いよいよ春本番となり、天然の生簀とゆわれる富山湾では、気候も穏やかになり、絶好の釣シーズンを迎えます。
今日は、防波堤や磯釣りについての注意点をお話しいたします。
・立入禁止区域となっている防波堤などに入らない!!
令和2年3月に、親子3名が立ち入り禁止の防波堤に侵入し、大人1名が消波ブロックから転落し救助される事故が発生しました。その際、救命胴衣は未着用でした。
幸い、転落者は、大きな怪我などはなかったものの、一歩間違えれば死亡事 故に繋がるところでした。
立入禁止となっている防波堤等は、うねりや高波によって突然、波をかぶり転落の恐れがあります。
また、立ち入り禁止区域は、防波堤だけではありません。消波ブロックの上なども立ち入り禁止区域に含まれております。立て看板等の注意書きがあれば、危険ですので中に入らないようお願い致します。
防波堤や磯での釣りの事故で最も多いのが海中転落となっておりますので、釣りに行く際には、必ず救命胴衣の着用をお願いします。
・もしもに備えて、釣り場に到着したら、まず、付近の地形等の把握!!
防波堤や岩場から海中転落をした場合、上陸場所が限られることから、海中転落した際に備え、上陸しやすい場所の確認をしておくことが大事です。
・正しい装備が命を守る!!
海中転落者のうち、救命胴衣を着用していない事故者の約半数が死亡又は行方不明となっております。また、釣りに出かける際は、スマホ等を防水パックに入れ携行し、釣り場に応じた靴を履くなど正しい装備をつけて釣りに出かけましょう。※防水パックは、ジップロックでも代用可能
伏木海上保安部HPでは、マリンレジャーに伴う事故発生状況において注意事項を掲載しておりますので事故防止の参考として下さい。
【釣り人への注意】
・夜釣り、日が昇る前は、懐中電灯等を有効に活用し、足を踏みはずさないよう注意しましょう。
※ヘッドライト(防波堤及び海岸には、夜間照明がなく、突起物が多い)、すべりにくい靴(長靴等)
・連絡手段を確保しましょう(行き先、帰宅時間を家族に伝える。)
ライフジャケットの着用(海に落ちても沈まない)
携帯電話の携行(水中でも使用できるよう防水パックの使用)
・天気予報を確認し、天候が悪くなってきたと感じたら、どんなに魚が釣れていても早めに釣りを終了し帰宅しましょう。
大切な命は、自分で守りましょう。自己救命索、3つの基本は・・・
1 海で遊ぶときは、いつもライフジャケットを着用しましょう。
2 携帯電話を防水パックにいれるなど、連絡手段を確保しましょう。
3 海のもしもは「118番」、海で何かあったら海上保安庁へ連絡をお願いします。
【海の豆知識】船舶への積み荷の積載基準について(満載喫水線)
四方を海に囲まれた島国日本では、食料の6割、エネルギーの9割を始め、我が国の経済社会活動に不可欠な物資の大半を海外に依存しております。
一度に大量の荷物を運搬する船舶では、積み荷の積みすぎよりバランスを失い転覆の危険があります。昔は積み荷を積み過ぎて台風等に出会い、転覆や沈没という事故がしばしばあって、貴重な生命や財産が失われました。
船舶にはこれ以上、積み荷を積むと復元性が悪くなり、航海する上で危険な状態になるという限界があります。
それを誰の目にも分かるように表示したのが満載喫水線(ブリムソルマーク)と呼ばれるもので、安全な航海をするために積み荷の積載限界を示すものであり、国際条約に基づく法律よって船舶の両舷中央部に中心を1本の線が横切る輪と、その横に刻まれた目盛状のマークにより表示することとされており、日本では満載喫水線規則によって定められております。
陸上輸送では、荷物を運ぶトラックが、これ以上積み荷を摘んではいけないという重量制限と同様のもとなります。
満載喫水線のそれぞれには、海域や季節ごとの気象・海象によって区分された船舶満載喫水線用帯域図という世界地図上の各ゾーンに対応しており、たとえば波の穏やかな熱帯域を航行する場合は、荒れやすい冬期帯域や冬期北大西洋帯域を航海するよりも上の喫水線が用いられ、より沢山の貨物が積めることになります。
つまり船舶の満載喫水線は季節や水域によって異なります。このマークが生まれたのは、19世紀後半の英国、当時の船舶には積載量に関する基準がなく、貨物の積み過ぎによる海難がたびたび発生しました。当時の海運先進国である英国の議会は、これを重くみて、1876年国際航路に就航するすべての船に、貨物積載の限界を示す標識を表示することを義務づけたことによります。
やがて、このマークの意義は、世界の国々にも認められるようになり、現在では全世界共通の標識としてあらゆる船舶に用いられております。
【満載喫水線(ブリムソルマーク)の説明】
丸印の前方に何本かの横線があり「T」、「S」、「W」などのアルファベット文字がついているものがありますが、これも満載喫水線になります。
重さにより船の沈む量は水温や塩分で変わりますので、熱帯地域の航海用にはT印まで、Sは夏用、Wは冬用と季節や海域で使い分けているのです。