Column Vol.06
2名の命を救った小さなスーパーヒーロー
第七管区海上保安本部大分海上保安部
2名の命を救った小さなスーパーヒーロー
第七管区海上保安本部大分海上保安部
「海の日」の令和5年7月17日、暑さが厳しくなり、別府湾(大分県)を遊回中のプレジャーボートから海に飛び込み遊泳していた母親と船長が潮に流される事故が発生しました。母親は、船内に一人取り残された8歳の幼い息子に「電話して!」と叫びました。母親のスマートフォンはロックがかかっていたものの、息子は機転を利かせ緊急電話機能で118番通報を行い、巡視艇が現場に駆けつけ無事救助されました。
母親との永遠の別れが脳裏をよぎり、計り知れない絶望に押し潰されていたと思いますが、泣きながらも流された2名と船の状況を懸命に伝えてくれました。彼の勇敢な行動により2名の命が救われました。
後日、大分海上保安部長から感謝状を贈呈し、当時救助にあたった巡視艇「ぶんごうめ」の1日船長の任命を受け、別府湾のパトロールを行いました。将来の夢は「海上保安官」と語ってくれました。
救助状況
感謝状贈呈式
「ぶんごうめ」でのパトロール
対応した職員の声
大分海上保安部 巡視艇「ぶんごうめ」 船長
前田 恒彦
第一報受信後、警備救難課長がご子息との電話対応に専従し、「ぶんごうめ」も出港後、当初予想されていた海域と逆方向に流されつつあった2名を速やかに発見救助しました。
もし、ご子息が的確に通報してくれなかったら2名の命がどうなっていたかわかりません。広い洋上での捜索は難航を極めるケースがほとんどで、ご子息の冷静な通報のおかけで早期に2名を発見し、無事救助できました。また、母親が着用していたピンク色の浮器が目立ったため、視力がいい航海士補がかなり離れた場所から発見でき一直線に要救助者のもとへ向かえました。
救助後、「ぶんごうめ」甲板上で親子が泣きながら抱き合う姿を見て海上保安官冥利に尽きる思いがしました。