海上保安官、極限の地へ出発 ~新技術(AI)にチャレンジ!~

発表日

令和7年11月4日

概要

 海上保安庁は、今年12月4日から翌年4月6日にかけて第67次南極地域観測隊員として海上保安官1名を派遣します。派遣された海上保安官は、南極地域周辺の海図の整備を目的とした海底地形調査及び潮汐観測を行います。
 今回の観測では、新たな取組みとして「AIを用いた海底地形データの解析・処理」を行います。これにより、解析・処理時間が大幅に短縮し、他の隊員が行う観測業務の効率化などへの貢献にも期待されます。

本文

 海上保安庁では、船舶の航行安全のため、南極地域の海図を刊行しています。刊行している海図をアップデートするために、南極地域観測隊員として派遣された海上保安官が、海底地形調査及び潮汐観測を行い、必要な海図の補正を行っています。
 また、海上保安官が観測した成果は南極地域における海面上昇の原因の究明や太古の地球環境の推定などの様々な調査・研究にも活用されています。
 今回、新たな取組みとして「AIを用いた海底地形データの解析・処理」を行います。この取組みは、これまで取得したデータに混ざっている不良データを人の目で判別し手動で削除していたものを、AIが不良データの判別及び削除を行うことで、解析・処理の時間を大幅に短縮するものです。


 ※南極地域周辺の海図は、国際水路機関(IHO)のメンバー国が分担して刊行することとなっており、日本(海上保安庁)は昭和基地周辺の海図を刊行しています。


 当庁からは、第67次南極地域観測隊員として、

金子 直道(かねこ なおみち)(海洋情報部沿岸調査課 沿岸調査官)

を派遣します。金子隊員は、12月4日にフリーマントル(豪国)で南極観測船「しらせ」に乗船し、南極・昭和基地に向けた航海に出発します。約4カ月観測に従事したのち、翌年4月6日に帰国する予定です。




「しらせ」での観測の様子
(上:海底地形調査 下:水温塩分観測(昨年度))



昭和基地での観測の様子
(上:験潮所点検(昨年度) 下:水準測量(昨年度))


AIを用いた海底地形データ解析・処理のイメージ