主要業務

治安の確保

地域の安全と安心のために

皆さん(国民)が安全で、安心して暮らせる地域(社会)を実現するため、海上における犯罪の予防、法令の励行を図るとともに、刑法犯、悪質な密漁事犯、海上環境事犯、密輸・密航事犯等の取締りを行う一方、拡大しつつある国際テロ組織の脅威を排除し防止するため、海上の警備・監視に努めています。

治安対策

近年、国内では様々な凶悪犯罪が多発しており、その犯罪の中には、海外から持ち込まれた薬物・銃器等の関与も考えられます。また国際テロ組織が、船舶から陸上施設又は他の船舶に対し攻撃を加える事案、武器や大量破壊兵器関連物資等を密輸入する事案、テロリストを密入国させる事案などの発生が危惧されることころです。第四管区海上保安本部では、こうした事態を防止するため、常時、伊勢湾口での巡視船艇による監視警戒、臨海部における重要施設(エネルギー関連施設、国際港湾、空港)への警備を強化しています。

中部国際空港の海上警備
平成17年2月に開港した中部国際空港は、24時間航空機の離発着が可能な空港であることから、空港付近海上では、巡視船艇により警戒を行っています。

名古屋港のテロ対策
貿易額、取扱貨物量が日本有数の名古屋港では、港湾危機管理官(名古屋海上保安部長)を中心に関係機関との連携を強化し、テロの未然防止対策に万全を期しています。また、毎年、名古屋港において関係機関との合同テロ対策訓練を実施し、テロ事案発生時の迅速且つ的確な対応の強化を図っています。


外国船舶に対する立入検査(名古屋港)


巡視船すずか特別警備隊によるテロ対策訓練

国民の安全や財産を脅かす刑法犯、限りある水産資源を無謀に採捕する密漁事犯、青く美しい海を破壊する廃棄物の不法投棄、油・汚水の不法排出事犯等、我々の生活への深刻な被害を排除するため、日夜徹底した監視取締りを実施しています。


四日市海上保安部所属艇による密漁船検挙


浜島沖硫酸ピッチ入ドラム缶海洋不法投棄事件摘発

密輸・密航対応


名古屋港沖合い外国籍貨物船内にて密航者を発見し緊急逮捕

最近の密輸・密航事犯は、国内暴力団組織や国際的な犯罪組織が関与し、その手口も巧妙化しています。現在、我が国では、若年層の薬物の乱用拡大や銃器を使用した凶悪な犯罪が続発し、国民の平穏な生活が脅かされています。このことから、第四管区海上保安本部では、海路による密輸・密航を水際で阻止するため、積極的な情報収集活動の推進、関係機関との協力体制の強化を図る一方、巡視船艇、航空機による集中的且つ効果的な取締りを行っています。


過去に押収したけん銃


過去に押収した偽造クレジットカード原板


三重県大王埼沖を逃走する不審船に強行接舷する巡視艇

生命を救う

救助を待つ人のために

時として、漁業や輸送を行う船舶が海難に遭遇し、乗船者の命に危険が迫ったり、乗船者が何らかの理由で海中転落することがあります。船舶やその積荷を救済し、乗船している人々の命の灯火を消さないため、その救助に全力で取組んでいます。

平成21年11月13日早朝、和歌山県新宮市沖を航行中のフェリー(乗客7名、乗員21名)に、急激な船体傾斜が生じました。
海上保安庁では、直ちに船艇・航空機を発動するとともに、特殊救難隊及び関西空港海上保安航空基地機動救難士を出動させ乗船者の救助に当たり、強風による荒天と右側に大きく傾斜した船体の影響で救助活動は難航しましたが、甲板上に降下した機動救難士とヘリコプターの連携による吊り上げ救助により乗客・乗員21名を、また、救命筏で退船した乗員7名を巡視船「すずか」搭載の警備救難艇により救助しました。

四管の"海猿"

第四管区海上保安本部には、転覆や火災海難等において救助を求める人々を救出するために、潜水業務や消火業務等の特殊な知識、技能を修得している、いわゆる「海猿」と呼ばれる潜水士が、鳥羽海上保安部所属巡視船いすずと中部空港海上保安航空基地所属巡視艇いせゆきに配属され、活躍しています。


吊り上げ救助訓練
ヘリコプターから降下する潜水士


障害突破訓練
魚網に見立てた網の中に進入する潜水士

生還に向けて

あなたが、もし、海に落ちたらどうしますか?岸から遠く離れた海上はもちろんのこと海岸付近でも、長い間浮いていることは難しく、また、誰も気づいてくれない可能性があります。そこで、第四管区海上保安本部では、海難事故に遭遇したあなた自身が、一刻も早く巡視船艇や航空機により救助され、生還を果たすために、次の「自己救命策3つの基本」の普及、推進に力を入れています。


鳥羽市立菅島小学校児童による人文字「118」(鳥羽)


ライフジャケット着用推進講習会(四本部)


小学生への海浜事故防止指導(尾鷲)

民間救助組織との連携


水難救済会との合同訓練(赤羽根漁港)

第四管区海上保安本部管内では、ボランティアの民間救助組織として、愛知県水難救済会及び三重県水難救済会があり、海難発生時には、積極的に救助活動に参加しています。また、これらの民間救助組織や、フェリー等の船会社とも連携し、海難に対応するため、日頃から海上保安部署の指導のもとで、曳航訓練、吊り上げ訓練等の海難救助合同訓練を実施し、民間救助組織等との連携を図っています。

青い海を守る

美しい海を守るために

一度壊れた環境を元に戻すことは、たやすいことではありません。
第四管区海上保安本部では、海洋環境保全思想の普及、海洋汚染防止関係法令の遵守を図ることで、海洋汚染を未然に防止し、海洋環境の保全のために「未来に残そう青い海」のスローガンのもと、海洋汚染状況
の調査、ゴミや廃船の撤去指導、海洋環境教室、海洋環境保全講習会などの指導・啓発活動を行っています。

海洋汚染状況の調査


子供達との海浜漂着ごみ調査(鳥羽・浜島)


廃船調査(浜島)


採水調査(名古屋)

海洋環境保全のための取り組み

美しく青い海を未来に残すために、人々の環境保全意識を高め「海をきれいにしようとする気持ち」を持ってもらうことを目的に、環境パネル展示やスクリーンによる放映などの啓発活動の他、各地域において海洋環境教室、海洋環境保全講習会を開催しています。

災害に備える

防災体制の充実に向けて

大規模地震・津波の発生に備え、第四管区海上保安本部では、沿岸防災情報の提供を進め、官民合同の防災訓練を実施するなど防災体制の充実に努めています。
大規模な自然災害が発生した場合には、海上だけではなく、陸上においても、地方公共団体など関係機関と密接な連携のもと、被災者の救出、人員・救援物資の緊急輸送などの災害応急活動を行います。

大規模地震・津波対策

「東海・東南海・南海」の三連動地震への対策が重要課題となっています。東日本大震災での教訓をうけ、津波に対する避難の重要性及び危険性の認識を啓発する取組を積極的に推進しています。また自治体等と連携した各種訓練を実施し、主要な港において官民からなる「船舶津波対策協議会」を設立し、各港の特色を踏まえた避難対策の確立と防災意識の高揚を図っています。


東日本大震災の津波による孤立者の救助活動にあたる巡視船いすず潜水士


灯台等の施設に海抜表示シールの貼付


大規模地震災害対策訓練(孤立者救出訓練:尾鷲)

三機関共通グリッド防災情報図
中部管区警察局、第四管区海上保安本部及び陸上自衛隊第10師団が大規模災害の発生時において、連携をはかり迅速かつ的確な災害応急活動を可能にするため作成した三機関が共通して使える防災情報図です。

地域の災害に対応

集中豪雨や、地震などの自然災害に対処するため、第四管区海上保安本部では、海上での救助活動や災害応急活動のみならず、陸上部においても、豪雨等の水害により道路が寸断された場合など、孤立者、負傷者の救助や緊急輸送等の災害応急活動を迅速・的確に対応しています。


平成23年 台風12号豪雨災害による孤立者救助・断水地域への給水支援


愛知県DMAT(災害派遣医療チーム)搬送訓練

交通の安全を守る

海の事故を防ぎます

海難を未然に防ぎ、船舶交通の安全を確保するために、水域の測量、航行環境の構築(航行方法の設定、航路標識の設置等)、海上交通センターの運用、海の安全情報(沿岸域情報提供システム)、水路通報、航行警報等による情報の提供を行うとともに海難防止指導、マリンレジャー事故防止のための活動を行っています。


伊良湖水道航路を航行中の巨大貨物船と自動車運搬船


航行船舶を管制する伊勢湾海上交通センター管制官

伊勢湾・伊良湖水道を中心とした安全対策

1日約600隻を超える船舶が行き交う中部経済圏の海の玄関口である伊良湖水道では、巡視船艇の常時配置、レーダー、A I Sなどを活用した巨大船の管制の他、航行安全情報の提供を行うことにより船舶航行の安全を図っているほか、湾内においても省エネルギー化を踏まえた航路標識の太陽電池LED化、ふくそう海域における視認性、識別性の向上のため灯浮標の浮体式灯標化など高機能化の整備に努め、船舶交通の安全と運航効率の向上を図っています。

AIS(船舶自動識別装置)

AISは、船舶間相互又は船舶と陸上間で船舶の位置、針路、速力などの情報の交換を行うもので、各海上交通センターでは、地理不案内な外国船舶等に対する情報提供、安全指導等に効果的に活用しています。
( AIS:Automatic Identification System.)

新たな航路標識

沿岸情報の提供


測量船「いせしお」によるマルチビーム測深イメージ

海図の作成に必要な水域の測量を行うとともに、安全な船舶運航に必要な最新情報を"四管区水路通報"及び"海洋速報"として、また、管内の「のり網」等の各種漁具の設置状況を"漁具設置場所情報"として、第四管区海上保安本部ホームページで提供しています。
また、地域・生活に密着した海の沿岸情報を「海の安全情報」で提供しています。

四管区水路通報

海洋速報(海流図)

漁具設置場所情報

例年10月頃から翌年4月頃にかけて"のり網"が数多く設置されることから伊勢湾、三河湾で現地調査を行い設置状況をホームページにより提供しています。

海の安全情報

海の安全情報(沿岸域情報提供システム)
「海の安全情報」では、プレジャーボート、漁船などの船舶運航者や磯釣り、マリンスポーツなどのマリンレジャー愛好者の方々などに対して、地域に密着した海の安全に関する情報を、リアルタイムで分かりやすく提供しています。

海難防止思想の普及


海難防止講習会(衣浦)

伊勢湾、三河湾は、中部経済圏を支える海上の大動脈であると共に、いかなご漁をはじめとした好漁場であるほか、マリンレジャー活動の活発な地域でもあるため、大小様々な船舶が往来しています。これらの船舶の海難を防止するため、対象ごとに期間を定めて、訪船指導、海事従事者に対する海難防止講習会、マリンレジャー愛好者に対する海上安全教室の開催など各種活動を行い、海難防止思想の普及を図っています。

地域と共に

地域社会との連携・協力を進めます

これまで紹介してきたように、海上保安業務は多様化・複雑化し、第四管区海上保安本部のみでは対応が困難な問題が少なくありません。そのため、第四管区海上保安本部では、地域における関係行政機関等との連携、協力関係の強化を図っています。
また、地域の皆様に海上保安業務をより一層理解していただくため、地域との交流に力を入れております。

地域との交流


巡視船みずほ 一般公開

地域の方々に広く親しまれ、海上保安庁の業務をより一層理解していただくために、管内各地での巡視船の体験航海や、灯台の一般公開を始め、海上保安官による劇団の公演や、幼稚園などでの紙芝居、各学校団体などへ出張しての講演を行っています。
また、名古屋市港区にある第四管区海上保安本部の1階ロビー等を広報スペースとして開放し、体験型操船シミュレーションや大王埼灯台の模型などを展示しています。


子供達に人気のマスコットキャラクター「うみまる」


菅島灯台一般公開


地域イベントへのブース出展


広報展示スペース(四管本部庁舎1階)

各関係機関との連携


巡視船すずかに着船する三重県警ヘリコプター
(三重県南部災害対策訓練)


逃走デモ船補足訓練(名古屋港テロ対策訓練)

多様化・複雑化した、海上保安業務を的確に遂行するため、地域における関係機関と、幅広い、連携・協力を図っています。

中部地方整備局との連携 [H18.3協定締結]

国際協力

海上保安庁として行っている国際緊急援助隊や、テロ、海賊対策の国際協力に対し、第四管区海上保安本部では、巡視船いすずの潜水士や、巡視船みずほを派遣し、国際的な協力に貢献しています。


ニュージーランド地震に国際緊急援助隊救助チームとして派遣された巡視船いすず潜水士
(ニュージーランド:クライストチャーチ)〈JICA提供〉


インドネシア海運総局及びフィリピン沿岸警備隊との合同訓練
(インドネシア:バリクパパン沖)

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