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航路標識の名称

 岬や半島の突端あるいは観光地にある大型灯台は、その地名の後に「灯台」を付して、灯台名として皆様にはおなじみ ですが、港などの小型の灯台やブイについては「あそこの白灯台」や「あの赤いブイ」など見た目の略称で呼ばれることが多いようです。各航路標識には固有の名称がついてお り、今回は灯台等の名前のつけ方についてお話します。
  それぞれの項目に該当するものについて、当保安部所管の航路標識を例に掲げます。当保安部管内に例がないものについては、他保安部所管の標識を例示し、標識名の後に所管保安部名を表記してあります。

灯台等の名称
 航路標識の名称の付与については標準的な定めがあります。
陸上に設置する場合(港内の標識を除く)
設置場所の海図に記載されている地名(岬、鼻、島等の名称)
 例)立石岬灯台鋸埼灯台雄島灯台
 
海上に設置する場合(港内の標識を除く)
設置場所の海図に記載されている湾、航路、水道、瀬、河川等の名称
 例)黒グリ灯標
 
港に設置する場合
(1) 港則法、港湾法、漁港法に規定する港名
 例)鷹巣港灯台
(2) 港内の航路、水路等を示す場合は、当該名称
  例)該当なし
他例)境港境水道第2号灯浮標(境)
(3) 港の境界付近に設置される場合は、上記(1)の港名の後に、八方位または「沖」の字を付与
 例)敦賀港島ノ鼻南東方灯浮標
 
前項の規定によるほか、次の場合はそれぞれ当該名称を付与します。
(1) 施設(防波堤、防砂堤等)上に設置する場合は、当該施設の名称
 例)敦賀港松栄防波堤灯台福井北防波堤灯台
(2) 既設の標識に付与されている名称と類似する場合または混同される恐れのある場合は、地方名、旧国名等を冠します
  例)管内該当なし
他例)沖ノ島灯台(福岡) 田辺沖ノ島灯台(田辺)
    隠岐沖ノ島灯台(境) 土佐沖ノ島灯台(高知)
    薩摩沖ノ島灯台(鹿児島)
    松前大島灯台(函館) 陸奥大島灯台(青森)
    陸中大島灯台(釜石) 陸前大島灯台(塩釜)
    伊豆大島灯台(下田) 筑前大島灯台(福岡)
    紀伊日ノ御埼灯台(田辺) 出雲日御碕灯台(浜田)
 
照射灯の場合は、照射される場所の海図に記載されている名称、ただし名称が記載されていない場合は、照射灯設置場所の地名、港名または灯台名の後に照射される場所の 八方位を付与
 例)舟通埼音神礁照射灯三国防波堤南西方照射灯
 
 このように航路標識の名称は、いずれも何らかの意味を持つ語句が組み合わさっています。航路標識の名称は、海図に記載されているわけではなく、「灯台表」を参照しなけれ ばわかりません。
  もし灯台やブイの灯火に異常を発見した際は、最寄りの海上保安部に地名や港名の一部でも連絡していただければ、迅速な対応ができますので、よろしくお願いします。

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「埼」と「崎」

 海図では海洋に突き出した陸地の突端部の名称として、概ね「埼」を用いています。例えば東京湾付近では地図帳には野島崎、観音崎と「山遍」で記載されていますが、海図には 野島埼、観音埼と「土遍」で記載しています。海上保安庁海洋情報部は、明治時代の海軍水路部のころから、土遍の「埼」を海図に採用してきました。国土地理院では、前身の陸 軍陸地測量部が山遍の「崎」を使用していた経緯があるので、引き続き使用しています。
  漢字の意味として、「埼」は陸地が水部へ突出したところを表し、「崎」は水上、陸上を問わず、山脚の突出したところを表すものであることから、海洋情報部では、海上に突出した地形の名称として「埼」を採用しています。
  航路標識の名称は、基本的に海図の地名に準拠していますが、突出した地形に立つ航路標識の名称として、「岬」「碕」「角」「鼻」を使うものがあり、読みについても、まれに「岬」を「さき」と読む場合もあります。
特異例 出雲日御灯台 (いずもひのみさき とうだい)(浜田)
波勝灯台 (はがちさき とうだい)(下田)
室戸灯台 (むろとざき とうだい)(高知)

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