JICA課題別研修「海上交通安全(国際認定VTS管制官コース)」を実施(結果概要)

発表日

令和7年12月3日

概要

 海上保安庁は、令和7年11月10日~11月21日の間、国際協力の一環として、独立行政法人国際協力機構(JICA)による研修を支援しており、JICA課題別研修「海上交通安全(国際認定VTS管制官コース)」の一部である海上交通の安全確保に関する研修を実施しました。

本文

1 経緯

 海上保安庁では、平成29年度から、VTS(船舶通航サービス)管制官育成のため、マレーシア(ポートクラン)のマレーシア運輸省海事局海事訓練センター(MATRAIN)における研修を支援してきており、これまで日・ASEAN統合基金を活用して、研修員110名が国際基準に合致したVTS管制官に認定されています。
 令和6年度から、同研修はJICA課題別研修「海上交通安全(国際認定VTS管制官コース)」として実施されることとなり、海上保安庁はその一部である海上交通の安全確保に関する研修を実施しました。

2 研修日程

令和7年11月10日(月曜)~11月21日(金曜)

3 参加国及び研修員(7か国10名)

インドネシア1名、カンボジア1名、タイ1名、バヌアツ1名、フィリピン3名、ベトナム1名、マレーシア2名

4 実施項目

  1. VTSや海上交通センターの運用等に関する講義
  2. 東京湾における航行船舶実態把握及び港湾状況確認
  3. 海上交通センター及び海上保安学校の見学

5 結果概要

 研修員は、海上保安庁担当者によるVTSや台風、津波の来襲時における海上交通センターの運用に関する講義を聴講し、日本の海上交通分野の体制について知識を深めました。
 また、施設見学における理解をより深めるため、東京湾における航行船舶実態把握や港湾状況確認を実施し、夜間における航路の利用状況など、自国とは異なる海上交通環境の状況を実際に見ることができました。
 本研修の終盤では、課題別研修で学んだことを踏まえた自国における課題解消策等に資するためのアクションプランを策定しました。帰国後、研修員は、これを自国の海上交通分野の業務改善等に反映することとしています。
 海上保安庁では、引き続き、VTS管制官の育成を通じて、世界の海上交通安全に貢献していきます。

参考

参考1 JICA課題別研修

課題別研修は、日本側が研修内容を企画・計画し、開発途上国に提案する研修です。日本が有する知識や経験を通じて途上国が抱える課題解決に資するよう、国内の多くの関係団体と連携しつつ実施しています。 (引用:JICAホームページ)

参考2 JICA課題別研修「海上交通安全(国際認定VTS管制官コース)」

本研修では、国際航路標識機関(IALA)が定める訓練カリキュラムに基づく実習を通じて、VTS管制官として必要な知識・技能を習得するとともに、日本・マレーシア両国における講義、施設見学、現場実習等を通じて、異なる海上交通環境下におけるVTSセンターの運用事例や人材育成システム等についての知見を深め、自国の現場で活躍できることを目指しています。               (引用:JICAホームページ)

参考3 VTS(Vessel Traffic Services:船舶通航サービス)

VTSは、航行船舶の安全性と効率性の向上等を目的に、レーダー、AIS(船舶の識別符号、種類、位置、針路、速力、航行状態及びその他の安全に関する情報を自動的にVHF帯電波で送受信し、船舶局相互間及び船舶局と陸上局の航行援助施設等との間で情報の交換を行うシステム)、VHF無線電話などを活用し様々な情報を収集したうえで、航行船舶に対し必要な情報を提供するとともに、航行管制を実施する業務です。

参考4 VTS管制官の国際認定

VTS管制官の国際認定は、国際航路標識機関(IALA)が定めた勧告に規定されており、VTS運用者の訓練と認定のための基準を取りまとめたVTSに係る国際基準の一つです。


海上保安庁の講義

海上交通センター運用管制官との意見交換


海上交通センターの見学

海上保安学校管制課程学生との意見交換

海上保安学校管制課程学生との意見交換