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平成23年の海難及び人身事故の発生状況等について(速報値)

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第五管区海上保安本部が取り扱った平成23年の船舶海難及び人身事故の発生状況等を取りまとめましたので、お知らせします。


1. 船舶海難の発生状況(資料1.2.3参照)
1 平成23年の海難船舶隻数は226隻で、前年に比べ54隻減少
(東北地方太平洋沖地震に伴う当管区が取り扱った海難を除く)
2 プレジャーボート※の5月と6月の海難隻数は、昨年と比較して大幅に減少した
(5月は3 隻 前年比11 隻減、6月は2 隻 前年比10 隻減)
3 船舶種類では、プレジャーボートの海難隻数が108 隻(全体の48%)、次いで漁船の48 隻(全体の21%)と全体として占める割合が依然として高い
4 旅客船による海難隻数は0 隻で、前年に比べ6 隻減少
5 海難種類では、衝突が82 隻(全体の36%)、機関故障が29 隻(全体の13%)と占める割合が高い
6 特に、プレジャーボートの海難では、整備不良や機関取扱い不注意等による機関故障が23 隻(全体の21%)、見張り不十分や操船不適切等による衝突が20 隻(全体の19%)と比率が高かった
※ プレジャーボート・・・スポーツ又はレクリエーションに用いられるモーターボート、ヨット等の船舶の総称


2. 船舶海難に伴う死亡・行方不明者発生状況(資料2 参照)
船舶海難に伴う死亡・行方不明者数は12 人で、前年に比べ7人増加
船舶海難に伴う死亡・行方不明者数は12 人で、前年に比べ7 人増加した。死亡・行方不明者が発生した船舶を種類別に見ると、漁船が3 隻(8 人行方不明、2 人死亡)、貨物船1 隻(1 人死亡)、遊漁船1 隻(1 人死亡)となっている。
漁船の8 人行方不明となっているのは、排他的経済水域内で8 人乗りの外国漁船が行方不明になったもの。




3.人身事故の発生状況(資料4参照)
1 平成23年の人身事故者数は319人で、前年に比べ18人増加
2 人身事故に伴う死亡・行方不明者数は147人で、前年に比べ14人増加
3 マリンレジャーに伴う海浜事故者数は96人で、前年に比べ6人増加、うち釣り中の事故者数が42人と突出しており、釣り中の海中転落者は28人で、うち死亡・行方不明者が14人
4 船舶海難によらない乗船者の人身事故者数は97人で、前年に比べ18人増加、海中転落者は23人で、うち死亡・行方不明者が15人
5 マリンレジャーに伴わない海浜事故者数は126人で、前年に比べ6人減少、海中転落者は36人で、うち死亡・行方不明者が25人


4.海中転落者のライフジャケット(救命胴衣)着用について

1 ライフジャケット着用率
(1) 船舶からの海中転落者23人のうち着用者4人:17%
(2) 釣り中の海中転落者28人のうち着用者3人:11%
2 ライフジャケット着用者・未着用者の生存率
(1) 船舶からの海中転落者23人のうち、
着用者は4人で、死亡・行方不明者1人、生存者3人:生存率75%
未着用者は19人で、死亡・行方不明者14人、生存者5人:生存率26%
(2) 釣り中の海中転落者28人のうち、
着用者は3人で、死亡・行方不明者1人、生存者2人:生存率67%
未着用は25人で、死亡・行方不明者13人、生存者12人:生存率48%



5.今後の対応等(参考1参照)


(1) 船舶海難は、小型船(プレジャーボート、漁船、遊漁船)によるものが約72%、海難の種類では、衝突、その他の海難、機関故障、推進器障害によるもので約80%を占めており、海難の発生原因は、見張り不十分や整備不良等、安全運航のために必要な基本的事項が遵守されていない人為的要因によるものが多数あると考えられます。
このため、引き続き、関係機関・関係団体との連携を強化し、小型船の日常のメンテナンスの重要性を呼びかけ、出港前点検の励行を重点的に地域の特性に応じた効果的な海難防止活動を積極的に展開していきます。


(2) 海中転落者でライフジャケット着用者の生存率は船舶からは75%、釣り中は67%であり、ライフジャケットの着用による救命効果は絶大ですが、海中転落者の着用率は船舶からが17%、釣り中が11%と低い状態にあります。
このため、ライフジャケットの常時着用等を柱とする、自己救命策確保キャンペーンを機会あるごとに実施し、着用率向上に向け、啓発活動等を積極的に展開していきます。


(3) マリンレジャーについては、釣り中に高波にさらわれた海中転落事故や、手漕ぎボートで遊んでいる際中に風に煽られ沖合いに流され戻れなくなった事故など、気象・海象の不注意の事故が多くなっています。
このような状況を踏まえ、マリンレジャーを安全に楽しむために、気象・海象の正しい知識の習得について、引き続き愛好者や関係事業者等に働きかけていくとともに、第五管区海上保安本部ホームページでマリンレジャーを楽しむ際の注意事項を掲載しております。



参考1 おもな海難及び人身事故の事例
事故形態 発生日時・場所 概 要
衝突 7月
大阪府堺市沖
貨物船と1名乗組みの漁船が衝突、漁船は衝突直後に前後に分断され、後部とともに乗組員(ライフジャケット未着用)が沈没したもの。巡視船艇・航空機・潜水士が出動し捜索、発見するも死亡となったもの。
機関故障 11月
兵庫県神戸市沖
4 名乗組みのプレジャーボートがエンジンの耐用年数を超えて使用し、航行していたところ、老朽化によりエンジンを冷却する水が通るパイプが外れてオーバーヒートし、航行できなくなり当庁に曳航救助されたもの。
推進器障害 10月
大阪府泉南郡岬町沖
6 名乗組みのプレジャーボートが魚釣りを終え、早く帰りたかったことから進路上の定置網を避けずにそのまま航行して、定置網のロープに引っかかり、推進器が脱落し航行不能となるとともに、機関室に浸水。その後、漂流して付近の消波ブロックに乗揚げたことから6 名は陸上へ避難することができたもの。
乗揚(一次海難)
衝突(二次海難)
8月
兵庫県神戸市沖(明石海峡)
15 名乗組みの外国貨物船(オランダ船籍、9,994 トン)が航行中、1 人で操船していた乗組員が居眠りをし、大阪湾海上交通センターが無線で呼びかけ注意喚起するも、明石海峡大橋下舞子公園付近浅瀬の岩場に乗り揚げさせながら、岸壁に衝突したもの。
転覆 2月
和歌山県東牟婁郡串本町沖
船員2 名と乗客5 名が乗組んだ遊漁船が、釣り場である島に乗客を降ろそうとした時、後ろから波を受けたことから船の体勢を立て直すため後進をしたところ、再度後ろから波を受けて転覆し、船員2 名と乗客5 名は海中に投げ出されたもの。船員1 名と乗客2名は自力で岸にたどり着き、乗客3 名は当庁の要請を受けた救助船が救助したが、船員1名を捜索、発見するも死亡となったもの。(全員ライフジャケット着用)
火災 7月
兵庫県明石市沖
船員1 名と乗客10 名が乗組んだ遊漁船が、釣り場に到着し、漂泊して釣りを開始しようとしたところ、機関室から煙があがり、操舵室から出火したもの。船員と乗客全員は、近くにいた船舶に救助された。船舶は、当庁により消火、曳航されたもの。出火原因は、バッテリーからの配線の一部に短絡痕を認めたことから、同所から出火したとものと思料される。
釣り中の人身事故
(海中転落)
6月
和歌山県東牟婁郡串本町潮岬の磯場
事故者(男性、61 才)は双子の兄(男性、61 才)と磯場で釣りをしていたが、磯波が高くなったことから片付けをしている最中に高波にさらわれ2 名とも海中転落。ライフジャケットを着用していた兄は自力で磯に這い上がったがライフジャケット未着用の弟は溺死したもの。
その他
(帰還不能)
8月
兵庫県神戸市須磨海水浴場
事故者3 名(男性、17 才、16 才、16 才)は手漕ぎゴムボートで遊泳区域外へ出たところ風に煽られ沖合いに流され戻れなくなり、沈みかけたゴムボートにしがみついていたところを救助者が泳いで付近防波堤まで押して救助したもの。(3 名ともライフジャケット未着用)
乗船者の海中転落 6月
兵庫県明石市明石海峡
2 名乗組みの小型底引き網漁船から2 名(男性、56 才、24 才、ともにライフジャケット未着用)が操業中に何らかの原因により海中転落、11 日から14 日までの4 日間巡視船艇のべ12 隻、漁船等のべ428 隻により捜索するも発見されず、2 名とも後日遺体で発見されたもの。


海難種類及び船種別の海難隻数
上段平成23年
下段平成22年
 
※1:プレジャーボートスポーツ又はレクリエーションに用いられるモーターボート、ヨット等の船舶の総称
※2:その他の一般船舶作業船、曳船、押船、台船、はしけ、クレーン船等
※3:海難種類(その他) 走錨、バッテリー過放電、燃料欠乏、漂流等の船舶安全運航が阻害された海難

 
資料2
海難隻数と死亡・行方不明者の推移
船舶種類別船舶海難の推移
海難種類別船舶海難の推移


資料3
海難船舶の推移


資料4
人身事故発生状況




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