業務紹介 / 小笠原海上保安署
■ 主な業務
(1)海難防止安全指導
〜マリンレジャー関係者への安全指導・啓発活動〜
小笠原諸島は、2011年に世界自然遺産に登録され、以前から父島を中心としたマリンレジャー基地として広く全国的に紹介されているため、ダイバーや釣客、更にはホエールウォッチング・ドルフィンスイミング等のマリンレジャー客が時期を問わず多数来島していることもあり、事故発生の可能性は常に存在する状況にあると言えます。
定期船「おがさわら丸」により来島した観光客に対しての海難防止関係のパンフレット配布や、職員による海浜巡回を通して、マリンレジャーにおける海難防止の啓発活動を行うとともに、漁業協同組合、マリンレジャー関係団体、小中学生及び高校生等に対し安全指導・講習会を実施して海難事故の未然防止に努めています。
また、おがさわら丸出港時に、監視取締艇「さざんくろす」を出動させ、見送り船から飛び込む島民、観光客の事故防止に努めています。
(2)海難事故救難業務
〜海難事故や人身事故発生時の救難対応〜
離島という特殊事情から各行政機関とも小規模・少人数であるため、事案発生時は全機関が一致協力して対応することが不可欠です。小笠原警察署、漁業協同組合及び消防団や漁業無線局等と密接な連絡体制を保ち、海難情報の早期入手に努めるとともに、海難事故、人身事故への迅速な対応に努めています。
令和3年2月には小笠原諸島周辺海域の警備などにあたるため、巡視船みかづきが小笠原に配備され、一層体制が強化されました。
また、小笠原村診療所での治療が困難な急患が発生した場合は、東京都知事からの救急患者搬送の要請により、海上自衛隊救難飛行艇又は当庁固定翼機(海自救難ヘリUH-60Jにて硫黄島経由)による本土搬送が行われております。救難飛行艇が二見港内で離着水する際は、これの支援として付近航行船舶への指導警戒にあたっています。
(3)海洋環境保全業務
〜海洋環境保全にかかる指導・啓発活動〜
◆ 小笠原管内排出油等防除協議会
平成16年1月28日「海洋汚染及び海上災害等の防止に関する第43条の6第1項」の規定に基づく協議会として「小笠原管内排出油等防除協議会」が設置されました。
この協議会は令和4年2月1日現在、関係機関及び民間企業等13団体で構成され、目的である「小笠原諸島周辺海域において、油又は有害液体物質が排出又は排出のおそれがある場合の防除活動について必要事項を協議し、その実施を推進するための活動」を実施しています。
豊かな小笠原諸島の自然を守るために、油等流出事故に的確に対応できるよう、関係各所とのスムーズな連携の構築ほか、排出油防除に関する知識涵養のために実働訓練による研修会や関係法令が定める防除体制の構築に関する検討会を開催しています。
◆ 未来に残そう青い海・海上保安庁図画コンクール
「未来に残そう青い海」をスローガンに掲げて、将来を担う小中学生の子供たちに海洋環境について考える機会を与えることで、海への関心を高めて、海洋環境保全思想の普及を図るとともに、海上保安業務への理解及び支援の促進を図ることを目的とする「海上保安庁図画コンクール」を開催しています。
(4)外国漁船取締業務
〜外国漁船による密漁取締り〜
昭和54年以降、小笠原近海では台湾さんご漁船による違法操業が頻発しておりましたが、強力な取締りが功を奏し、近年台湾さんご漁船の情報はほとんど無くなった一方で、中国・台湾のまぐろ延縄漁船の目撃情報が台頭してきており、これら漁船の違法操業を排除するため、地元の漁業関係者やマリンレジャー関係団体、在島海運会社等からの情報収集体制の確立を図り、収集した情報を逐次関係先に通報することにより、巡視船、航空機による迅速な取締り態勢の確保に努めています。 また、平成26年9月頃から、小笠原諸島周辺海域にさんご密漁を目的とした中国漁船団が現れ、ピーク時の11月には200隻以上の中国漁船が確認されました。これら密漁に関しては、三管区のほか他管区からの巡視船を派遣していただくとともに、東京都及び水産庁所属船による取締りの結果、平成27年1月下旬以降、中国さんご漁船は確認されておりませんでしたが、平成31年1月下旬にも時折確認されるため、引き続き小笠原諸島周辺海域において大型巡視船による警戒が行われております。
(5)その他
〜海外へ出国・海外から入国、緊急入域船対応など〜
北西太平洋においては、父島二見港以外に良港がないため(八丈島まで約400海里、米国グアム島まで約850海里)
、外国船舶の船員の急病・怪我の治療並びに荒天非難等、緊急入域の格好の拠点となっており、緊急入域に係る諸手続き及び在泊船の監視を行っています。