なるほど航路標識

〜1 海の道しるべ〜

灯台
 はじめに
 青い空、青い海に白い灯台。だれでも思いうかべるロマンチックな灯台のある風景です。あるいは、岩をかむ大波の嵐の夜、一筋の光を海に投げかけている灯台のけなげな姿を想像する人もおられることでしよう。
 灯台が船にとって命の恩人になっていることは誰でも知っています。しかし、灯台が夜ばかりでなく、昼間も航海者の目印になっていることや、光り方や塗り色で隣の灯台と区別できることなど、よく知られていません。
 また、灯台には音(音波)や電波を使った仲間があることなどもあまり知られていないようです。
 このコラムでは、灯台やその仲間たちの生い立ちや、どんな役目を果たしているかについてできるだけやさしく紹介していきます。

灯台

海の道しるべ

 航路標識 −海の道しるべ−
 晴れた日に、私達が港の見える丘や海辺の山に立って海を眺めると、大きな船、小さな船が気持良さそうにスイスイと走っているのを見ることができます。
 それはちょっと見たところ全く自由気ままに好きなところを勝手に走っているように見えますが、海には浅瀬や暗礁などの危険なところもあって、どこでも走れるわけではありません。船がこのような危険物を避けて、安全に近道を走れるように、海にも陸上の道路に似た航路(船の通る道)というものがあります。
 しかし、この航路は陸上の道路のように目には見えません。
 それで航海の安全を図るには、海図という海の地図が必要になります。
 そして、自分の船が今その海図の上のどこにいるかを知らなければなりません。
 この自分の船の位置を正しく知って安全に航海するための海の道しるべを、ちょっとなじみにくい言葉かも知れませんが、航路標識といっています。
 航路標識には、目に見える光や形を利用した光波標識、霧信号所といわれる音(音波)を利用した音波標識、電波を利用した電波標識、そのほかのものがあります。
 これらは、皆航海の安全になくてはならない海の道しるべです。
 分かりやすく表にすると、次のようになります。
航路標識 光波標識 灯台、灯標、灯浮標、照射灯、導灯、指向灯
電波標識 無線方位信号所(中波標識局、マイクロ波標識局)ロランC、ディファレンシャルGPS
音波標識 霧信号所
その他 船舶通航信号所、潮流信号所
 昔は、灯台や霧信号所がほとんどで、しかも灯台の数がはるかに多かったので、航路標識といえば灯台というくらい、灯台は今でも人々に親しまれているのです。
 しかし、近年は電波についての技術が非常に進歩し、航路標識の分野にもたくさんとり入れられて、航路標識として重要な役割を果たしています。
次のページから、順を追って詳しくご説明します。お楽しみに!
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