なるほど航路標識

〜8 電波標識の種類〜

灯台

犬吠崎灯台

↑犬吠埼(いぬぼうざき)灯台と犬吠埼無線方位信号所(千葉県)

電波標識には次のようなものがあります。
航路標識に電波を使い始めた頃は、電波がまっすぐに進み、それを受けるアンテナの形によっては、電波が進んできた方向が分かる原理を利用したものから始まりました。これを方向探知機と呼んでおり、今ではこの方法の進歩したものとして、中波無線標識(中距離、近距離用)やマイクロ波無線標識(近距離用)などがこの仲間にあります。その後、前回お話ししたように、電波が飛んで来る時間を計る技術が発達し、電波が船まで届く時間から位置が分かる電波標識が使われるようになりました。この仲間には、ロランC(遠距離用)、ディファレンシャルGPS(中距離、近距離用)などがあります。
では、どうして「方向」や「位置」が分かるのでしょうか。


☆中波無線標識(中波を使った電波標識)
今、電波標識Aから電波を出すと、電波はまっすぐに飛んで行くので、船の方向探知機で測ると、その電波がどの方向から飛んで来たかが分かります。これを海図に入れると、右図のようにAの線ができます。船は、この線上のどこかに居ることになります。
さらに、もう一つの電波標識Bから出している電波を同じようにして測るとBの線が分かり、船はこのA、B二つの線の交わったところに居ることが分かります。
☆マイクロ波無線標識(船のレーダーと同じ電波を使っている電波標識)
電波標識から出している電波を船のレーダーで受けると、船のレーダーの画面上に、船と送信局とを結ぶ線や点々が現われるようにしたものに、レーマークビーコンやレーダービーコンがあります。最近では、灯浮標の上に乗せて電波を出すものもあり、その利便性に 航海者からも喜ばれています。
中波無線標識

レーマークビーコン

佐田岬レーマークビーコン局
(愛媛県)

レーダービーコン

洲本沖レーダービーコン局
(和歌山県)

レーマークビーコン

レーマークビーコン
(塩屋埼・福島県)

レーダービーコン

レーダービーコン
(来島梶取鼻・愛媛県)


☆ロランC(二つ以上の電波が、船まで届く時間を利用する電波標識)
今、A、B二つの電波標識から電波を同時に出すと、電波は同じ速さで伝わっていくので、海の上のaというところでは、Aからの方がBからの方より距離が遠いので、その分だけ時間が長くかかります。
同じように、b及びcというところでも、Aからの電波は、Bからの電波よりも時間が長くかかります。このとき、それぞれのかかった時間の差が同じであるような点a、b、c・・・をつないでいくと、右図のような双曲線になります。(図1)
図1
次に、AとCの電波標識から電波を出す場合のことを考えると、前と全く同じようにa’、b’、c’のような双曲線を作ることができます。(図2)
このように、船で電波を受けていれば、船はこの双曲線上のどこかに居ることになります。
もし、AとB、AとCの二組の電波を同時に受けることができれば、図1の双曲線と図2の双曲線が同時に分かり、この双曲線の交わったところが船の居るところ(位置)ということになります。(図3)
図2 図3

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