海洋情報部突撃レポート 〜海洋情報部の仕事〜

 

 どうも!職場体験学習で、広島市南区宇品にある第六管区海上保安本部の海洋情報部におじゃまさせて頂いた五日市南中学校の二人です。
 今日は実際に海洋情報部の仕事を体験してみて、働くことの意義や地域社会について中学生なりに一生懸命考えてみたいと思います。

 

海の地図を作る

〜海図〜

説明して頂いた人
 海洋情報部では、船が安全に航海するために使う「海図」という海の地図を作っています。
 海図には、海の深さ(水深)や灯台やブイの記号、緯度や経度、船が通るための航路、コンパスローズという方位を示す記号などが書かれています。

 海図で一番大事なのは水深です。
 船に乗っている人は、船が浅い所に乗りあがって座礁してしまわないように水深を見ながら航海します。

見せて頂いた海図

 海図の水深は「最低水面」という船にとって一番危ない干潮の時の水深にしてあって、橋の高さは「最高水面」という橋の下を通る船にとって一番危ない満潮の時の高さにしてあるそうです。

 コンパスローズは、形がばら(ローズ)のような形だからローズと言うそうです。

コンパスローズ
 水深をはかる時は、測量船から出した音が海底で反射して戻ってくるまでの時間から計算します。
 約130年前頃は、ロープの先に鉛のおもりをつけてはかっていたそうですが、昭和30年頃からは音を出す機械で同時に4箇所の水深をはかるようになり、今は測量船から扇形に音を出して、水深の7倍の幅で100箇所の水深を同時にはかることができます。
 「魚礁」という魚の家や沈んだ船、海に捨てられた盗難車なども見つけることができるそうです。

 水深のデータは絵にすると船の人がわかりづらいので、数字や記号になおします。

測量船が見つけた沈んだ船

 測量船で水深をはかるのが危険な浅い所は、測量船のかわりに飛行機で水深をはかります。
 飛行機で水深をはかる時は、音のかわりに飛行機のお腹の所からレーザー光を出してはかるそうです。
 私たちの五日市南中学校の近くの水深をはかった時のデータも見せて頂きました。

飛行機の水深のはかり方
(クリックして拡大)

五日市南中の近くのデータ
(クリックして拡大)

 測量船や飛行機ではかった水深のデータは、そのまま使うのではなく、最終的に人の目で確認しておかしい所を直します。
 おかしい所は、魚からの反射で出てくることが多いそうです。
 それから、修正した水深をもとに「原図」を作ります。
 原図には、水深のほかに魚礁や沈んだ船などを示す記号が付けられています。

修正している所 できあがった原図
 原図は東京にある海上保安庁の本庁に送られて、海図ができあがります。
 海図は大きいものが3360円、半分の大きさのものが2625円だそうです。
 「高いな」と思って理由を尋ねてみたら、海で使うものなので濡れてもやぶれにくく、正確な距離がわかるように伸び縮みしにくい特殊な紙で作っているからだそうです。
 陸上の地図のように沢山売れると、もっと安くなるだろうとも話していました。

 

船の事故を防ぐ

〜水路通報〜

説明して頂いた人

 海洋情報部では、船が安全に航海をするのにじゃまな工事やブイの交換作業、訓練などを伝えるために、「水路通報」を出しています。
 水路通報には、工事や作業が行われる区域や期間、内容などが書かれていて、インターネットやファックスで船で航海する人に伝えられます。
 水路通報のもとになる情報は、海上保安庁の部署から上がって来ます。

 その情報をもとにして、海図の上にコンパスとディバイダーを使って書いてみて、それから水路通報の内容を考えます。

実際に海図に書いてみました! 水路通報

 

油の流れなどを読む!

〜漂流予測〜

説明して頂いた人
 海洋情報部では、船が座礁して油が流れた時や人が海に落ちて行方不明になった時に「漂流予測」をしています。
 漂流予測は、油や人が流れていく方向を計算して、それ以上遠くへ油が流れて行かないようにオイルフェンスを効率よく張ったり、行方不明になった人を見つけるために使われます。

 以前、ドラム缶600本分の油が船の事故で海に流れた時も漂流予測をしたそうです。

 五日市の港から油が流れたということで、漂流予測を体験させて頂きました。
 油が流れた場所の緯度・経度や流れた時間、何時間先まで計算するのか、計算する間隔などをパソコンに入力して計算させます。

漂流予測をしている所 できあがった漂流予測

 

 今日は、海洋情報部で記者やカメラマンとして取材しながら仕事を体験させて頂いて、「海猿」みたいな目につく仕事だけではなく、裏でもいろいろな仕事をしているということが、すごく良くわかりました。
 今日見せて頂いたほかにも、「潮汐表」を出したり水温をはかったり、いろいろな仕事があるそうです。
 海上保安官という仕事は中学生が簡単に理解できるようなものではないけど、その重要さを理解することができました。

平成19年2月1日 M&Y