発表日
令和7年12月19日
概要
海上保安庁は、令和7年12月9日から10日に三陸沖の観測点において海底地殻変動観測を実施したところ、顕著な変動は確認されませんでした。
本文
1 観測概要及び観測点
海上保安庁は、令和7年12月8日23時15分に青森県東方沖で発生したM7.5の地震に伴う海底の変動を調べ、後発地震に備えるため、三陸沖に設置している「釜石沖1」及び「釜石沖2」観測点において、測量船「海洋」による海底地殻変動観測を実施しました(図1及び図2)。
これらの観測点は、当庁が保有する観測点の中で今回の地震の震源に最も近く、北海道・三陸沖後発地震注意情報に関連した海溝型巨大地震の想定震源域南端付近に位置しています。
2 観測結果
観測の結果、「釜石沖1」及び「釜石沖2」観測点において、今回の地震に伴う顕著な地殻変動は検出されませんでした(図3)。
3 観測結果についての説明
海溝付近のプレート境界に蓄積されたひずみは、海溝型地震の発生により解放され、海底を含む陸側のプレートの地殻変動(動き)として現れます(図2)。
地殻変動の量は、地震の規模と震源からの距離によって変わります。今回の観測では、顕著な地殻変動は検出されなかったので、三陸沖の観測点付近では地震によるひずみの解放はほとんどなかったと考えられます。このデータは、M7.5の地震後に海底において初めて取得した地殻変動の実測値であり、今回及び今後の地震活動の評価に有用な情報の一つとなります。
今回の結果を次回の地震調査委員会に報告する予定です。

図1 「釜石沖1」及び「釜石沖2」観測点位置図

図2 海底地殻変動観測のイメージ図

図3 観測結果
赤い矢印が今回の暫定的な観測結果。
緑色の線は移動トレンドが分かりやすいよう引いた参考の線(幅10cm)。
両観測点におけるここ数年の移動トレンドは、
東北地方太平洋沖地震後の変動やひずみが蓄積する状況を含む動き
(水平:北西方向、上下:若干の沈降方向)である。
単発の観測精度(±5cm程度)を超えるような変動は認められていない。
参考 測量船「海洋」について
【船体要目】
就役年月 平成5年10月
総トン数 550トン
全長 60.0メートル
幅 10.5メートル
