発表日
令和7年11月19日
概要
海上保安庁は、令和7年11月15日、観音埼灯台とミリエ灯台の姉妹灯台提携に関する協力覚書に署名しました。
本提携は、令和６年に実施した犬吠埼灯台とマル・オブ・ギャロウェイ灯台（スコットランド）の姉妹灯台提携に続き、世界2例になります。今後、「日仏姉妹灯台」として展示物の相互展示や関係者の相互訪問等の分野で協力していきます。
本文
1 協力覚書署名式について
(1) 署名日時
令和7年11月15日(土曜)
(2) 場所
神奈川県横須賀市 ヴェルニー公園 小栗広場
(3) 署名機関（署名者）
日本側
海上保安庁（長官：瀬口 良夫）
横須賀市（市長：上地 克明）
（公社）燈光会（会長：久保 成人）
仏国側
海洋・漁業担当省海事・漁業・水産総局（総局長：フォルチュネ・ペリカノ）
ブレスト市（副市長：フォルチュネ・ペリカノ）
ブゼック=カップ=シザン市（市長：ジル・セルジャン）
ミリエ灯台協会（会長：クリティーヌ コルネ）
(4) 概要
両灯台と関連する地域社会との間の歴史的及び文化的なつながりの促進のために、両灯台の歴史に関する写真やビデオなどの相互展示、人的交流と情報交換を目的とした相手方が管理する灯台の訪問等を実施する内容の覚書に署名しました。また、署名式において武石 尭氏※描画のミリエ灯台油絵をフランス政府へ贈呈しました。
※武石 尭（たけいし とおる）
武石 尭（1937－）氏は茨城県大洗町出身の画家で灯台や寺院・仏像などを題材にした作品を多く制作しています。 高校教師を定年退職した後から日本の灯台巡りを実施し、日本の灯台を一通り回り終えた後、イギリス、フランス、アイルランドに遠征して灯台のスケッチを行いました。2014年の犬吠埼灯台140周年記念式典にて講演を実施しています。
武石氏執筆のミリエ灯台スケッチ
2 両灯台について
両灯台は共にフランス人技師によって設計された灯台で、灯台の形が初代観音埼灯台と同じ家（メゾン）型の灯台になり、共にフレネルレンズ※1を使用しています。
(1)観音埼灯台
日本最初の洋式灯台としてフランス人技師フランソワ・レオンス・ヴェルニー※2及びフロラン兄弟によって建設されたもので、明治元年（1868年）11月1日に起工、翌年の明治2年1月1日に初点灯しました。
初代灯台は横須賀製鉄所で作られたレンガを使用した洋館建ての灯台でしたが、大正時代の地震により2度再建され、現在の灯台は3代目のコンクリート造灯台になります。
(2)ミリエ灯台
ブゼック＝カップ＝シザン市にあるミリエ岬に位置し、フランス人技師アレル・ドゥ・ラ・ノエによって設計され、1881年3月に初点灯しました。観音埼灯台の建設に携わったフランス人技師フロラン兄弟の地元（ブルターニュ州フィニステール県）に位置しています。
観音埼灯台（三代目）
ミリエ灯台
※1 フレネルレンズ：フランスの物理学者（オーギュスタン・ジャン・フレネル）により、1820年代に設計されました。通常のレンズを同心円状に分割し、厚みを減らした特殊なレンズで、薄くて軽量でありながら光を集めたり拡大したりする機能を持つことが特徴です。
※2 フランソワ・レオンス・ヴェルニー：
1865年に江戸時代の偉いを受け、フランス人技師として横須賀製鉄所の首長に就任し、横須賀製鉄所や観音崎灯台等の近代施設の建造を指導し、日本の近代化に尽力した。
(3)姉妹灯台について
姉妹灯台の提携は、令和6年11月21日、犬吠埼灯台（千葉県）とマル・オブ・ギャロウェイ灯台（スコットランド）の姉妹灯台提携以降世界で2例目の取組になります。起源や地理的特徴などが似ている2つの灯台を結びつけることにより、両灯台に関連する地域の観光振興や人的交流等の促進に資することが期待されます。
また、今後この提携に基づく協力として、展示物の相互展示や関係者の相互訪問を行うこととしているほか、国際航路標識機関※3の理事会においてもこの提携について報告する予定です。
※3 国際航路標識機関(The International Organization for Marine Aids to Navigation):
国際航路標識機関は、世界の航路標識の改善や統一等により、船舶交通の安全で経済的かつ能率的な運航に寄与することを目的とした国際機関であり、昭和32年に非政府組織として設立された国際航路標識協会を前身としています。海上保安庁は、昭和34年に協会に加入し、昭和50年からは理事を、令和6年の国際機関化後は理事国を継続して努めています。事務局にはフランスのサン＝ジェルマン＝アン＝レーに置かれています。
署名式の様子（代表者署名）
署名式の様子（武石氏のミリエ灯台油絵贈呈）