海上保安庁では、海上交通の安全確保を図るため、海上交通ルールを遵守するように指導を行っており、特に、ふくそう海域では、海上交通センターにおいて24時間体制で的確な情報提供や管制に努めています。また、様々な手段を用いて、航海の安全に必要な情報を迅速かつ確実に提供し、船舶事故の未然防止に努めています。
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6 交通の安全を守る
CHAPTER II ふくそう海域・港内等の安全対策
海上保安庁では、海上交通の安全確保を図るため、海上交通ルールを遵守するように指導を行っており、特に、ふくそう海域では、海上交通センターにおいて24時間体制で的確な情報提供や管制に努めています。また、様々な手段を用いて、航海の安全に必要な情報を迅速かつ確実に提供し、船舶事故の未然防止に努めています。 船舶交通がふくそうする東京湾・伊勢湾・瀬戸内海・関門海峡での船舶事故隻数は810隻と、船舶事故全体の約4割を占めており、過去5年では、若干の減少傾向にあります。これらの海域で事故が発生した場合には、尊い人命や財産が失われるばかりでなく、航路の閉塞や交通の制限による物資輸送が滞ることで、国際貨物輸送のほぼ100%を海上輸送に頼る我が国の経済活動に大きな影響を及ぼすこととなることから、海上保安庁では、ふくそう海域での海上交通の安全を確保するため、次の取組みを実施しました。 1 一元的な海上交通管制の構築
大規模災害発生時においては、船舶への警報等の伝達、避難海域等の情報提供を迅速確実に実施し、平時においては、船舶の運航効率の向上を図るため、東京湾における海上交通センターと4つの港内交通管制室を統合のうえ、これら業務を一元的に実施するため、平成29年度中の運用開始を目指し施設整備・制度改正等による体制構築を進めています。 また、東京湾における一元的な海上交通管制構築の一環として、京浜港横浜区における管制機能を平成27年8月1日から強化しています。
2 法改正関係
「海上交通安全法等の一部を改正する法律案」を第190回国会(常会)に提出
近年、船舶の大型化や危険物取扱量の増加が進んでおり、船舶交通が著しくふくそうすることが予想される海域においては、津波等による非常災害が発生した場合に、危険を防止するため、船舶を迅速かつ円滑に安全な海域に避難させる必要があります。 また、平時から信号待ちや渋滞による船舶交通の混雑が発生していることから、これらを緩和し、安全かつ効率的な船舶の運航を実現することが求められています。 このためには、湾内の船舶交通を一体的に把握しておく必要があり、海上保安庁では、まずは東京湾において、レーダー等の設備を整備するなど、一元的な海上交通管制の構築を進めていますが、その運用にあわせて所要の制度を設けるための法改正を行うこととしました。 (1)海上交通安全法及び港則法の一部改正
(1) 非常災害が発生した場合に、船舶交通が著しくふくそうする海域のうち、レーダー等により船舶交通を一体的に把握することができる海域(指定海域等)にある船舶を迅速かつ円滑に安全な海域に避難させるため、これらの船舶に対して、海上保安庁長官が移動等を命ずることができることとする等、非常災害時における特例措置を創設 (2) 船舶の負担を軽減し、安全かつ効率的な船舶の運航を実現するため、海上交通安全法と港則法に基づく事前通報の手続を簡素化するとともに、港内の水路を航行しようとする船舶に対し、入航時刻等の指示制度を創設 (2)航路標識法の一部改正
航路標識の設置を促進し、船舶交通の安全性を向上させるため、航路標識の設置の許可基準を明確化するとともに、簡易な航路標識の設置について許可制から届出制に規制緩和
3 ふくそう海域における安全対策
海上交通ルールには、基本的なルールを定めた「海上衝突予防法」のほか、特別なルールとして東京湾・伊勢湾・瀬戸内海に適用される「海上交通安全法」、法令で定める港に適用される「港則法」があります。海上保安庁では、これらの法令を適切に運用することで海上交通の安全確保を図っています。 特に、海上交通の要所となっている東京湾・伊勢湾・瀬戸内海・関門海峡には、海上交通センターを設置して、航行船舶の動静を把握し、船舶の安全な航行に必要な情報の提供や、大型船舶の航路入航間隔の調整を行うとともに、巡視船艇との連携により、不適切な航行をする船舶や、航路を塞いでしまう船舶への指導等を実施しています。
4 港内における安全対策
港則法に基づき、全国の86港を特定港に指定し、船舶の入出港状況の把握、危険物荷役の許可、停泊場所等の指定を行い、港内の安全確保に努めています。 5 沿岸における安全対策
AISを活用した航行安全システムを運用し、日本沿岸において乗揚げや走錨のおそれのあるAIS搭載船に対して注意喚起や各種航行安全情報を供しています。 東京湾における一元的な海上交通管制の構築に向けて、引き続き、機器・施設及び制度の整備を推進していくとともに、管制官の育成体制の充実・強化等を図ります。
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