明石海峡におけるAISバーチャル航路標識の実用化実験の継続
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第五管区海上保安本部が、明石海峡航路東口付近における船舶交通の整流を図ることを目的として、本年4月から開始したAISバーチャル航路標識の実用化実験について、AIS搭載船舶の航跡の分析及び船舶運航者等へのアンケート調査を実施し、その効果を検証しました。その結果、バーチャル航路標識を視認した操船者の約8割強の方から有効との回答があったことや航跡の分析には年間を通して前年度と比較検証する必要があることから実験を継続することにしました。
Ⅰ 実施計画
目的
明石海峡航路東方の経路指定の基点を AISバーチャル航路標識(以下「バーチャル航路標識」という。)で表示し、航行指標としての有効性等を検証することで、AIS航路標識の実用化に資する
明石海峡航路東方の経路指定の基点を AISバーチャル航路標識(以下「バーチャル航路標識」という。)で表示し、航行指標としての有効性等を検証することで、AIS航路標識の実用化に資する
・バーチャル航路標識信号の送信場所
大阪湾海上交通センター
大阪湾海上交通センター
・バーチャル航路標識の表示位置
明石海峡航路北東方(下図のとおり)
明石海峡航路北東方(下図のとおり)
実施期間
・平成24年4月17日1200から10月31日1200まで
・平成24年4月17日1200から10月31日1200まで
評価方法
1 航跡の分析(AISデータから経路指定に係る通航状況の変化等を調査)
2 船舶運航者へのアンケート調査
3 大阪湾海上交通センター運用管制官への聞き取り調査
1 航跡の分析(AISデータから経路指定に係る通航状況の変化等を調査)
2 船舶運航者へのアンケート調査
3 大阪湾海上交通センター運用管制官への聞き取り調査
Ⅱ有効性等の評価
1 航跡の分析
明石海峡東側海域における経路指定遵守率について、実験開始前・後のAIS搭載船舶の航跡を検証
明石海峡東側海域における経路指定遵守率について、実験開始前・後のAIS搭載船舶の航跡を検証
実験開始前の昨年同時期との比較において、若干の改善が伺える。
A:平成22年6月24日 仮設灯浮標設置
B:平成23年2月22日 仮設灯浮標撤去
B:平成23年2月22日 仮設灯浮標撤去
C:平成24年4月17日 バーチャル航路標識実験開始
2 船舶運航者へのアンケート調査
バーチャル航路標識の実験について、船舶運航者に対してアンケート調査を実施し、152名(水先人81名、操船者71名)の回答を集計
バーチャル航路標識の実験について、船舶運航者に対してアンケート調査を実施し、152名(水先人81名、操船者71名)の回答を集計
実際の画面でバーチャル航路標識を視認した船舶運航者は85名(グラフ2)
このうち、バーチャル航路標識を有効と回答した船舶運航者は70名、有効ではないとの回答は12名、その他が3名(グラフ3)
なお、実際の表示を視認していないものの、バーチャル航路標識は有効と回答した船舶運航者が38名あり
有効の理由として経路指定のポイントが確認しやすくなるとの意見が多数(グラフ4)
有効でないとの理由として、他の計器や目標物で確認できる、紛らわしいとする意見あり(グラフ5)
3 大阪湾海上交通センター運用管制官への聞き取り調査
実験の評価について
経路指定に関する指導を行う際、バーチャル航路標識が表示される船舶に対しては、円滑な指導が可能
経路指定に関する指導を行う際、バーチャル航路標識が表示される船舶に対しては、円滑な指導が可能
バーチャル航路標識表示の有効活用策
灯浮標を設置できない海域での航路の表示
海上漁業施設、工事区域等の表示
海上交通センターのレーダーが捕捉した、漂流物件等の障害物の表示
灯浮標を設置できない海域での航路の表示
海上漁業施設、工事区域等の表示
海上交通センターのレーダーが捕捉した、漂流物件等の障害物の表示
Ⅲ まとめ
バーチャル航路標識の有効性について、船舶運航者に対するアンケート調査を実施したところ、バーチャル航路標識を視認した操船者の約8割強が有効と回答したほか、大阪湾海上センター 管制官からは、バーチャル航路標識が表示される船舶に対して円滑な指導ができる等の有効性を示す評価を得ることができた。
明石海峡東側海域における経路指定遵守率については、昨年同時期と比較して若干の改善が伺える。しかし、航跡の分析には年間を通して前年度と比較検証する必要がある。
以上のことから、バーチャル航路標識の実用化実験については、引き続き継続して実施する必要があるほか、他海域における実験についても検討を行う。