海難防止


留萌管内における地域特有の観天望気について

 マリンレジャーを楽しむ人々の海難原因を検討してみると、気象・海象不注意が高い比率を占めており、今後もこのような原因による海難の増加が懸念されるところです。現在、気象情報はテレビ・ラジオ等を通じ広く伝えられるようになりましたが、これをどう判断し、どう行動をおこすかは、各個人に委ねられています。

 海に働き、海に生きる人々は、昔から伝わる地域特有の天気に関することわざや言い伝えを上手に利用し、気象・海象の判断に役立ててきました。この度、留萌管内における天気に関することわざ等を、関係者の協力を得て収集し取りまとめましたので、海を楽しむ人々は、観測データに基づいて出される天気予報に、これらを補完し、適切な気象・海象の判断に役立てていただきたいと思います。それが結果的には海難防止につながるものと信じます。

 今回集められたものの中でも、雲・風・山・光象等の特性に注目した、いわゆる観天望気に類するものは、前線や天気系の移動をうまくとらえたものや、局地的に起こる危険な異常現象の前兆をとらえ予想するものなど、気象学的に説明できるものが多くあります。また、注意すべき現象を覚えやすい言い方で表現した格言的なもののなかには、今日の防災面でも十分に通用するものがありますので、若い漁業後継者の人々は無論のこと、地域の人々もこれらを“先人の知恵”として伝承してほしいものです。

 なお、この資料の収集については、御多忙中にもかかわらず、管内各漁業協同組合・留萌測候所(平成6年当時)・留萌遊漁船会の御協力を得ました。心から謝意を表します。




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