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海難防止
留萌管内の気象についての言い伝え
1 風の方位別呼び名(俗称)
PDFファイル(49KB)をご覧下さい。
2 気象・海象に関する言葉
〔増毛地方〕
◆風に関するもの
・アイの朝凪、クダリの夕凪。
ヤマセから北西の風に急に変わることを「たちかわせ」と言い、大時化となる。
※津軽海峡に面した渡島管内の戸井地方では、「たてかわせ」(風が東から
南西に変わる際、急に波風が強まる現象)と呼んでいる局地現象がある。
◆雲に関するもの
・雁の腹雲三日で時化る。
※雁の腹に似た雲が現れると、天気は3日もしないうちに下り坂となる。
・暑寒に綿雲沖合時化る。
◆光に関するもの
・太陽に虹の輪
(おやく)
がかかると天気が変わる。
※太陽が暈を冠るとやがて天気は下り坂で、2、3日中には時化る。
◆動物に関するもの
・猫が顔を洗うと雨となる。
※洗う面積が広いほど、天気が悪い。
◆その他
・遠くのものが普段より近く見えると天気が崩れる。
※低気圧の接近により上昇気流が生じ下層の不純物が上空に運ばれるため、視
程が良くなり遠くのものもよく見える。
あなどるな! 海の機嫌はすぐ変わる
〔留萌地方〕
◆風に関するもの
・西風は日暮れまで。
・南風は馬鹿風で止むことを知らない。
・アイの朝凪(午後から北~北西の微風が吹けば明朝は凪る)。
・夏期は風が吹きだしてから波が来る。
※秋~冬~春の大気が不安定なときは、風が吹く前に波が来て風が吹きだすと
だんだんと強くなり時化てくる。
◆雲に関するもの
・雲が西方(~北西)へいくと雨、東方(~南東)へいくと天気がよくなる。
・山に笠雲がかかると雨が降り、風が吹く。
・雨が近づくと暑寒岳の中腹に白いスジ状の雲がかかり、降雨中は消える。
・飛行機雲は天気悪化のしるし。
◆光に関するもの
・朝焼けが美しく赤色に見えると雨。
・夕焼けは明日晴れる。
※但し、水平線上の夕陽が赤くぼんやりしているときは、明朝曇りか雨、朝虹
(西方)は雨(天気悪くなる)、夕虹(東)は晴れ(天気よくなる)。
◆動物に関するもの
・クモが夕方巣を張れば翌日晴れ、また、朝の巣に水滴あればその日晴れ。
・アリの行列は雨近し。
・トビが高く飛べば大風がある。
・ネコが顔を洗うと雨(天気悪くなる)。
・カッコーが鳴くと雨が降る。
◆その他
・夏の海鳴りは台風(低気圧)接近の兆し。
・鐘、サイレン、汽笛などが近くに聞こえると天気が変わって雨になる、山がはっ
きり見えると雨(時化)が近い。(2、3日中に)
※特に大気が不安定な春、秋、冬の場合。
・夏期空気が濁り視程が悪く暑寒岳が全く見えないときは、海は終日凪、夏に比べ
て冬は波が高くなり、船体に受ける衝撃も大きくなる。
まず見張れ! 「海難ゼロ」への第一歩
〔小平地方〕
◆風に関するもの
・アイの風が吹けば凪。
◆雲に関するもの
・利尻の山の東側に雲がかかれば沖風(沖のほうから吹く~)、西側(沖の方角)
に雲がかかればヤマセ。
※笠雲は強い風が高い山に当たって出来る現象で、低気圧や前線の接近を意味
する。雲のかかる方向により風向も知ることが出来る。
◆光に関するもの
・留萌地方とほぼ同じ。
◆動物に関するもの
・金魚が浮かんでくると雨、騒ぐと時化。
※気象の変化に敏感に反応するのか?子供も同様のことが言われる。
◆その他
・焼尻島がはっきり見えれば北東の風。
・天売島がはっきり見えれば南東の風。
※風向と島との位置関係による 地域の特異性。
海難は 無理から 無知から 無謀から
〔苫前地方〕
◆光に関するもの
・月に暈
(かさ)
がかかれば天気が崩れる。
※全国的に共通しており、天気は下り坂で海は時化てくる。
◆動物に関するもの
・燕が低く飛べば雨。
※全国的に共通しており、燕が低く飛び回るときは間もなく雨になる。
◆その他
・島がはっきり見えれば雨が近い。
※低気圧が接近すると上昇気流が生じ、下層の不純物が上空に運ばれるため視
程はよくなるが天気は下り坂。
天気図は 海難防止の 名ガイド
〔羽幌地方〕
◆風に関するもの
・アイ(北風)の朝凪、クダリ(南風)の夜凪。
※北風は朝一時凪る、南寄りの風は日中いくら吹いていても夜には弱まり凪に
なる。
◆動物に関するもの
・カラスが水浴びすると雨が降る
※全国的に共通しており、鳥が水浴びすればやがて天気は下り坂。
◆その他
・離島(天売,焼尻,利尻)がはっきり見えれば時化が近い。
※低気圧が接近すると上昇気流が生じ、下層の不純物が上空に運ばれるため視
程はよくなるが天気は下り坂。冬、あられが降ると突風が吹く。沖で無線の
感度が特別良くなると1~2日中に天気が悪くなる。
レジャーにも ルールがあります 海の上
〔天売・焼尻地方〕
◆風に関するもの
・ヤマセが吹けば一週間続く。
※日本付近では西風が一般風です。普通夜になると太陽の日射がなくなり空気
も冷却して大気は安定しますが、ヤマセ方向の風は低気圧の接近で大気に乱
れが生じることから吹く風で、通過するまでは天気が不安定。
◆雲に関するもの
・利尻山に雲がかかると下風
(しもかぜ)
が吹いて時化る。
※下風とは北寄りの風です。冬季、シベリアから吹いてくる北~北西の季節風
は大変厳しく特に孤島の人々には多大な影響を与えます。上空の風は地上の
風よりも摩擦の影響が少ないわけですから、地上の風より一足先にやって来
ます。
利尻山は島そのものが山で標高1719メートルもある高山です。
いち速く吹き渡ってきた上空の北西風はこの高い山に当たり雲を生じて白く
おおいます。やがて地上の風も吹きはじめ、あの強烈な北西の風が島を襲う
のです。 雲の動きが早いと、やがて風が来て時化る。
※全国的に共通するもので、気象の変化は地上より先に上層の雲の流れに現れ
る。
◆動物に関するもの
・燕が低く飛ぶと雨が近い。
※全国的に共通しており、燕が低く飛び回るときはやがて雨になる。
◆その他
・増毛山地(暑寒別岳)が近く見えると上風
(かみかぜ)
吹いて時化る。
※上風とは南寄りの風です。低気圧が島の北を通過するときは、風向は東~南
東~南~南西~西と変わっていきます。低気圧が近づくと上昇気流が生じ、
ちりやほこりが上空に運ばれ視程がよくなります。
このようなことから、いつもより増毛山地が近く見え、そして南寄りの風が
吹いてくると低気圧の襲来です。
・羽幌が近く見えると時化が近い。
荒れる海 止める勇気と 待つゆとり
〔初山別地方〕
◆雲に関するもの
・ガン(雁)の腹雲3日ともたない。
※雁の腹に似た雲が現れると、天気は3日もしないうちに下り坂となる。
◆光に関するもの
・夕陽(夕焼け)の側から次の日風が来る。
※夕方西の空が焼けると翌日は晴天となるが、風が吹く前触れ。
・月に暈がかかれば翌日雨か時化(暈が大きいほど風が強い)
◆動物に関するもの
・時化前水槽の魚がよく動く。
※他地方では、子供が異常に騒ぐとも言われますが、気象の変化に敏感に反応
するものと思われる。
・トビ(他地方ではカモメ)の高飛び(天気の変化)。
※トビ(カモメ)が高く飛ぶときは、やがて、風が強くなり沖が時化てくる。
◆その他
・利尻富士や暑寒別岳がはっきり見えたとき、その方向から風が吹く。
※低気圧が接近すると上昇気流が生じ、下層の不純物が上空に運ばれるため視
程はよくなるが天気は下り坂。
・渚の砂が軟らかければ時化がくる。
※低気圧が近づけば潮が上昇するためか砂が濡れて軟らかくなる。このような
ときはやがて時化が来る。
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