GPSの取扱いが関係する海難について

「GPSと海難」平成15年4月海難審判庁資料から


 毎年、GPSの性能に対する誤った理解、取扱い不適切等から海難に至った事例が発生しております。
以下の事項に留意のうえ、自船のGPS装置の取扱いマニュアルを再確認して、海難の防止に努めて下さい。

 GPSプロッターの地形図は、海図と同じ情報が表示されているとは限らないため、あくまで参考として利用し、航海には必ず最新の海図を使用する。
(GPSプロッターの地形図には表示されていない岸壁や、防波堤があることがある。)

 GPSによる測位では、衛星の関係で多少の誤差が生じています。GPSに表示された針路線や往航時の航跡に頼りすぎず、障害物から十分に離した針路とする。

 魚群探知機兼用型GPSプロッターは、単体のGPSに比べて消費電力が多いので、機関を停止してバッテリーのみを使用中は過放電に注意する。

 航行中にGPSの調整を行う場合は、周囲の安全を十分に確認しながら実施する。

 航行海域の状況に応じて(岩礁や陸に近い等)、適切な表示範囲に切り替える。

 GPSは、自船の船位や針路を確認することができるが、レーダーとは違い他船の動静についての情報を得ることはできない。

 GPSの使用中も、定期的に他船の動静を把握するための見張りを十分に行う。(GPSの注視に気をとられ見張り不十分とならないよう注意)

 GPSから得られる情報を有効に活用する。(海図上で位置を確認し、以後の針路速力を決定する)


(用語説明)

・ GPS

・ ディファレンシャルGPS


宮崎海上保安部