発表日
令和8年1月21日
概要
令和7年は、海上経由の密輸としては統計史上最大の押収量となった大麻密輸入事件、パラサイト型※によるコカイン密輸入事件など複数の密輸事犯を摘発し、初めて2年連続で1トンを超える薬物を押収しました。海上薬物密輸は密輸量の大口化、手法の巧妙化が進んでおり、海外犯罪組織の関与も疑われるところ、引き続き、水際阻止の取組を強力に推進してまいります。
※パラサイト型密輸:出発港から到着港の間で、船舶の船底部海水取入口等の水面下に薬物を隠匿し、これを回収する手法。我が国においてはこれまで2例が確認されている。
本文
1. 密輸・密航の取締り状況
令和7年に当庁が摘発した(関係機関と合同で摘発したものを含む)薬物密輸事犯は12件(前年比同じ)であり、内訳は以下のとおりです。
- コカイン2件(合計約20kg(末端密売価格約4.7億円相当))
- 大麻5件(合計約1トン(末端密売価格約520億円相当))
- ケタミン3件(合計約7g)
- 覚醒剤2件(合計4.6kg(末端密売価格約2.6億円相当))
令和7年に当庁が摘発した密航事犯は2件(前年同数)であり、摘発人数については、不法上陸者1名、不正上陸者1名でした。
2. 近年の傾向及び今後の取組
(1) 近年の傾向
近年の我が国における違法薬物の情勢は、薬物事犯検挙者数が年間一万人を超え、特に若年層の大麻の乱用が深刻となっていることから、潜在する需要への供給を遮断することが課題となります。
海上保安庁が摘発した薬物密輸入事犯のほとんどは、外国人による犯行であることが確認されており、海外犯罪組織の関与も疑われています。
これら外国人による薬物密輸は、SNS等のサイバー空間を経由して海外の犯罪組織から指示を受けた互いに面識のない、いわゆる「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」と推定されているほか、一度に大量の薬物を密輸する海上貨物への隠匿による手法、瀬取りによる手法や、パラサイト型密輸と称される巧妙な手法など、密輸手口の大口・巧妙化の傾向が益々高まっており、これらの犯罪形態への対策が求められています。 密航事犯については、貨物船等の船員による不法上陸、訪日クルーズ船の乗客による不正上陸等、小口・多様化の傾向にあります。また、訪日クルーズ船の乗客が観光上陸許可期間を超えて不正に上陸し、そのまま行方をくらます不法滞在等も発生しており、警戒が必要です。
(2) 今後の取組
海上保安庁では、薬物をはじめとした密輸や密航への水際対策に万全を期するため、引き続き我が国に来航する外国籍船舶に対する重点的な立入検査、監視等に加え、次の取組を実施することで、国際組織犯罪の取締りを強化してまいります。
- 警察、税関などの国内関係機関との合同捜査を通じた実務的な連携の強化、取締りの推進
- 外国関係機関との、情報交換や研修を通じた国際連携の強化
- 国際サイバー捜査企画調整官(仮称)を中心とした、サイバー空間を利用した薬物密輸犯罪への対応強化
資料全文
「令和7年の密輸・密航等取締り状況について(速報値)~初の2年連続の1トン超押収!密輸の大口化・巧妙化に警戒~」の詳細(PDF形式 583KB)