災害への備え 〜口永良部島(新岳)噴火災害対応〜
第十管区
噴煙を上げる口永良部島(測量船「拓洋」から撮影) |
平成27年5月29日午前9時59分頃、鹿児島県屋久島町の口永良部島(くちのえらぶじま)の新岳にて爆発的噴火が発生し、鹿児島地方気象台は、午前10時7分に噴火警報レベル5(避難)を発表しました。
これを受けて第十管区海上保安本部は、直ちに対策本部を立上げ、巡視船艇・航空機を発動させるとともに、付近海域で業務に当たっていた測量船「拓洋」を直ちに口永良部島に向かうよう指示しました。この時、測量船「拓洋」は、噴煙の大きさを見て、ただ事ではないと判断し、船長の判断で、すでに島に急行していました。
測量船「拓洋」は、当庁発動勢力のうち、いち早く本村港沖に到着、直ちに搭載艇降下準備等、救助体制を整えましたが、屋久島町が島民救出のため町営フェリーを向かわせていたことから、屋久島町と協議の上、測量船「拓洋」は町営フェリーによる島民救出の支援を行うこととなりました。
島民を救出するための町営フェリー入港に際し、測量船「拓洋」は、島民避難のサポートのため搭載艇を降下し、乗組員を上陸させましたが、その直前、主計科では、島民のためと懸命に「おにぎり」をにぎり、上陸する乗組員に託しました。このおにぎりは、朝から乾パンしか食べていない島民の方々に大変喜ばれました。
また、鹿児島からヘリコプターで急行した機動救難士2名を番屋ヶ峰の避難所屋上に降下させ、情報収集に当たらせた結果、傷病者が2名いることが判明し、鹿児島県防災ヘリコプターに引き継ぎました。さらに、湯向地区に島民が孤立していることが判明したことから、巡視船「さつま」搭載艇を湯向港に向かわせ、孤立していた島民6名を救出し、巡視船「さつま」から当庁のヘリコプターにより、屋久島へ搬送しました。
その後、鹿児島県の依頼を受け、巡視船「こしき」により警察官、消防士を、日本赤十字社の依頼を受け、巡視船「くさかき」により医師等日本赤十字社関係者及び毛布等の救援物資を輸送しました。
このようにして、島にいた137名、傷病者はいたものの、全員無事に島から避難することができました。
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