発表日
令和7年8月29日
概要
2017年8月に発生した黒潮大蛇行は7年9か月継続し、2025年4月に終息しました。
本文
2025年4月に黒潮大蛇行*1の状態が見られなくなったことから、気象庁より5月9日に黒潮大蛇行の終息の兆しが見えたことをお知らせ*2していました。
その後も気象庁と海上保安庁では黒潮の状況を監視しておりましたが、東海沖における黒潮の最南緯度の経過(図1)や潮岬沖での黒潮の接岸の状況(図2)より、大蛇行していない状態が安定的に持続していることから(図3)、今般、今回の黒潮大蛇行が2025年4月に終息したものと判断しました。この結果、2017年8月から続いた大蛇行の継続期間は、1965年以降で過去最長となる7年9か月となりました。
図1 東海沖における黒潮流路の最南緯度の経年変動(2015年1月~2025年7月)
東海沖における黒潮流路の月ごとの最南緯度を示しています。オレンジ色は黒潮大蛇行の期間を表しています。東海沖(東経136度~140度)で黒潮が北緯32度より南まで南下した状態で安定していることが黒潮大蛇行を判定する目安になり、2025年4月以降は北上の傾向が確認できます。
図2 潮岬沖における黒潮の離岸の指標(串本の潮位から浦神の潮位を引いたものの経年変動:2015年1月~2025年7月)
串本と浦神の月ごとの潮位差を示しています。オレンジ色は黒潮大蛇行の期間を表しています。潮位差が小さい値に安定していることは潮岬で黒潮が離岸していることを示し、黒潮大蛇行を判定する目安になります。2025年4月以降は値が大きくなり潮岬で黒潮が接岸する傾向が確認できます。
図3 黒潮大蛇行期間中(2025年3月)と黒潮大蛇行終息後(2025年5月)の深さ50mの月平均海流分布図(単位:ノット)(1ノット=約0.5 m/s)
海流の速さは、図の右にあるスケールで色分けし、赤色は強い流れを示しています。流速 0.2 ノット以上の流れを矢印で描画し、矢印の向きは海流の向きを示しています。この図は、海洋モデルの結果と観測データを総合的に解析した結果を示しています。太線はそれぞれ黒潮流路を示しています。
なお、8月下旬現在、黒潮は潮岬を東に流れ、東海沖では北緯32度付近、伊豆諸島付近では八丈島の南を流れています(図4、図5)。また、向こう1か月は、一時的な蛇行は予想されるものの、大蛇行が見られない状態が継続する可能性が高いと予測されています。
図4 8月28日の深さ50m の海流分布図(単位:ノット)(1ノット=約0.5 m/s)
スケール等は図3と同じ。最新の海流分布図は下記リンクからご覧いただけます。https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/db/kaikyo/daily/current_HQ.html?areano=2
図5 8月28日発行の海洋速報 第160号における海流(海上保安庁資料)
人工衛星画像や船舶の観測値等を利用して、日本周辺の主要な海流の流路を解析しています。最新の海洋速報は下記リンクからご覧いただけます。 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/KAIYO/qboc/
黒潮の流路は、船舶の経済的な運航コースや、漁場の位置や魚種、沿岸の海洋環境にも影響を与えます。 気象庁と海上保安庁では、引き続き、黒潮流路の変動を注意深く監視していきます。
① 2017年8月~2025年4月 |
7年9か月 |
② 1975年8月~1980年3月 |
4年8か月 |
③ 1981年11月~1984年5月 |
2年7か月 |
④ 1986年12月~1988年7月 |
1年8か月 |
⑤ 2004年7月~2005年8月 |
1年2か月 |
⑥ 1989年12月~1990年12月 |
1年1か月 |
表1 1965年以降の黒潮大蛇行の発生期間(長いほうから)