海上保安レポート 2016

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 法治平安の海を護る


海上保安官の仕事


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る


語句説明・索引


図表索引


資料編

海上保安官の仕事 > 女性職員の活躍推進
海上保安官の仕事
女性職員の活躍推進

海上保安庁では、昭和54年から女子学生の採用を始め、平成28年4月1日現在、843名の女性職員が全国各地で海上保安業務に従事しています。最近では、海上保安署長や巡視船船長等、現場の最前線で活躍する女性職員も増えています。

このような中、女性のさらなる活躍推進や、ワークライフバランスの推進に向けた政府全体の取組み等をふまえ、平成26年度に、海上保安庁次長を本部長とする「海上保安庁女性職員活躍・ワークライフバランス推進本部」を設置し、女性職員が活躍できる職場環境の整備等を進めています。

女性職員の採用に向けた募集強化

海上保安庁では、業務上、巡視船艇の運航に必要な知識や技能を持った職員がその大半を占めており、海上保安庁の採用試験を受験する女性は、いわゆる「リケジョ」といわれる方々が多くなっています。しかしながら、巡視船艇の運航に必要な知識・技能は、採用後に必要な教育を行っていることから、近年は、これまで海上保安庁の採用試験を受験することの少なかった文系の学校や、さらには、女子高校等への採用募集活動も積極的に行っています。この結果、近年、海上保安庁の採用試験を受験する女性は増加しています。

職員のワークライフバランスに配慮した人事運営

海上保安庁の業務は、24時間365日休むことができません。しかしながら、それを支える職員が抱える育児や介護も24時間365日休むことができません。こうした海上保安庁の業務執行体制を維持しつつ、職員のワークライフバランスにも配慮するためには、育児や介護を配偶者等のパートナーとともに分担しながら、仕事と家庭を両立できる環境整備が必要不可欠になっています。

海上保安庁では、こうした育児や介護等の事情を抱える職員に対して、例えば、夫婦を同居できる配置や、職員の両親等の親族から支援を受けることのできる配置等、職員1人1人が抱える事情に応じた人事運営を積極的に行っています。

様々な職場で活躍する女性職員
ヘリコプターの整備業務担当

私は、ヘリコプター搭載型巡視船でヘリコプターの整備業務を担当しています。密漁事件や救難活動等において高い機動力を持つ航空機はなくてはならない存在ですが、整備担当職員は機体の整備はもちろんのこと、事案があれば機内で証拠の収集作業や要救助者の吊り上げなどを行いますので、まさに現場第一線です。

機体を整備し乗員の安全を守ることや上空から広大な海に目を光らせて国民の生命・財産を守るという幅広く重要なこの仕事に、多くのやりがいと責任を感じます。


管区本部交通部安全課海務係職員

私は、管区本部の交通部安全課海務係として、主に船舶交通の安全確保に関する業務や海難防止活動に携わっています。海での事故は、命を失うことに直結する可能性が高いので、事故を未然に防止することで人の命を守ることにやりがいを感じています。

また、交通関係の業務だけでなく、海難救助や犯罪捜査など海上保安庁での業務は幅広いものです。多種多様な海上保安庁の業務に柔軟に対応できるよう、日々の業務に積極的に取り組んでいきたいと思います。


PL型巡視船通信士補

私は、PL型巡視船の通信士補として勤務しています。

通信科職員の仕事は、無線通信の運用や情報処理、機器の保守など多岐に渡ります。

また、私が乗船する巡視船は、テロ警戒等に対応するため特別警備隊が配置された警備実施等強化巡視船であり、特別警備隊員として、様々な訓練をおこなっています。昨年度から管区内初の女性特別警備隊員として、広報活動では、ソフトな口調や細やかな気遣い等、女性だからこそできる業務の実践を心がけています。これからも、特別警備隊員として活躍できるよう日々努力していきます。


管区本部情報通信課職員

私は、管区本部の情報通信課で勤務しています。平成10年に出産を機に一度退職しましたが、月日も流れ近年では、海上保安庁でも多くの女性が活躍している時代になっていました。今なら諦めた家庭と仕事の両立を実現できると思い、再採用制度を利用して15年振りに職場復帰しました。知識・技術はほぼゼロからの再スタートになりましたが、周りの人に支えられやりがいを持って働いています。時には若手職員に混じって勉強会に参加するなどスキルアップを図っています。これからの目標は、ワークライフバランスを意識しながら、定年まで有意義に働き続けることです。


水路観測所所長

私は、水路観測所で所長をしています。主に航海の安全に不可欠な海図の作成などの基礎データとなる人工衛星レーザー測距観測を行っています。

上空を飛来する人工衛星に向かって日夜レーザー光を放つ観測は地味な仕事ですが、この日々の観測データの積み重ねが確実に社会に貢献していること、また将来を担う人材の育成に携わることを誇りに思います。

私自身も毎日の積み重ねが大きな成果を生むことを実感し、今後も地道に業務に励んで参ります。


PC型巡視艇機関長

私は、PC型巡視艇で機関長をしています。本船の任務は、船舶交通の安全を確保するための航路しょう戒のほか、密漁等の海上犯罪取締りや海難救助、船舶乗組員やマリンレジャー愛好者への安全指導等です。私が入庁したきっかけは、高校2年生の時に大学情報誌で海上保安大学校を知り、高校在学中の平成13年に発生した九州南西海域における工作船事件をニュースで見て海上保安庁の仕事に興味を持ち海上保安大学校に入学しました。卒業後は様々な部署を経験し、今も毎日学ぶ事が多く大変な事もありますが、日々の積み重ねが自分を成長させてくれるという気持ちで仕事に励んでいます。


海上保安部警備救難課国際取締官

私は、海上保安部警備救難課の国際取締官として、警備業務に携わっています。主な業務は、語学能力をいかしての取締りや事件処理ですが、死体取扱事案が発生した場合には、法医学の知識をいかして検視等も行います。

日々、新しい発見があり、とてもやりがいを感じています。

是非、皆さんも海上保安庁でやりがいのある仕事をしてみませんか?


CL型巡視艇機関科職員

私は、CL型巡視艇に機関科職員として勤務し、主に海難救助、密漁取締り等の業務を行っています。女性は私1人だけですが男女に関係なく互いに助け合い、アットホームな雰囲気で楽しく仕事をしています。女だからできないと感じた事はほとんどなく、船の重要な戦力として、毎日やりがいを持って仕事をしています。たとえ女性であっても海上保安官である以上は犯罪者を制圧する技量を持つべきだと思っており、日々訓練にも励んでいます。

海上保安官を目指そうと思う皆さん、女性でも「頑張ろう!」という気持ちがあれば、やりがいや誇りの持てる職業ですよ。


高速特殊警備船通信科職員

私は、海上保安学校を卒業後、不審船対応を主目的とした高速特殊警備船の通信科職員として乗船しています。無線機器での通信やその整備、各種訓練、海難救助等に日々勤しんでいます。人命や海上治安に直結する仕事だからこそ、絶え間ない鍛錬や忍耐が必要ではありますが、それを越える達成感や感動を味わうことができ、海上保安官の道を選んで良かったと心から思います。貴女も、日本の海を守る「海保女子」を目指してみませんか?


管区本部海洋情報部海洋調査課職員

私は、管区本部の海洋情報部海洋調査課で勤務しています。私はアメリカ旅行中の飛行機から「あそこの谷は測量した海底にそっくりだ!」と思ったことがあります。海の底はどうなっていると思いますか? 私は測量船で海の深さを測り、海図を作る仕事をしています。観測すると直接見ることができない海底を想像することができ、海のスケールの大きさに驚きます。私の思い描いた地形を海図として形にできることも魅力のひとつで、毎日楽しく仕事しています。