Column Vol.11
41年間、5万回の人工衛星レーザー測距観測
第五管区海上保安本部下里水路観測所
41年間、5万回の人工衛星レーザー測距観測
第五管区海上保安本部下里水路観測所
下里水路観測所が行っている人工衛星レーザー測距観測(以下「SLR観測」という。)の成功数が令和5年6月7日に5万回となりました。昭和57年の初観測成功から41年、昼夜を分かたず観測を続けた結果の5万回です。
下里水路観測所は日本で唯一の測地を目的としたSLR観測局です。SLR観測は、人工衛星にレーザー光を発射してから反射光が戻ってくるまでの時間を計測し、人工衛星と観測局の距離を測るものです。
下里水路観測所のSLR観測データはGPSなどに用いられる世界的な位置情報の基準である世界測地系の構築と維持に貢献するとともに、世界測地系における日本列島の正確な位置の決定に使用されています。海上保安庁は、SLR観測から得られた正確な日本の位置情報に基づいて海図を刊行し、日本近海を航行する船舶の航海安全を守っています。
正確な位置情報はスマートフォンなどが普及した現代では、私たちの生活を支える社会インフラであり、その維持にはSLR観測などの地球規模での精密測地観測が不可欠です。下里水路観測所はNASAを事務局とする国際レーザー測距事業を中心とした国際共同観測に参加しており、東アジア地域で最も歴史のある重要な観測局として正確な位置情報の維持に貢献しています。
下里水路観測所全景
レーザー測距観測風景(夜)
5万パス観測中のオペレーター