「海の交通ルール」をご存知ですか?


 道路には「道路交通法」があるように海には船舶の衝突を防ぐため3種類の「交通法規」(海上交通3法)があります。
 ここではそれぞれの法規について、目的と代表的な交通ルールについて簡単に紹介します。
 
   

★海上衝突予防法

 名前のとおり、船舶の衝突を防止するための代表的なもので、すべての海域(場所)での基本となるルールが定められています。


*代表的な交通ルール

●横切船の航法

 2隻が互いに進路を横切り、衝突のおそれがあるときは、相手船を右げん側(船の右側)に見る方の船が相手船を避ける。

 

 

●行き合い船の航法

 2隻の船が真向かいに行き会う場合で衝突のおそれがあるときは、互いに相手船の左げん側(船の左側)を通過する。

 

その他に、 

●船の状況(運転不自由の船、漁業に従事している船等)による優先関係

 

 

●操船信号(針路を変える場合や後進する場合)の実施



●船の夜間の灯火(右げん:緑色、左げん:赤色、マスト:白色が基本の灯火)の表示等、衝突防止のための細かいルールがあります。

 

 

 

★海上交通安全法

 東京湾・伊勢湾・瀬戸内海の3海域は海上交通がふくそうしているうえ、周辺には重要な港が存在し、非常に大きな船(巨大船:長さ200メートル以上の船)なども航行することから安全を確保するため定められています。

 これらの海域には合計11の特別な航路が設定されており、それぞれの航路について細かいルールがあります。


*共通する代表的な交通ルール

 

●航路を航行する義務

  長さ50メートル以上の船舶は航路を航行する。

 

 

●航路航行船の優先

 航路を出入りしようとしたり、横断しようとする船舶は航路を航行中の船舶の針路を避ける。

 

●速力の制限

  航路の定められた区間においては12ノット未満で航行する。

 なお、九州沿岸にはこの法規が適用される海域はありません。

 

 

 

★港則法

 港内における「交通の安全」「港内の整とん」のため定められています。


*代表的な交通ルール

 

●出航船の優先

  港の防波堤の入口付近で衝突のおそれがある場合入航船に対して出航船が優先する。

 

 

●右小回り、左大回り

 防波堤などの突端や停泊船を右げんに見て航行するときはできるだけこれに近寄り、左げんに見て航行するときはできるだけ遠ざかって航行する。

●港内での避航義務
  狭い港内では運動性能が悪く操船範囲が限られる大型の船舶を、操船自由度の高い汽艇(総トン数20トン
未満の汽船をいう。)等が避けなければならない。

 

 

 

●航路航行義務

  特定の港(特定港:宮崎県では細島港)で航路が設定されている場合、汽艇等以外の船舶は航路を航行する。


 その他、特定の港では港ごとの細かいルールがあります。

 

 

 以上、海上における交通法規、ルールについて簡単にご紹介しましたが、基本となる「海上衝突予防法」のほか、海域によっては「海上交通安全法」や「港則法」が優先的に適用される場合がありますので注意が必要です。