紹介するメールを送り、安全啓発を行っているところ、今般、楽天グループ株式会社やヤフー株式会社などの大手デジタルプラットフォーム提供者と連携し、サイト上に、海難防止に関する安全情報を掲載して周知・啓発を図りました。海上保安庁としては、このように社会情勢の変化に応じた啓発手段を模索し、一人でも多くの愛好者に必要な安全情報をお届けできるよう工夫していきます。 楽天市場との連携 Yahoo!ショッピングとの連携 マリンレジャー海難防止指導官大活躍!
近年、プレジャーボートの事故に加え、ミニボート、カヌー、SUPなどのマリンレジャーによる事故が増加しています。海上保安庁では、これらの事故に対する効果的な対策を行うため、令和3年から、海難防止指導を行う海上保安官を対象に、マリンレジャー中の事故を防止するために必要な専門的知識・技能を習得させるための研修を実施しています。 研修を受講し、専門的知識・技能を習得した海上保安官は、各管区海上保安本部において、「マリンレジャー海難防止指導官」に指名されます。 マリンレジャー海難防止指導官が他の海上保安官に研修で得た知識・技能をフィードバックし、各海上保安官が現場でマリンレジャー愛好者に対して適切な安全指導を行うことにより、海難の減少に貢献しています。 3 「海の安全情報」の提供
海上保安庁では、海難を防止することを目的として、プレジャーボートや漁船等の操縦者、海水浴や釣り等のマリンレジャー愛好者等に対して、ミサイル発射や港内における避難勧告等に関する緊急情報、海上工事や海上行事等に関する海上安全情報、気象庁が発表する気象警報・注意報、全国各地の132箇所の灯台等で観測した気象現況(風向、風速、気圧及び波高*1)、海上模様が把握できるライブカメラ映像等を「海の安全情報」としてパソコン、スマートフォン及び携帯電話で提供しています。 特に、スマートフォン用サイトでは、GPSの位置情報から現在地周辺の緊急情報、気象現況等を地図画面上に表示することで、利用者が必要な情報を手軽に入手することができます。 また、緊急情報、気象警報・注意報及び気象現況については、事前に登録されたメールアドレスに配信するサービスを提供しています。 さらに、より多くの利用者に情報を知らせるため、英語ページによる提供、Lアラート*2への配信などのサービスも実施しています。 *1 気象現況の観測項目は、観測箇所によって異なります。 *2 災害時における迅速かつ効率的な情報伝達を目的として、国や地方公共団体等が発する災害情報等を多様なメディアに一斉配信するための、一般財団法人マルチメディア振興センターが運営する共通基盤システム。 ウォーターセーフティガイドの充実強化
ウォーターセーフティガイドについては、平成30年4月から運用を開始していますが、近年のマリンレジャーの活発化・多様化や社会情勢の変化に対応するため、定期的に関係団体・関係機関と意見交換会や掲載内容の見直しを行い、利用者の皆様に有意義な情報発信を行います。また、令和5年から利用者の皆様のご意見を伺うためにアンケート機能を追加しており、より良い安全情報サイトを目指します。 安全啓発に取り組むマリンレジャー愛好者、団体等との協働
マリンレジャーに対する安全啓発活動について、関係省庁や地方公共団体などの関係機関のみならず、マリンレジャー愛好者や愛好者団体などの協力を得て、情報発信力のあるSNS等を活用した安全情報の発信やイベント等での注意喚起など、安全の呼びかけを自発的に行う体制を構築し、安全啓発活動の範囲拡充を図ります。 |