新潟沖に眠る沈没船「那須丸」
第九管区
第九管区海上保安本部では、可搬型スワス音響測深機を用いて、新潟港沖の海底に眠る沈没船の姿を鮮明に捉えることに成功しました。
スワス音響測深機は、高密度の水深データを効率よく集め、海底地形を詳細に把握することができる最新の調査機器です。
平成27年5月、この音響測深機の海上機器テストを実施しました。調査ターゲットとして選んだのが、海図にも沈船として記載されている新潟港沖の海底に眠る沈没船「那須丸」(693トン)です。
那須丸は、東京サルヴヱージ株式会社が救助船として昭和2年に建造され、その後、昭和9年に日本サルヴヱージ株式会社の設立に伴い移籍。座礁船の救助など幾多の救難作業に従事していました。しかし戦後間もない昭和20年10月5日、新潟港沖にて、戦時中に敷設された機雷に触れ沈没しました。
海上機器テストで収録した測深データを解析すると、70年前に沈没した船体が鮮明に映し出され、2本のマストの形状もそのまま残っていることが確認できました。
今回の海上機器テストは、若手職員のOJT(On the Job Training)も兼ねており、海上保安学校を卒業して間もない本部海洋調査課職員が参加しました。
測量船が配備されていない第九管区海上保安本部では、海図記載水深を最新の状態にするための水路測量を実施する場合、民間の作業船を用船して行います。用船に積み込む機材は、ワンボックスカー1台分のボリュームがあるうえ、船上では、単管(鉄パイプ)を何本も組んで調査機器が動かないように頑丈に固定する必要があります。実際の測深作業の訓練では、若手職員たちが重い調査機材の設置に悪戦苦闘しながらも、作業手順の一つ一つを丁寧に確認し、測深技術を身に付けていました。また、本部事務室でのデータ解析の訓練では、ノイズ除去によって海底地形データ上に沈没船の船体が鮮明に浮かびあがると、若手職員のテンションも上がり、皆一様にスワス音響測深機の性能に驚かされていました。
これらの経験をふまえ、意気込みを新たに本格的な水路測量に取り組んでいます。
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