沖縄から!美安全Tips

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海で安全に楽しく遊ぶためのアドバイスを届けます。

  Vol.02 令和5年8月9日

サンゴが作った? グスクとリーフカレント


中城海上保安部管内の世界遺産グスク
中城城(上)と勝連城(下)

 沖縄では「城」と書いて「しろ」「じょう」のほかに「ぐすく」と読むことがあります。当部・中城海上保安部も「なかぐすく」と読みます。

 この「グスク」とは、沖縄や奄美の南西諸島において城や館、あるいは聖地とされる城郭状の建築をいいます。


 沖縄では、大小さまざまなグスクが遺構としてその姿を現在にとどめています。
 中でも首里城(しゅりじょう・那覇市)をはじめとする5カ所のグスクは、ユネスコ世界遺産に登録され、観光スポットとして知られています。

 これらの世界遺産グスクのうち、中城海上保安部管内には勝連城(かつれんぐすく・うるま市)、中城城(なかぐすくじょう・中城村/北中城村)の2つが存在します。小高い丘にそびえ立ち、稜線に沿ったカーブや城門にアーチ状に積まれた石垣が、建築当時の技術や今日までの歴史をしのばせます。

 2つのグスクの白みを帯びた明るい灰色の石垣は、沖縄各地で採掘される「琉球石灰岩」によって作られています。

 この琉球石灰岩は沖縄周辺に広く分布するサンゴが変質したものと言われます。

 沖縄本島や離島の海岸では、沖合のサンゴ礁やこれが変質した岩礁が、まるで城壁のように陸岸を囲んでいます。

 このサンゴ礁などによって、沖縄の海では離岸流「リーフカレント」が発生し、マリンレジャー事故を引き起こしているのです。
 

 リーフカレントはリーフ(reef。外礁とも言います。)に囲まれた池状の浅い海「イノー(礁池・しょうち)」で発生します。

 満潮や高波によってイノーに入ってきた海水が、引き潮などによって外に出るとき、リーフの切れ目(リーフギャップ)に集まって、強い流れを生み出します。

 この流れが離岸流であり、リーフにおいて発生する離岸流をリーフカレントといいます。

 沖縄県内、そして中城海上保安部管内では、サーフィンやスノーケリングを含む遊泳中に、リーフカレントと思われる強い流れによって、陸岸に戻れなくなり、最悪の場合死亡・行方不明に至る漂流事故が毎年のように発生しています。

 万一リーフカレントに流された際には、流れに逆らって泳ぐのはたいへん危険です。

 リーフカレントの速さはおよそ秒速2メートル前後。
 100メートル約50秒のスピードは、自由形競泳の世界記録に相当します。
 つまり、オリンピック級のスイマーでも流れをさかのぼるのは困難で、いたずらに体力を消耗するばかりです。

 流れが弱まったタイミングで岸と平行に泳いで、流れを脱けてから岸に戻るか、泳力に自信がなければ無理をせずに、救助が来るまで浮いて待つことで体力の消耗を抑えてください。

 そもそもリーフカレントに巻き込まれないように、引き潮の時間帯や波の高いときに海に入らないことも、予防策として大切です。

 また、第十一管区海上保安本部では、リーフカレントによる事故があった場所やリーフが発達してリーフカレントが発生しやすい海域をホームページで公開しています。

 中城海上保安部が管轄している沖縄本島東海岸及び離島では、国頭村東岸や伊計島北東岸、宮城島東岸などの海域でリーフカレントへの注意を呼びかけています。

 これらの海域は、監視員やライフセーバーが存在しない自然海岸がほとんどで、事故が起きたときの通報・救助の遅れも懸念されます。

 このほか、リーフカレントによる漂流事故防止のため、海上保安庁では以下の対策も推奨しています。

 ・監視救助体制の整った海水浴場での遊泳
 ・複数での行動
 ・万一の連絡ができるよう携帯電話の防水パックでの使用
 ・ライフジャケットによる浮力の確保

 リーフカレントについては、海上保安庁や第十一管区海上保安本部のホームページYouTubeでも注意を呼びかけているので、こちらも参考にしてください。

 沖縄の大地、そしてグスクも形成したサンゴがもたらすリーフカレント。
 美ら海はただ美しいばかりでなく、その中に危険が潜んでいることを知ったうえで、
 安全対策をとって、楽しく遊んでください。



 なお、中城海上保安部も中城城も中城村も北中城村も同じ「なかぐすく」ですが、
 中城海上保安部は中城村でも北中城村でもなく、沖縄市に所在することをお伝えしておきます。
 (前身の中城海上保安署は中城村にありました。)


■ 資料画像出典/参考リンク先:
 ● 動画投稿サイトYouTube海上保安庁チャンネル
  【海上保安庁】海難防止啓発アニメーション~動画でわかる海難防止!離岸流編~
   
(令和元年7月9日公開・第十一管区海上保安本部 製作)
 ● 第十一管区海上保安本部サイト内「リーフカレントに気を付けよう!
  ※発生海域マップは「④ 注意海域をピックアップ!」をクリックしてください。

ウォーターセーフティガイド
 海上保安庁は、マリンアクティビティを安全に遊ぶための総合安全情報サイト「ウォーターセーフティガイド」をインターネットホームページで公開しています。
 
海の安全情報
 海上保安庁は、全国の灯台等で観測した風向風速、気圧等の気象情報その他海の安全に役立つ情報を、「海の安全情報」としてインターネットホームページで公開しています。
  

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